転職のお祝い金は今は原則禁止|もらえるお金と転職準備金の考え方

転職のお祝い金は、いまは転職エージェントも求人サイトも、原則として出してはいけないものになっています。職業安定法にもとづく国の指針が改正され、転職エージェント(職業紹介事業者)は2021年4月1日から、求人サイトや求人情報誌(募集情報等提供事業者)は2025年4月1日から、お祝い金やギフト券、ポイントなどを渡して利用を勧めることが原則禁止になりました。「登録して入社したら○万円」という広告を見かけたら、まず誰がお金を出すのかを確かめる必要があります。
この記事では、お祝い金が禁止された時期と範囲を厚生労働省の資料で確かめた内容、いま「お祝い金あり」の表示を見たときの見分け方、そして転職でもらえる可能性がある公的なお金(再就職手当など)と、退職から入社までの「準備金」の考え方をまとめます。
Re:WORKの求人データ(2026年10月17日時点・公開求人13,784件)
- 未経験歓迎の求人 8,207件(全体の約6割)
- 社宅・家賃補助制度がある求人 5,290件
- 退職金制度がある求人 5,049件
転職のお祝い金とは|以前は転職サービスが求職者に払っていたお金
転職のお祝い金は、転職エージェントや求人サイトを通じて入社が決まった人に、サービスの運営会社が渡していたお金のことです。「就職お祝い金」「入社祝い金」「採用祝い金」などの名前で、現金のほかギフト券やポイントで渡されることもありました。
運営会社がお金を出せたのは、採用が決まると求人企業から成功報酬や掲載料を受け取る仕組みだったからです。その一部を求職者に回して、自社のサービスを選んでもらう狙いがありました。
なぜ転職エージェントは求職者から料金を取らないのか
転職エージェントは、職業安定法にもとづく許可を受けた有料職業紹介事業者です。職業安定法第32条の3第2項で、求職者から手数料を取ることは原則として禁じられています。料金を払うのは採用した企業側で、求職者は相談から入社まで無料で使えます。この仕組みは転職エージェントがなぜ無料なのかで詳しく説明しています。
無料で使えることと、お祝い金がもらえることは別の話です。手数料を取らないのは法律のルールで、お祝い金を出すのはサービスごとの販促でした。この販促のほうが、指針の改正で原則できなくなりました。
お祝い金は今もらえる?指針の改正で原則禁止になった時期と範囲
お祝い金を規制しているのは、職業安定法第48条にもとづく「職業紹介事業者、求人者、労働者の募集を行う者、募集受託者、募集情報等提供事業を行う者、労働者供給事業者、労働者供給を受けようとする者等がその責務等に関して適切に対処するための指針」(平成11年労働省告示第141号)です。長い名前なので、以下では「指針」と書きます。
| 対象 | 適用日 | 決まった内容 |
|---|---|---|
| 転職エージェントなどの職業紹介事業者 | 2021年4月1日 | 「就職お祝い金」などの名目で求職者に金銭等を提供して、求職の申込みを勧めることを禁止 |
| 同上(許可条件への追加) | 2025年1月1日 | お祝い金等の提供の禁止と、紹介して就職した人への2年間の転職勧奨の禁止が、事業の許可条件に加わった |
| 求人サイト・求人情報誌などの募集情報等提供事業者 | 2025年4月1日 | 労働者になろうとする人に金銭やギフト券等を提供して利用を勧めることを原則禁止(令和6年厚生労働省告示第318号) |
転職エージェント(職業紹介事業者)は2021年4月から
東京労働局の案内では、2021年4月1日から「就職お祝い金」などの名目で求職者に金銭等を提供して求職の申込みを勧めることが禁止されたと説明しています。石川労働局の資料によると、それまでの指針では「好ましくない」という扱いで、この改正で禁止に改められました。
指針の文言は「お祝い金その他これに類する名目で社会通念上相当と認められる程度を超えて求職者に金銭等を提供することによって行ってはならない」というものです。名目が「お祝い金」でなくても、同じような趣旨のお金なら対象になります。
さらに2025年1月1日からは、この禁止が職業紹介事業の許可条件に加わりました。厚生労働省のリーフレットによると、2025年1月1日以降の許可や許可の更新には条件が付き、更新前に違反した事業者には是正指導を行ったうえで条件を付けるとしています。あわせて、紹介で就職した人(期間の定めのない労働契約の人)に、就職した日から2年間は転職を勧めてはならないことも許可条件になりました。
求人サイト・求人情報誌(募集情報等提供事業者)は2025年4月から
求人サイトや求人情報誌、スカウトサービスのような募集情報等提供事業者は、それまで禁止の対象ではありませんでした。2024年10月11日の告示(令和6年厚生労働省告示第318号)で指針が改正され、2025年4月1日から次のルールが適用されています。
- 労働者になろうとする人に金銭等を渡して利用を勧めることは「好ましくなく」、お祝い金などの名目で社会通念上相当と認められる程度を超えて渡してはならない
- 厚生労働省のQ&Aでは、ポイントカードのポイントも金銭と同じように使えるので原則禁止の対象としている
- 例外として示されているのは、サービス改善のアンケート回答者から抽選で少数に500円程度の電子ギフト券を渡す場合と、転職フェアの来場者やブース訪問者に500円程度の電子ギフト券を渡す場合(求人サイトへの登録の対価は除く)
つまり、「登録して採用が決まったら数万円」というお祝い金は、エージェントでも求人サイトでも、今は原則として出せない形になっています。
なぜ禁止されたのか
東京労働局の説明では、職業紹介事業者が自分で紹介した就職者に「転職したらお祝い金を出す」と持ちかけ、紹介手数料を繰り返し得ようとする事例がありました。このような行為は労働市場の需給調整の働きをゆがめ、働く人の雇用の安定を損なうため禁止されたとしています。
求人サイトについては、厚生労働省のリーフレットで、お金目当ての早期離職や転職につながるおそれに加え、採用された人が複数のサイトに採用を報告し、企業が複数の事業者から成功報酬を請求されるトラブルが起きていたことが理由に挙げられています。
「お祝い金あり」の表示を見たときの見分け方
指針で規制されたのは、転職エージェントや求人サイトなどの「仲介する側」が出すお金です。今でも「入社祝い金あり」と書かれた求人を見かけることがあります。仲介事業者ではなく、採用する会社自身が自社の制度として出す手当であれば、この指針(仲介事業者向けの規制)の対象ではありません。誰が払うのかで意味がまったく変わるので、次の順で確かめてください。
| 誰が払うか | 今の扱い | 確かめること |
|---|---|---|
| 転職エージェント | 2021年4月から原則禁止 | 「登録・入社でお祝い金」と案内された時点で、その事業者の運営に注意する |
| 求人サイト・求人情報誌・スカウトサービス | 2025年4月から原則禁止(ポイントも対象) | 500円程度のアンケート抽選などの例外か、登録や採用の対価かを見る |
| 採用する会社自身 | この指針の禁止の対象ではない | 支給の条件・時期・返還の決まりを労働条件の書面で確かめる |
会社が出す入社祝い金で確かめたい5つのこと
会社が出す入社祝い金や支度金は、その会社の制度なので条件も会社ごとに違います。面接や内定の段階で、次の点を書面で確かめておくと後でもめにくくなります。
- 支給額と、一括か分割か(入社時・3か月後・6か月後のように分けて払う会社もある)
- 支給の条件(一定期間の在籍、試用期間の終了など)
- 支給される時期と方法(給与と一緒に振り込まれるのか)
- 途中で辞めたときに返す決まりがあるか、その範囲
- 求人票の記載と、内定時の労働条件通知書の記載が一致しているか
口頭の説明だけで判断せず、労働条件通知書や雇用契約書に書かれているかを見てください。書かれていない場合は、入社前に「入社祝い金の条件を書面でいただけますか」と頼んでかまいません。
こんな案内は避けたほうが安全です
- 転職エージェントや求人サイトの担当者から「うち経由で入社すればお祝い金を出します」と言われた
- 入社したばかりなのに、前に使ったサービスから「転職すればお祝い金を出す」と連絡が来た
- お祝い金の話ばかりで、仕事内容や労働条件の説明が少ない
- お祝い金を受け取る条件として、ほかのサービスを使わないよう求められた
どれも、指針の考え方から外れている可能性がある案内です。気になる場合は、その事業者の許可番号を確かめたうえで、都道府県労働局の需給調整事業の担当に相談できます。
転職でお金がもらえる公的な制度|再就職手当・就業促進定着手当など
「転職でお金がもらえる」と調べている人にとって、いま確実に使えるのは雇用保険の就職促進給付です。会社を辞めて基本手当(いわゆる失業保険)の受給資格を得た人が、早めに再就職したときに受け取れる可能性があります。在職中に次の会社を決めてそのまま移る場合は、基本手当の受給資格決定を受けていないので対象になりません。
| 制度 | ざっくり言うと | 主な条件 |
|---|---|---|
| 再就職手当 | 基本手当の残りの日数の60%か70%をまとめて受け取れる | 支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あるうちに、安定した職業に就く |
| 就業促進定着手当 | 再就職後の賃金が前職より下がったとき、差額の一部を受け取れる | 再就職手当を受け、同じ会社に6か月以上雇用保険の被保険者として雇われる |
| 常用就職支度手当 | 障害のある方など就職が難しい方が安定した職業に就いたとき | 支給残日数が所定給付日数の3分の1未満の方なども対象 |
| 移転費 | 就職のために住所を変える必要があるときの引っ越し費用 | ハローワークなどの紹介による就職や公共職業訓練の受講など |
| 広域求職活動費 | 遠くの会社を訪ねるときの交通費と宿泊料 | ハローワークの紹介で、往復200キロメートル以上など |
| 短期訓練受講費 | 再就職に必要な短期の教育訓練の費用の2割(上限10万円) | ハローワークの指導を受けて受講し、修了する |
| 求職活動関係役務利用費 | 面接や訓練のために子どもを預けた費用の80%(1日上限6,400円) | 面接などのために保育等のサービスを使う |
出典は、ハローワークインターネットサービス「就職促進給付」と、厚生労働省・都道府県労働局・ハローワークのリーフレット(再就職手当・就業促進定着手当)です。条件の細部は個別に判断されるので、申請前にハローワークの給付窓口で確かめてください。
まず基本手当の受給資格があるかを確かめる
再就職手当などは、基本手当の受給資格があることが前提です。ハローワークインターネットサービスの案内では、原則として離職の日以前2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上あることが条件です。倒産や解雇などで辞めた特定受給資格者や、やむを得ない理由で辞めた特定理由離職者は、離職前1年間に通算6か月以上で足ります。
受給できる期間は、原則として離職した日の翌日から1年間です。この期間を過ぎると、所定給付日数が残っていても受け取れなくなるので、辞めたら早めにハローワークで求職の申込みと受給手続きをしてください。
再就職手当がもらえる8つの条件
ハローワークのリーフレットでは、次の条件をすべて満たす必要があるとしています。
- 受給手続き後、7日間の待期期間が終わってから就職したこと
- 就職日の前日までの失業の認定を受けたうえで、基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あること
- 辞めた会社に再び就職したのではないこと(資本・資金・人事・取引で密接な関係がある会社も含む)
- 給付制限がある人は、待期期間が終わってから1か月の間は、ハローワークか職業紹介事業者の紹介で就職したこと
- 1年を超えて勤務することが確実であること
- 原則として雇用保険の被保険者になっていること
- 過去3年以内の就職で、再就職手当や常用就職支度手当を受けていないこと
- 受給資格決定(求職申込み)の前から内定していた会社ではないこと
4つ目の条件は見落としやすいところです。自己都合で辞めて給付制限がある人が、待期明けから1か月以内に知人の紹介や求人サイトへの直接応募で就職すると、再就職手当の対象から外れます。転職エージェント(職業紹介事業者)の紹介で決まった場合は、この条件を満たせます。申請は就職した日の翌日から1か月以内です。
再就職手当の申請の流れ
- ハローワークで求職の申込みと受給手続きをして、7日間の待期期間を過ごす
- 就職が決まったら、就職日の前日までの失業の認定を受ける(支給残日数はこの時点で決まる)
- 就職した日の翌日から1か月以内に、再就職手当の支給申請書を提出する(本人のほか、代理人や郵送でも提出できる)
- ハローワークが条件を確かめ、支給が決まると指定の口座に振り込まれる
手続きの細かい流れは、受給手続きのときに配られる「受給資格者のしおり」に書かれています。再就職手当を受けたあとに万一辞めて失業の状態になった場合は、再就職手当の分を除いた残りの日数分を受給できる可能性があるので、ハローワークに相談してください。
再就職手当はいくらになる?計算の例
金額は「基本手当日額 × 支給残日数 × 給付率」で計算します。支給残日数が所定給付日数の3分の2以上なら70%、3分の1以上なら60%です。基本手当日額には上限があり、2026年8月1日からの上限は離職時60歳未満の方で6,745円、60歳以上65歳未満の方で5,454円です(ハローワークのリーフレットによる)。
給付率が60%になるか70%になるかの境目は、所定給付日数ごとに次のとおりです(ハローワークのリーフレットの表から抜粋)。
| 所定給付日数 | 60%になる支給残日数 | 70%になる支給残日数 |
|---|---|---|
| 90日 | 30日以上 | 60日以上 |
| 120日 | 40日以上 | 80日以上 |
| 150日 | 50日以上 | 100日以上 |
| 180日 | 60日以上 | 120日以上 |
| 270日 | 90日以上 | 180日以上 |
同じリーフレットには、次の計算例が載っています。
- 基本手当日額4,000円・所定給付日数90日の人が、給付制限期間中に就職した場合: 支給残日数90日で給付率70%、4,000円 × 90日 × 70% = 252,000円
- 基本手当日額4,000円・所定給付日数270日の人が、受給資格決定日から50日目に就職した場合: 支給残日数228日で給付率70%、4,000円 × 228日 × 70% = 638,400円
- 同じ人が100日目に就職した場合: 支給残日数178日で給付率60%、4,000円 × 178日 × 60% = 427,200円
早く就職するほど給付率も残日数も大きくなるので、受け取れる額は増えます。基本手当日額や所定給付日数は人によって違うので、受給資格者証の記載で確かめてください。基本手当そのものの仕組みは転職で失業保険はもらえるかにまとめています。
就業促進定着手当は上限が20%になった
再就職手当を受けた人が、同じ会社に6か月以上雇われ、その6か月の賃金が離職前より低いときに受け取れるのが就業促進定着手当です。上限は「基本手当日額 × 支給残日数 × 20%」です。2025年3月31日以前に再就職して再就職手当を受けた場合は、給付率70%なら30%、60%なら40%が上限でした。2025年4月1日以降の再就職では一律20%になっています。申請期間は、再就職した日から6か月が過ぎた日の翌日から2か月間です。
雇用保険の給付に税金はかからない
雇用保険法第12条で、失業等給付として受け取ったお金には税金などを課すことができないと定められています。再就職手当や就業促進定着手当も失業等給付に含まれるので、所得税はかかりません。会社が出す入社祝い金は失業等給付ではないので、この非課税の扱いとは別です。税金の扱いは支給の名目や会社の規程で変わるので、会社の人事や給与明細で確かめてください。
「転職準備金」は自分で用意する|退職から入社までにかかるお金
「転職 準備金」と調べる人も多いのですが、転職準備金という名前の公的な制度はありません。退職してから次の会社の初任給が入るまでの生活費は、基本的に自分で用意することになります。どれくらい必要かは、退職のタイミングと雇用保険の給付制限で大きく変わります。
自己都合で辞めたときの給付制限は原則1か月
厚生労働省の案内では、退職日が2025年4月1日以降なら、正当な理由のない自己都合退職の給付制限は原則1か月です。ただし、退職日からさかのぼって5年間に、正当な理由のない自己都合退職で受給資格決定を2回以上受けている場合(今回が3回目以降)と、自分の責任による重大な理由で解雇された場合は3か月です。また、離職期間中や離職日前1年以内に対象の教育訓練を受けると、給付制限が解除されます。
自己都合で辞める場合は、受給手続きのあと7日間の待期期間と1か月の給付制限があり、そのあと失業の認定を受けてから基本手当が振り込まれます。退職から最初の振込までは1か月以上空くので、認定日の日程はハローワークで確かめてください。
退職から入社までに出ていくお金の一覧
| 項目 | いつ必要か | 注意点 |
|---|---|---|
| 家賃・食費・光熱費などの生活費 | 毎月 | 初任給の支払日は入社月の翌月になる会社もある |
| 健康保険(国民健康保険か任意継続) | 退職の翌日から | 退職日の翌日から次の会社に入るまで空くと、自分で加入手続きが必要 |
| 国民年金 | 退職の翌日から | 空白期間がある場合は市区町村で第1号被保険者の手続きをする |
| 住民税 | 退職後の残り | 前年の所得にかかるので、収入がない月も払う必要がある |
| 転職活動費(交通費・スーツなど) | 活動中 | オンライン面接を使うと交通費を減らせる |
| 引っ越し費用 | 入社前 | 家賃補助や引っ越し費用を会社が負担するかを先に確かめる |
引っ越しを伴う転職では、会社の家賃補助や社宅の有無で負担が大きく変わります。Re:WORKの公開求人では、社宅・家賃補助制度がある求人が5,290件ありました(2026年10月17日時点)。引っ越しの段取りは転職で引っ越しが必要なときの準備で整理しています。
準備金を少なくするなら在職中に決める
いちばん確実に準備金を減らす方法は、在職中に次の会社を決めて、退職日と入社日の間を空けないことです。空白がなければ、生活費も保険の切り替えの手間も最小限で済みます。辞めてから活動するか在職中に活動するかの比べ方は転職活動は在職中と辞めてからどっちがいいかを参考にしてください。
すでに退職している場合は、早めに再就職するほど再就職手当が多くなります。ハローワークで受給手続きをしたうえで、転職エージェントの紹介も並行して使うと、給付制限中の就職でも再就職手当の条件を満たしやすくなります。
転職の注意点|辞める前にお金の面で確かめておきたい6つのこと
お祝い金がなくなった今、転職で手元のお金を減らさないためにいちばん効くのは、辞める前の確認です。退職日を数日ずらすだけで受け取れる額が変わる項目もあるので、退職を伝える前に就業規則と給与明細を見ておいてください。
| 確かめること | 見る場所 | 注意点 |
|---|---|---|
| 賞与の支給日と在籍の条件 | 就業規則・賃金規程 | 「支給日に在籍している人に支給」とする会社では、支給日前に辞めると受け取れないことがある |
| 有給休暇の残りの日数 | 給与明細・勤怠システム | 退職日までに消化できるよう、引き継ぎの日程と合わせて退職日を決める |
| 退職金の有無と勤続年数の条件 | 退職金規程 | 「勤続3年以上」などの条件があると、少し前に辞めるだけで受け取れないことがある |
| 雇用保険の被保険者期間 | 雇用保険被保険者証・給与明細 | 自己都合なら原則、離職日以前2年間に通算12か月以上ないと基本手当を受け取れない |
| 退職日と社会保険料 | 次の会社の入社日 | 退職日と入社日の間が空くと、その間は国民健康保険と国民年金の手続きと支払いが必要になる |
| 住民税の払い方 | 住民税の通知書・給与明細 | 給与天引きができなくなった分は、自分で納める形に切り替わることがある |
退職から再就職手当を受け取るまでの流れ
辞めてから転職活動をする場合の流れを、お金の動きと合わせて並べると次のようになります。
- 退職前に就業規則で賞与・有給休暇・退職金の条件を確かめ、退職日を決める
- 退職後、会社から届く離職票を持ってハローワークで求職の申込みと受給手続きをする(条件を満たせばマイナポータルで離職票を受け取れる場合もある)
- 7日間の待期期間のあと、自己都合退職なら原則1か月の給付制限がある
- 給付制限中に就職する場合は、ハローワークか転職エージェントなど職業紹介事業者の紹介で決める
- 就職が決まったら就職日の前日までの失業の認定を受け、就職した翌日から1か月以内に再就職手当を申請する
- 再就職先に6か月以上勤め、賃金が下がっていれば就業促進定着手当を申請する(6か月経過の翌日から2か月間)
退職を伝えてから最終出社までの段取りは内定から退職までの流れで確認できます。
お祝い金を基準に転職先を選ばないほうがいい理由
お祝い金が原則禁止になった今でも、会社が出す入社祝い金や、ほかの金銭的な特典を理由に求人を選びたくなることはあります。ただ、数万円の一時金より、毎月の給料や手当、続けやすさのほうが長い目で見た差は大きくなります。
- 入社祝い金は在籍条件付きのことが多く、合わずに早く辞めると受け取れない
- 一時金があっても、月給や賞与、昇給の仕組みが弱ければ数年で差が逆転する
- 短期間で辞めると、次の転職で在籍期間の短さを説明する必要が出る
- お金の条件に気を取られ、残業時間や休日、仕事内容の確認が甘くなりやすい
短期で辞めた場合の影響と立て直し方は短期離職は転職で不利かで解説しています。
お金で損をしない転職先の比べ方|一時金より毎月と将来の差を見る
転職で手元に残るお金を増やしたいなら、求人票と労働条件通知書で次の項目を比べるのが近道です。1年分、3年分で見ると、どこに差があるかがはっきりします。
| 比べる項目 | 見るところ | 差が出やすい点 |
|---|---|---|
| 月給 | 基本給と固定残業代の内訳 | 固定残業代が多いと、基本給が低く賞与にも響く |
| 賞与 | 「前年実績○か月分」の記載 | 業績連動か、支給実績があるか |
| 手当 | 住宅・家族・資格・通勤手当 | 家賃補助は毎月なので、1年で大きな額になる |
| 退職金 | 制度の有無と勤続何年から出るか | 勤続年数が短いと出ない会社もある |
| 休日と残業 | 年間休日、月の平均残業時間 | 時給に直すと、月給が高くても割に合わないことがある |
福利厚生の確認のしかたは転職先の福利厚生は4点を確認、年収が下がらないようにする考え方は転職先で給料が下がる原因と年収を守る方法にまとめています。
一時金の代わりに見たい会社の制度
入社時の一時金よりも、毎月や毎年効いてくる制度のほうが、長く働くほど差が大きくなります。Re:WORKの公開求人13,784件(2026年10月17日時点)で、お金に関わる制度がある求人の件数は次のとおりでした。
| 求人の特徴 | 件数 | 効いてくる場面 |
|---|---|---|
| 社宅・家賃補助制度 | 5,290件 | 毎月の家賃。引っ越しを伴う転職では特に大きい |
| 資格取得支援制度・資格手当 | 5,139件 | 受験費用の補助や、取得後の毎月の手当 |
| 退職金制度 | 5,049件 | 長く勤めたときの将来の受け取り |
| 交通費全額支給 | 4,100件 | 通勤距離が長い人の毎月の自己負担 |
| インセンティブあり | 2,304件 | 成果に応じて給与に上乗せされる分 |
同じ月給でも、家賃補助や資格手当の有無で手取りは変わります。求人を比べるときは、月給の数字と一緒にこうした制度の欄も見てください。
転職エージェントを使うときに確かめたいこと
転職エージェントは、求職者の方は無料で使えます。求人票だけでは分かりにくい条件は、担当アドバイザーを通じて企業に確かめられます(確認できる範囲は企業ごとに違います)。自分では聞きにくいお金の条件ほど、担当者に相談してみてください。
確かめてもらうときは、次のように具体的に頼むと、何を確認すればいいかが伝わりやすくなります。
- 「月給のうち固定残業代は何時間分で、超えた分は別に支給されますか」
- 「賞与は昨年度、何か月分の支給実績がありますか」
- 「住宅手当や家賃補助は、入社何か月目から、いくら出ますか」
- 「入社祝い金がある場合、支給の時期と在籍の条件を書面でいただけますか」
- 「初任給の締め日と支払日はいつですか」
最後の支払日は見落とされがちですが、退職から初任給までの生活費、つまり準備金をいくら用意すればいいかを決める大事な情報です。
複数のエージェントを使う場合の注意点は転職エージェントの複数登録は何社までかで説明しています。
よくある質問
Q. 転職エージェントのお祝い金は、いつから禁止ですか?
職業紹介事業者が「就職お祝い金」などの名目で金銭等を提供して求職の申込みを勧めることは、2021年4月1日から指針で禁止されています。2025年1月1日からは、この禁止が職業紹介事業の許可条件にも加わりました。
Q. 求人サイトのお祝い金やポイントはもらえますか?
求人サイトや求人情報誌などの募集情報等提供事業者も、2025年4月1日から金銭やギフト券等の提供が原則禁止になりました。厚生労働省のQ&Aでは、ポイントの付与も原則禁止の対象です。アンケートの抽選で少数に500円程度の電子ギフト券を渡すような場合は対象外とされています。
Q. 求人票に「入社祝い金あり」と書いてあるのは違法ですか?
採用する会社自身が自社の制度として出す入社祝い金は、仲介事業者のお祝い金を規制した指針の対象ではありません。支給の条件や時期、返還の決まりを、労働条件通知書などの書面で確かめてから判断してください。
Q. 転職で国からもらえるお金はありますか?
雇用保険の基本手当の受給資格がある人が早めに再就職すると、再就職手当を受け取れる場合があります。支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あり、1年を超えて働くことが確実であることなどが条件です。再就職後の賃金が下がった場合は、就業促進定着手当もあります。
Q. 再就職手当に税金はかかりますか?
かかりません。雇用保険法第12条で、失業等給付として受け取ったお金には税金などを課せないと定められており、再就職手当も含まれます。
Q. 転職エージェント経由で就職しても再就職手当はもらえますか?
ほかの条件を満たしていればもらえます。給付制限がある人は、待期期間が終わってから1か月の間はハローワークか職業紹介事業者の紹介で就職したことが条件になるので、転職エージェントの紹介による就職はこの条件に当てはまります。
Q. 再就職手当をもらったあとにすぐ辞めたら、返す必要はありますか?
ハローワークのリーフレットでは、再就職手当を受けたあとに離職して失業の状態になった場合、再就職手当の分を除いた残りの日数分の基本手当を受給できる可能性があると案内しています。個別の扱いはハローワークの給付窓口で確かめてください。
まとめ|お祝い金は原則なくなった。公的な手当と毎月の条件で比べる
- 転職エージェントは2021年4月1日から、求人サイトなどは2025年4月1日から、お祝い金などで利用を勧めることが原則禁止
- 「入社祝い金あり」は、採用する会社が出す制度かどうかを確かめ、条件を書面で見る
- 公的に使えるのは再就職手当・就業促進定着手当などの就職促進給付で、税金はかからない
- 転職準備金という制度はなく、退職から初任給までの生活費は自分で用意する。自己都合退職の給付制限は2025年4月以降、原則1か月
- 一時金より、月給・賞与・手当・休日など毎月と将来の差で転職先を比べる
Re:WORKは未経験からの転職に特化した転職エージェントで、求職者の方は無料で使えます。求人票だけでは分かりにくい条件の確認も担当アドバイザーを通じて行いながら、オンライン面談で全国の求人をご案内しています。「辞める前にどれくらいお金を準備すればいいか」「いまの給料より下げずに未経験職種に移れるか」といった相談だけでも大丈夫です。
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