未経験から電気工事施工管理に転職できる?仕事内容と現実を解説

未経験から電気工事施工管理に転職できる?仕事内容と現実を解説

未経験から電気工事施工管理に転職できるか?結論から答える

「電気工事施工管理に転職したいが、電気の知識がない自分でも採用されるのか不安だ」——この記事を読んでいる人の多くが、この疑問を持っているはずだ。

結論をいう。未経験から電気工事施工管理への転職は可能だ。電気工事業界は深刻な人手不足の状態が続いており、未経験者の採用に積極的な会社が増えている。さらに、データセンター・再生可能エネルギー・EV充電設備など時代の変化による需要拡大が著しく、今後10年で最も注目すべき施工管理分野の一つだ。

この記事では、電気工事施工管理の仕事内容・年収・資格・転職成功のための具体的な行動を解説する。

電気工事施工管理とは何か【仕事の定義と役割】

電気工事施工管理とは、建物・設備・インフラに必要な電気設備工事の現場を管理する仕事だ。工事の技術者(電気工事士)が実際の配線・機器設置作業を行うのに対し、施工管理者は現場全体の工程・品質・安全・原価を管理する立場だ。

「電気工事士」と「電気工事施工管理技士」は混同されやすいが、役割が根本的に異なる。電気工事士は「自分で電気工事をする人」、電気工事施工管理技士は「電気工事現場を管理・監督する人」だ。

電気工事施工管理が担当する工事の種類

  • 受変電設備工事:高圧電力を低圧に変換する変電設備の設置・管理
  • 幹線工事:建物内の主要な電気配線の敷設
  • 照明設備工事:建物・道路・施設の照明システム設置
  • 動力設備工事:エレベーター・空調・ポンプなどの動力電源設置
  • 通信・情報設備工事:LAN・電話・放送・セキュリティシステム設置
  • 太陽光・蓄電池工事:再生可能エネルギー設備の設置・配線
  • EV充電設備工事:電気自動車充電スタンドの設置

施工管理者の主な業務4分類

業務主な内容
工程管理電気工事の施工スケジュール作成・建築・設備工事との調整
品質管理配線の施工精度・絶縁抵抗測定・接地抵抗測定・検査記録
安全管理感電・落下・火災リスクの確認・KY活動・ヒヤリハット対応
原価管理材料費・外注費の管理・工事費精算

電気工事施工管理と電気工事士の違い【混同しないために】

資格の位置づけの違い

項目電気工事士電気工事施工管理技士
資格の種類技能系国家資格施工管理系国家資格
主な仕事電気設備の配線・工事作業電気工事現場の管理・監督
現場での立場作業者管理者
給与水準年収350〜500万円(目安)年収420〜750万円(目安)
キャリアの上限親方・職長クラス主任技術者・監理技術者・所長

電気工事施工管理技士を目指す場合、電気工事士の資格は必須ではない。ただし、現場の施工内容を理解するために第2種電気工事士を先に取得しておく人は多く、転職活動でも評価される。

電気工事施工管理の年収・給与【未経験からのリアル】

経験年数・資格別の年収目安

経験・資格レベル年収の目安
未経験入社1年目300〜380万円
入社2〜3年目370〜450万円
2級電気工事施工管理技士取得後420〜580万円
1級電気工事施工管理技士取得後540〜730万円
監理技術者として10年以上700〜1,000万円

電気工事施工管理の給与が比較的高い理由

電気工事施工管理は、建築・土木・管工事と比較してやや年収が高い傾向がある。理由は「専門知識の複雑さ(電気・通信・制御系の知識が必要)」「資格保有者の絶対数が少ない」「データセンターや半導体工場など高単価工事の需要増」が重なっているためだ。

未経験で電気工事施工管理に転職した場合の「現実」

入社後に最初に感じる3つの壁

  • 電気の専門用語の多さ:「三相・単相」「VVF・IV・CV」「A種接地・C種接地」などの用語が飛び交う。最初の1〜3か月は用語を覚えることに多くの時間を費やす
  • 図面の複雑さ:電気設備図面は建築図面と記号体系が異なる。系統図・単線結線図・施工図の読み方に慣れるまで時間がかかる
  • 安全への高い意識が求められる:電気工事は感電・漏電・火災リスクが高く、安全管理への意識を高く持つことが最初から求められる

入社後6か月〜1年での成長実感

電気工事施工管理は「覚えることが多い仕事」だが、半年〜1年で「現場の流れが読める」状態になれる人が多い。工程管理・書類作成・材料発注など、施工管理の基本的な業務は電気に限らず共通の知識・スキルが活きる部分が多い。前職が管理職・品質管理・営業などの経験者は、施工管理の「管理業務」の部分に対して特に適応が早い。

転職後に後悔したケースと回避策

後悔のパターン回避するための確認事項
「電気の基礎知識が全くない状態で現場に出された」入社前研修・OJT期間の内容を面接で確認する
「担当現場が多すぎて勉強する余裕がない」入社1〜2年目の担当現場数を事前に確認する
「深夜・休日作業が多く私生活に支障が出た」工事種別(商業施設改修など深夜作業が多い種別)を事前確認する

電気工事施工管理者が現場で扱う知識とスキル

電気設備の基礎知識【種類別に整理】

電気工事施工管理者が担当する設備の種類は多岐にわたる。主な設備と管理上のポイントを整理する。

受変電設備の施工管理

高圧電力(6,600V)を建物内で使用できる低圧(100V・200V)に変換する受変電設備は、建物の電気設備の「心臓部」にあたる。施工管理では変圧器・遮断器・計器の設置・試験・電力会社との竣工前検査への対応が主な業務だ。

幹線・分電盤工事の施工管理

受変電設備から各フロア・各設備への電力を供給する幹線工事と分電盤の設置は、建物の電気施工管理の基本となる工事だ。ケーブルの仕様・敷設方法・絶縁抵抗測定・接地工事の施工精度確認が主な管理業務となる。

防災・通信設備の施工管理

自動火災報知設備・非常放送設備・非常用照明・通信設備(LAN・電話)は、建物の安全・機能に直結する設備だ。消防検査・建築確認検査への対応、関係業者(通信会社・消防署)との調整も施工管理者の重要な業務だ。

電気設備図面の種類と読み方

電気工事の現場で使う主な図面の種類は以下の通りだ。

  • 単線結線図:受変電設備〜分電盤の系統を簡略化した図。電気設備の全体像を把握するのに使う
  • 電灯・動力配線図(平面図):各フロアのコンセント・照明・動力設備の配置と配線を示す
  • 接地系統図:A種〜D種の各接地工事の系統を示す図
  • 施工図(詳細図):盤内配線・ケーブル敷設経路の詳細を示す

電気施工管理で使うソフト・測定器

種類内容・用途
CAD(AutoCAD等)施工図の作成・修正
Excel・Word施工計画書・検査記録・日報の作成
絶縁抵抗計(メガー)配線の絶縁抵抗を測定する試験器
接地抵抗計接地工事の接地抵抗値を測定する試験器
クランプメーター配線の電流値を非接触で測定する計測器

電気工事施工管理に転職したあとのキャリアパス

典型的なキャリアの進み方

段階目安の年数立場・役割年収目安
入社〜OJT期間1〜3年現場補助・先輩に同行300〜400万円
2級取得後3〜7年主任技術者・現場担当420〜580万円
1級取得後7〜15年監理技術者・現場所長補佐540〜730万円
管理職・ベテラン15年〜現場所長・部門長・技術顧問750万円〜

電気施工管理者の転職先バリエーション

電気工事施工管理技士の資格と経験は、電気工事会社以外にも幅広い転職先で評価される。

  • ゼネコンの電気部門:大規模建設プロジェクトで電気施工管理を担当
  • データセンター運営会社:電気設備の保守・管理・改修工事の発注管理
  • 電力会社・電力系子会社:変電所・送配電設備の工事管理
  • 再エネ開発会社:太陽光・風力発電設備の施工管理・運用管理
  • 電気設備コンサルタント:設計・監理・技術顧問として施工管理経験を活かす

独立・起業の可能性

1級電気工事施工管理技士は電気工事業の専任技術者要件を満たす。建設業許可(電気工事業)の取得に必要な要件の一つを満たすことができるため、独立して電気工事会社を設立するルートがある。10年以上の実務経験と営業力・資金調達が準備できれば、独立後に年収1,000万円超を実現するケースもある。

電気工事施工管理技士の資格概要

試験の基本情報

項目詳細
主管機関一般財団法人 建設業振興基金
試験日程年2回(前期:6月、後期:11月)
受験資格(第一次)17歳以上(学歴・実務経験不問)
合格率(第一次)55〜70%程度
合格率(第二次)40〜60%程度
受験料第一次のみ5,400円、両方10,800円

第一次検定の主な出題分野

  • 電気工学(電力・電気回路・電動機・変圧器)
  • 電気設備(受変電設備・幹線・照明・通信)
  • 関連分野(建築・機械設備の基礎知識)
  • 施工管理法(工程・品質・安全・原価管理)
  • 法規(建設業法・電気事業法・消防法・労働安全衛生法)

勉強時間の目安

電気の専門知識をゼロから学ぶ場合、第一次検定合格に必要な勉強時間は150〜200時間が目安だ。電気工事士の資格を持っている人は電気工学分野の基礎があるため、100〜130時間程度で合格できるケースも多い。

電気工事施工管理の将来性【なぜ今が最も参入しやすい時期か】

データセンター建設ラッシュによる需要急増

国内外のクラウドサービス・AI・ビッグデータの普及により、データセンターの新設・増設が急増している。データセンターは「電気設備の塊」といえる建物で、受変電設備・UPS(無停電電源装置)・冷却システム・通信設備など、あらゆる電気設備工事が集中する。1棟のデータセンター建設に関わる電気工事費は数十億〜数百億円規模になることも珍しくない。

再生可能エネルギー設備の拡大

太陽光・風力・地熱・水力など再生可能エネルギー設備の普及が続いている。これらの設備に必要な系統連系・変電設備・蓄電池システムの設置工事は、すべて電気工事施工管理者の仕事だ。政府が2030年度の再エネ比率36〜38%という目標を掲げており、この分野の工事量は今後も増加が確実だ。

EV・スマートグリッド関連工事

電気自動車の普及に伴い、EV充電設備の設置工事が急増している。マンション・駐車場・商業施設・オフィスビルへの充電設備設置は、今後5〜10年で急拡大する市場だ。スマートグリッド(次世代電力網)の整備も電気工事施工管理者の新たな活躍の場となっている。

老朽化した電気設備の更新需要

昭和〜平成初期に建設された建物の電気設備は更新時期を迎えており、改修・リニューアル工事の需要が高まっている。新築工事が減少しても、既存建物の設備更新工事がこれを補って余りある需要を生み出している。

電気工事施工管理の現場で経験できること【未経験者の成長ストーリー】

入社1年目で覚えること

電気工事施工管理の仕事は「覚えることが多い」というのは事実だが、1年目で習得すべきことと2〜3年目以降に習得することは整理できる。

1年目に覚える(覚えられる)こと

  • 現場の朝礼・KY活動の進め方と安全確認ポイント
  • 電気設備図面の基本的な読み方(平面図・単線結線図)
  • 主要な電気材料・工具の名称と用途(VVFケーブル・IV線・圧着端子・電線管など)
  • 基本的な測定器の使い方(メガー・クランプメーター)
  • 施工写真の撮り方・整理の仕方
  • 日報・施工記録の作成方法

2〜3年目以降に身につくこと

  • 複数業者の工程調整と現場全体のマネジメント
  • 電気工事施工管理技士の第二次検定合格に向けた実務経験の蓄積
  • 受変電設備・自動制御系統の施工管理
  • 消防検査・竣工検査への対応
  • 発注者・設計者への報告・折衝

異業種からの転職者が活かせる経験

電気工事施工管理は「電気の専門知識」だけが評価されるわけではない。以下のような異業種経験が現場でも活きる。

前職電気工事施工管理で活かせる経験
製造業(品質管理・生産管理)工程管理・品質管理の考え方・改善提案力
営業職発注者・協力会社との折衝・関係構築力
IT・システムエンジニア通信・制御設備の理解・DXツールの活用力
電気工事士(作業者)施工内容の深い理解・職人とのコミュニケーション力
工場のライン管理安全管理・危険予知・チームマネジメント力

電気工事業界の現状と未経験者参入のチャンス

電気工事業界の人手不足の実態

建設業全体の就業者数が減少する中、電気工事業界の人手不足は特に深刻だ。電気工事施工管理技士(1・2級)の有資格者数は他の施工管理系資格と比較してもボリュームが少なく、希少性が高い状態が続いている。

経済産業省の「電気工事施工管理者不足に関する調査」でも、電気工事業者の約7割が技術者不足を感じており、未経験者の採用・育成に積極的に投資している会社が多い。

データセンター・再エネが生み出す新しい仕事

従来の電気工事施工管理は「建物の電気設備工事」が中心だったが、近年は以下の新しい分野が急成長している。

  • 大規模データセンターの電力設備工事:1棟の電気工事費が数十億〜数百億円規模のプロジェクトが増加
  • 太陽光発電所の連系工事:大規模太陽光発電所の系統連系・変電設備工事
  • 洋上風力発電の海底ケーブル工事:今後10年で急拡大が見込まれる分野
  • EV充電設備の大量設置工事:商業施設・マンション・公共施設へのEV充電器設置が急増
  • スマートビル・ZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)の設備工事:省エネ基準の厳格化に伴う高付加価値設備の需要増

電気工事施工管理への転職を成功させるための準備

転職前に取得を検討すべき資格・知識

  • 2級電気工事施工管理技士(第一次検定):17歳以上で受験可能。転職活動で最も有効な資格だ
  • 第2種電気工事士:電気工事の基礎知識・技能を証明できる。学習内容が電気工事施工管理技士の試験範囲と重複する部分も多い
  • CAD基礎(AutoCAD):電気設備図面の作成・修正に使用するCADの基本操作

面接で評価される自己PR例

電気工事施工管理への転職面接では、「なぜ電気工事の施工管理か」「未経験でも貢献できる自分の強みは何か」が問われる。効果的な自己PRの要素は以下の通りだ。

  • 前職での「管理経験」「スケジュール管理」「チームリーダー経験」を具体的に話す
  • 「電気工事施工管理技士の第一次検定の勉強を開始している(または合格した)」という事実を示す
  • 「データセンター・再エネ施設など成長分野で長期的に携わりたい」という具体的なキャリアビジョンを示す

求人選びのチェックポイント

  • 担当する工事の種類(住宅か大型建物か・新築かリニューアルか)
  • 先輩社員のフォロー体制(OJT期間・メンター制度の有無)
  • 資格取得支援の内容(費用負担・合格一時金・資格手当)
  • 月平均残業時間の実態(繁閑の波が大きいか)
  • 女性や若手の在籍状況(定着率の目安になる)

電気工事施工管理者が語るリアルな職場体験

Aさん(28歳・元IT会社員→電気工事施工管理)

「SIer(システムインテグレーター)でサーバーの設置・ネットワーク構築をしていたが、データセンターの急成長を見て電気工事施工管理への転職を決めた。ITの知識が電気施工管理の通信設備工事の部分でそのまま活きており、入社後に先輩から『通信系の図面の読み方が早い』と言われた。転職1年目でも第一次検定に合格でき、2年目からは通信設備の担当を任されるようになった」

Bさん(31歳・元電気工事士→電気工事施工管理)

「電気工事士として10年現場作業をしてきたが、体力的な限界を感じて施工管理に転向した。施工管理に転向した最大のメリットは年収アップだ。工事士として働いていたときより年収が年間80万円増加した。現場の感覚がわかっているため、後輩職人への指示も出しやすく、所長からの評価も高い」

Cさん(35歳・元製造業→電気工事施工管理)

「製造業で設備保全(電気系)をしていたが、給与の上限に不満を感じて転職した。電気施工管理に転職するにあたり、まず第2種電気工事士と2級電気工事施工管理技士の第一次検定を在職中に取得した。転職後は太陽光発電所の工事を主に担当しており、再エネの拡大とともに仕事が増え続けている実感がある」

電気工事施工管理への転職活動の進め方

転職活動の全体フロー

電気工事施工管理への転職活動は以下のステップで進めると効率的だ。

  • STEP 1:転職の軸を決める(担当したい工事の種類・勤務地・年収目標)
  • STEP 2:転職前に2級電気工事施工管理技士の第一次検定の勉強を開始する
  • STEP 3:転職エージェントに登録し、業界事情・求人情報を収集する
  • STEP 4:書類選考・面接対策を行い、応募を開始する
  • STEP 5:内定・条件交渉・入社

転職エージェントを活用するメリット

電気工事施工管理への転職では、転職エージェントを使うことで以下のメリットが得られる。

  • 求人票に載っていない残業実態・OJT体制・定着率などの内情を入手できる
  • 施工管理専門のアドバイザーから「自分の経歴に合った求人」を紹介してもらえる
  • 給与・入社日などの条件交渉を代行してもらえる
  • 面接対策・職務経歴書の添削で選考通過率を上げられる

転職活動の期間の目安

電気工事施工管理への転職活動にかかる期間の目安は2〜4か月だ。内定を急ぎすぎると「入社後のミスマッチ」が起きやすいため、会社の実態をしっかり確認しながら進めることが重要だ。現職がある場合は在職中に転職活動を進め、内定後に退職することが基本的な進め方だ。

電気工事施工管理に向いている人・向いていない人

向いている人の特徴

  • 電気・電子・IT系の知識・興味がある人
  • データセンター・再エネ・EVなど最先端の設備に携わりたい人
  • 図面・数値・技術ドキュメントを読むことへの抵抗感がない人
  • 安全に対して高い意識を持てる人(電気の危険性を正しく認識できる人)
  • 複数の業者・工種と調整しながら仕事を進めることが得意な人

向いていない人の特徴

  • 電気・技術分野への興味がほぼない人(専門知識の習得が苦痛になる)
  • 現場への立ち入り・屋外作業への強い抵抗感がある人
  • 高所・限られた空間での作業確認が困難な人

電気工事施工管理のキャリアアップ事例

事例1:未経験入社→データセンター専任担当(26歳〜31歳の軌跡)

大学卒業後にIT系企業でインフラ担当として3年勤務後、26歳で電気工事会社に転職。入社前に第2種電気工事士の取得を済ませており、転職活動をスムーズに進めた。入社1年目に2級電気工事施工管理技士の第一次検定に合格。ITバックグラウンドを活かし、2年目からデータセンター向け電気設備工事を専担として任された。4年目(30歳)に1級第一次検定も合格。年収は転職当初の360万円から5年間で580万円に成長した。

事例2:電気工事士(作業者)から施工管理者に転向(33歳)

20代から電気工事士として作業現場で13年間経験を積んだ後、「身体の限界が来る前に管理職に転向したい」と考えて施工管理者に転職。現場知識が豊富なため、入社直後から職人への指示出しが的確で上司から高評価を受けた。転職前年収350万円→転職後1年目430万円、2級取得後490万円と順調に増加。「施工管理技士は作業経験のある人が特に活躍しやすい」と語る。

電気工事業界の主要企業と転職市場の実態

電気工事会社の種類と規模感

規模特徴未経験採用の可能性
大手(関電工・きんでん・九電工など)大規模プロジェクト・全国展開・福利厚生が充実中(競争率がある)
中堅(地域の有力電気工事会社)地域密着・転勤少・幅広い工事種別を経験できる高い(人手不足を強く感じている)
電気通信系(通信工事専門)LAN・通信・セキュリティ設備に特化・IT親和性高い高い(IT知識者を求めている)
再エネ専門(太陽光・風力)急成長中・案件が全国・高単価工事中〜高い(急拡大で採用活発)

転職市場での電気工事施工管理技士の希少性

2023年度末時点での各施工管理技士の有資格者数(目安)は以下の通りだ。有資格者の数が少ない電気工事・管工事系は特に希少性が高い。

  • 1・2級建築施工管理技士:約100万人以上(最多)
  • 1・2級土木施工管理技士:約75万人以上
  • 1・2級電気工事施工管理技士:約45万人(比較的少ない)
  • 1・2級管工事施工管理技士:約50万人

有資格者数が少ないほど転職市場での需給バランスが「買い手(求職者有利)」に傾く。電気工事施工管理技士を持って転職する場合、複数社から引き合いが来るケースが多い。

電気工事施工管理者が日常的に使う専門用語集

入社前に覚えておくと面接・入社後のコミュニケーションで役立つ専門用語を整理する。

用語意味・使用場面
受変電設備高圧電力(6,600V)を低圧(100V・200V)に変換する設備。ビル・工場の「電気の入り口」
VVFケーブルビニル絶縁ビニルシースフラットケーブルの略。一般建物の電灯・コンセント配線に最もよく使用される
IV線600V 絶縁電線の略。分電盤内の配線などに使用
CVケーブル架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル。高圧・大電流に対応した幹線ケーブル
メガー(絶縁抵抗計)配線の絶縁抵抗を測定する試験器。漏電・絶縁不良を検出するために使用
三相3線式・単相2線式電力の供給方式。三相は動力(エレベーター・空調コンプレッサー等)、単相は一般電灯に使用
ELB(漏電遮断器)漏電を検知して自動的に電流を遮断する保護装置。感電・火災防止に使用
A種・B種・C種・D種接地電気設備の安全確保のための接地工事の種類。それぞれ用途と抵抗値の規定が異なる
UPS(無停電電源装置)停電時に蓄電池でバックアップ電源を供給する装置。データセンター・病院等で必須
BAS(ビル自動化システム)Building Automation Systemの略。空調・照明・セキュリティを統合管理するシステム

電気工事施工管理の「やりがい」を感じる瞬間

竣工検査に合格した瞬間

数か月間にわたって施工管理してきた電気設備が、竣工検査で問題なく合格したときの達成感は特別だ。電力会社・消防署・建築確認検査機関など複数の検査をすべてクリアしたとき、「この建物の電気を自分が作った」という誇りを感じられる。

複雑な工程を調整して工期を守れたとき

電気工事は建築・空調・通信など多数の工種と工程が重なる。綱渡りのような工程調整を乗り越えて竣工日を守れたとき、施工管理者としての達成感は格別だ。「この現場は自分がまとめ上げた」という実感が自信につながる。

再生可能エネルギー設備が稼働を開始したとき

太陽光発電所・風力発電所など再生可能エネルギー設備の施工管理を担当した場合、設備が稼働を開始してCO2削減に貢献している実感は、社会的意義を感じるやりがいの一つだ。

よくある質問(FAQ)

Q. 電気の知識がゼロでも採用されますか?

採用される。未経験・無知識での採用を前提にしている会社が多い。ただし、内定後・入社前に基礎知識を自主的に学んでいる姿勢を見せることで評価が上がる。

Q. 電気工事士の資格は転職前に取る必要がありますか?

必須ではないが、取得しておくと有利になる。第2種電気工事士であれば筆記試験(CBT方式)と技能試験を受験する必要があるが、筆記試験は過去問を中心に3か月程度で合格できる難易度だ。電気施工管理技士の第一次検定と学習内容が重複する部分も多く、並行して学べる。

Q. 文系・理系は関係しますか?

文系出身の施工管理者も多い。電気工学の基礎は入社後に学ぶことができる。試験対策として必要な計算問題は、中学〜高校レベルの数学で対応できる範囲だ。

Q. 電気工事施工管理は将来性がありますか?

ある。データセンター・再生可能エネルギー・EV充電設備・老朽化設備の更新など、複数の需要要因が重なっており、今後10年の需要は特に拡大が見込まれる。

Q. 転職後の残業はどのくらいですか?

会社・工事の種類によって大きく異なる。月平均残業時間30〜50時間が一般的だが、竣工前や工程遅れ時は60〜80時間になるケースもある。求人票だけでなく、面接時に実際の残業実態を直接確認することを推奨する。

Q. 転職後すぐに一人で現場を担当することになりますか?

通常は先輩技術者と一緒に現場を経験する「OJT期間」が設けられる。ただし、会社によってOJT期間の長さは3か月〜1年以上と大きく異なるため、入社前に確認しておくことが重要だ。

電気工事施工管理の資格取得ロードマップ【月別行動計画】

第一次検定(6月受験)を目指す場合のサンプルスケジュール

行動内容
1月テキスト・過去問集を購入。電気工学の基礎から学習開始
2月法規・施工管理法(暗記中心)を集中学習。過去問1周目
3月電気設備(受変電・照明・通信)の専門分野を図解テキストで学習。受験申込(3〜4月頃)
4月過去問2〜3周目。苦手分野の集中復習
5月本番形式の模擬演習。正答率75%以上を目標に弱点補強
6月試験直前の総復習・本番受験

第2種電気工事士との並行取得戦略

第2種電気工事士(年2回試験:上期・下期)と電気工事施工管理技士の第一次検定は、学習内容が重複する部分が多い。以下のように並行取得を目指すと効率的だ。

  • 1月〜4月:電気工事士の筆記試験対策(CBT方式・5〜6月受験)
  • 5月〜6月:電気工事士の技能試験対策(7月受験)
  • 7月〜11月:電気工事施工管理技士の第一次検定対策(11月受験)

この順序で勉強すると、電気工事士で身につけた電気の基礎知識が施工管理技士の学習をスムーズにする。合計の勉強時間は200〜250時間程度で、両方の資格を1年以内に取得できる。

電気工事施工管理が活躍できる会社の種類

電気工事専門会社

電気工事を専門とする会社で、建築電気・通信設備・特殊電気設備(クリーンルーム・工場設備)など専門分野に特化した会社が多い。専門性を深めたい人に向いており、転勤が少ない会社が多い。

電気通信工事会社

LAN・電話・放送・セキュリティシステムなどの通信設備工事を専門とする会社だ。IT・通信系の知識がある人は特に活躍しやすく、データセンター・ビルシステム関連の需要が拡大している。

ゼネコンの電気部門

大型建設プロジェクトで電気施工管理を担当する。多様な工事種別を経験でき、年収水準が高い。一方で転勤・出張が多くなる可能性がある。

再生可能エネルギー関連会社

太陽光発電所・風力発電所の電気工事施工管理を専門とする会社だ。案件が全国各地に分散するため転勤が多いが、再エネ分野に特化したスキルを蓄積できる成長性の高い職場だ。

データセンター建設・運用会社

データセンターの建設・改修・設備管理を担当する会社だ。高度な電気知識が求められるが、給与水準が高く、プロジェクトの規模が大きい。AI・クラウドの普及で需要が急拡大しており、今後10年で最も成長性が高い分野の一つだ。

電気工事施工管理の転職で使える自己PR例文

IT系からの転職の場合

「SIer(システムインテグレーター)でサーバー・ネットワーク設備の設置・管理を5年間担当しました。通信設備・電源設備・UPSなどの基礎知識を実務で習得しており、電気工事施工管理の通信・制御系設備への親和性が高いと判断しました。転職前に2級電気工事施工管理技士の第一次検定に合格しており、入社後は早期に第二次検定合格・主任技術者として活躍することを目標にしています」

異業種からの転職の場合

「前職の製造業で品質管理・工程管理・安全管理の実務を7年間担当しました。これらの経験は電気工事施工管理の4大業務(工程・品質・安全・原価管理)と本質的に共通していると確信し、転職を決意しました。転職前から電気の勉強を開始しており、第2種電気工事士の筆記試験に合格しています。電気の専門知識を深めながら、品質管理のバックグラウンドを活かして現場に貢献したいと考えています」

まとめ|未経験から電気工事施工管理への転職を成功させるために

この記事で解説してきた内容を整理する。

  • 電気工事施工管理は未経験からでも転職できる。人手不足が深刻で採用のハードルは低い
  • 電気工事士(作業者)と電気工事施工管理技士(管理者)は全く異なる職種だ
  • 年収は2級取得後420〜580万円、1級取得後540〜730万円が目安で、資格取得で大きく上昇する
  • データセンター・再エネ・EV充電設備など、電気工事の需要は今後10年で急拡大が見込まれる
  • 転職前に「2級電気工事施工管理技士の第一次検定」取得を目指すと、就職活動が有利になる
  • 会社選びでは「OJT体制」「資格取得支援」「担当工事の種類」「残業実態」を確認すること

電気工事施工管理は、今まさに未経験者が参入するのに最適なタイミングにある職種だ。人手不足・時代の需要・制度改正の3つの要因が重なり、未経験者でも評価されやすい環境が整っている。

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この記事の執筆・監修

大林 諒

株式会社Nexly 代表取締役

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運営会社
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有料職業紹介事業 28-ユ-301343
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