有給消化中に次の仕事はできる?働き始めるなら入社日は退職日の翌日

有給消化中に転職活動はできる?注意点を解説

有給(有休)消化中に次の仕事を探したり、面接を受けたり、内定をもらったりするのは問題ありません。有給消化中は前の会社に在籍している期間なので、在職中の転職活動と同じ扱いです。一方、有給消化中に次の会社で働き始めることは、法律で一律に禁止されてはいないものの、前の会社の就業規則や社会保険の手続きでつまずきやすいため、入社日は「退職日の翌日」にするのがいちばん安全です。早く働き始めたい場合は、有給の日数ではなく退職日の前倒しで調整します。

この記事では、有給消化中に次の会社で働くときの注意点、バイトや副業の扱い、退職前と有給消化中にやることのチェックリスト、有給の日数と退職日の決め方、転職活動の進め方、書類と社会保険の手続き、転職先が決まらないまま退職日を迎えたときの失業保険までを、厚生労働省や日本年金機構の案内に沿って説明します。

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有給消化中に次の仕事を探すのは問題ない?

有給消化中は雇用契約が続いていて、給与も社会保険も退職日までは今の会社のままです。そのため、有給消化中に求人を探す、転職エージェントと面談する、面接を受ける、内定を承諾するといった転職活動は、在職中の転職活動と同じで、会社に報告したり許可を取ったりする必要はありません。転職活動そのものは働くことではないので、副業禁止の規定にも当たりません。

有給休暇は退職日までに使える権利

年次有給休暇は労働基準法第39条で決まった労働者の権利で、取る理由を会社に伝える必要はありません。会社には、事業の正常な運営を妨げる場合に取る日を変えてもらう権利(時季変更権)がありますが、退職日までの残りの日に有給休暇をまとめて取る場合は、ほかに変えられる日がないため、退職日を超えて時季変更権を使うことはできないとされています(厚生労働省「確かめよう労働条件」)。引き継ぎの日程とあわせて、早めに上司と相談しておくと話がこじれにくくなります。

有給消化中に転職活動をする利点と弱点

利点弱点
平日の昼間に面接を入れやすく、日程の調整が早い使える期間が有給の日数で区切られていて、内定まで足りないことがある
給料が出て、健康保険・年金も今の会社のまま退職日が決まった後なので、入社日の交渉の幅が狭い
応募書類や面接の準備に時間をかけられる決まらないまま退職日を迎えると、すぐに無収入になる
経歴に空白期間ができない前の会社から引き継ぎの問い合わせが来て、予定が崩れることがある

弱点の多くは、有給消化に入る前から応募を始めておくことで小さくできます。有給消化は「活動を始める期間」ではなく「面接と入社の準備を進める期間」と考えておくと、スケジュールが組みやすくなります。

有給消化中の転職活動で気をつけたいこと

気をつけること理由と対処
会社の情報を持ち出さない顧客リストや社内資料を持ち出すと、就業規則違反や不正競争防止法の問題になることがある。応募書類にも社外秘の数字や顧客名は書かない
競業避止の誓約書を読む退職時に「同業他社に転職しない」などの誓約書を求められたら、期間・地域・職種の範囲を確認してから署名する。不安なら総合労働相談コーナーなどに相談する
SNSでの発信を控える退職日までは今の会社の社員なので、転職先や社内の事情を書き込むとトラブルの元になる
連絡がつく状態にしておく引き継ぎの問い合わせが来ることがある。対応できる範囲と時間帯を最終出社日までに決めておく

在職中に活動するか、辞めてから活動するかの比べ方は在職中と退職後の転職活動の違いでまとめています。

有給消化中に次の会社で働ける?入社日の決め方

有給消化中に次の会社に入社すると、退職日までの間は2つの会社に同時に在籍することになります。2社に在籍すること自体を一律に禁じる法律はありませんが、次の理由から、実際には避けたほうがよいとされています。

  • 前の会社の就業規則:在籍中の兼業を禁止したり、許可制にしたりしている会社は多く、有給消化中もその対象。無断で入社すると、懲戒処分や退職金の扱いでもめる原因になる
  • 健康保険・厚生年金:2社とも加入の条件を満たすと、本人が事実の発生から10日以内に「被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を出し、保険料も2社の報酬に応じて分けて計算される(日本年金機構)
  • 雇用保険:同時に2つ以上の会社に雇われていても、原則として生計を維持するのに必要な主たる賃金を受ける1社でしか被保険者になれない(厚生労働省)。どちらの会社で加入するかを両社の人事に確認する必要がある
  • 新しい会社の事務:同じ月に2社から給与が出るので、年末調整や住民税の手続きが増える。入社早々に総務の手間を増やすことになる

入社日の決め方のパターン

パターンメリット気をつけること
退職日の翌日に入社する二重在籍にならず、健康保険・年金の切り替えも次の会社の手続きだけで済む有給の日数分、入社を待ってもらう必要がある
有給を一部残して退職日を早める早く入社できる残した有給は消える。買い取りに応じるかは会社次第で、応じる義務はない
有給消化中に入社する(二重在籍)収入が途切れず、早く働き始められる前の会社の就業規則の確認と許可、社会保険の届出が必要。両社の了解なしには進めない
退職日から間を空けて入社する休養や引っ越しの時間がとれる空いた期間は国民健康保険と国民年金の手続きが必要になる

内定先から「早く来てほしい」と言われたときは、「〇月〇日が退職日なので、翌日から入社できます」と退職日を先に伝え、そのうえで前倒しが必要かどうかを聞くと話がまとまりやすくなります。前の会社の有給を減らして退職日を早めるときは、引き継ぎの終わる日も一緒に確かめておきましょう。入社日の伝え方は入社日の交渉のしかたで詳しく説明しています。

内定先に退職日と入社日を伝えるときの例文

面接や内定の連絡で入社可能日を聞かれたら、退職日と有給消化の予定を合わせて伝えると、二重在籍の心配がない日程で話が進みます。

  • 退職日が決まっている場合:「現職は〇月〇日付で退職予定で、〇月〇日から有給休暇を消化しています。入社は退職日の翌日の〇月〇日から可能です」
  • 退職日がまだ決まっていない場合:「内定をいただいた後に退職を申し出る予定で、引き継ぎと有給休暇の消化を含めて1か月半ほどいただければ入社できる見込みです」
  • 前倒しを頼まれた場合:「有給休暇の日数を調整できるか現職と相談し、〇日までにご連絡します」

退職日を早めて入社を前倒しするときの進め方

内定先の事情で入社を早めたいときは、有給消化中に働くより、前の会社の退職日を早めるほうが手続きはずっと簡単です。前の会社には「次の勤務先の入社日が〇日に決まったので、退職日を〇日に早めたい」と理由と日付をはっきり伝えます。退職日が早まると有給を使える日数が減り、引き継ぎの残りも出やすいので、どの業務を誰に渡すかを一緒に出すと話が進みやすくなります。退職届をすでに出している場合は、日付を直した退職届を出し直すよう求められることがあります。

どうしても有給消化中に働き始めるなら

  1. 前の会社の就業規則で、兼業・副業の決まりを確認する
  2. 許可制なら前の会社に申し出て、了解をとる
  3. 次の会社にも、有給消化中で退職日がいつかを伝え、入社の手続きをその前提で進めてもらう
  4. 健康保険・厚生年金が2社とも加入になる場合は、二以上事業所勤務届を10日以内に出す

有給消化中にバイトや副業はできる?

有給消化中のバイトや副業も、考え方は次の会社で働く場合と同じです。前の会社の就業規則で兼業が禁止か許可制なら、有給消化中もその決まりに従う必要があります。短時間の単発バイトなら社会保険の届出が要らないことも多いですが、無断で働いて会社に知られると、退職の手続きや退職金の扱いでもめる原因になります。

有給消化中にバイトをする前に確かめること

  • 前の会社の就業規則の兼業・副業の決まり(禁止か、許可制か、届出でよいか)
  • バイト先での週の労働時間。週20時間以上で長く働く見込みなら、社会保険や雇用保険の加入の対象になることがある
  • 同業他社や取引先で働かないか。誓約書や秘密保持の決まりにかかわる
  • 年内の収入の合計。その年の給与が2か所から出るので、年末調整や確定申告が必要になる

有給消化中に働いたことは前の会社に知られる?

次の会社やバイト先で健康保険・厚生年金に入ると、二以上事業所勤務届の手続きで保険料の計算が2社にかかわるため、前の会社も手続きにかかわることになります。雇用保険も1社でしか入れないので、どちらの会社で加入するかを両社の人事に確認する必要があります。住民税も、2社から給与が出ると次の年度の計算に反映されます。社会保険に入らない短時間のバイトなら手続きでは伝わりにくいものの、知られるかどうかではなく、就業規則で認められているかで判断するのが安全です。

また、有給消化中はまだ在籍しているので、失業保険の手続きもできません。退職後に失業保険を受けながらバイトをする場合は、働いた日と収入を失業認定申告書で申告する決まりがあります。くわしくは転職中のバイトと失業保険のルールを参考にしてください。

退職前・有給消化中にやることチェックリスト

最終出社日を過ぎると会社と連絡を取りにくくなるので、在籍している間に済ませておくことを先に片づけておきましょう。

最終出社日までにやること

  • 有給の残日数と、最終出社日・退職日を書面やメールで確認する
  • 引き継ぎの資料を作り、後任者と取引先への引き継ぎを終える
  • 離職票がほしいか(転職先が未定の人は必ず)、源泉徴収票の送り先を会社に伝える
  • 会社から借りているもの(社員証、パソコン、制服、名刺など)の返し方を確認する
  • 健康保険の資格確認書など、退職日の後に返すものの返し方を確認する
  • 退職日までに有給消化中の連絡窓口と、連絡がつく時間帯を決めておく

有給消化中にやること

  • 応募書類を仕上げ、面接を平日の昼間に集中して入れる
  • 内定が出たら、退職日を伝えて入社日を決める
  • 次の会社に出す書類(年金の基礎年金番号がわかるもの、雇用保険被保険者番号がわかるもの、扶養の書類など)をそろえる
  • 入社日まで間が空く場合は、健康保険と年金の切り替え先を決める
  • 転職先が決まっていない場合は、生活費と失業保険の手続きの段取りを確認する

有給消化中にやらないこと

  • 会社の許可なく次の会社で働き始める
  • 社内資料や顧客情報を持ち出す、私物のパソコンに残す
  • 退職日より前の日付を入社日として内定先と約束する
  • 前の会社の仕事を「少しだけ」と引き受けて、有給休暇として扱えるかわからない日を作る

最終出社日の挨拶と、退職日までの連絡

最終出社日には、お世話になった人へのあいさつと、社内外へのあいさつのメールを済ませておくと、有給消化中に連絡が来ることが減ります。取引先には、後任の名前と連絡先を添えて送りましょう。有給消化中に会社から連絡が来たときは、引き継ぎの確認なら答え、作業を頼まれたら「有給休暇中なので、後任の方にお願いできますか」と伝えれば十分です。社内のチャットやメールのアカウントが退職日まで使える会社なら、自動返信に最終出社日と後任の名前を入れておくと親切です。

退職の伝え方と円満に辞めるためのコツは円満退職のコツに、引き継ぎで困らない準備は引き継ぎトラブルを防ぐ方法にまとめています。

有給は何日ある?消化のスケジュールと退職日の決め方

有給休暇の日数は、入社からの勤続年数で決まります。週5日以上(または週30時間以上)働く人で、全労働日の8割以上出勤している場合の付与日数は、労働基準法第39条で次のように決まっています。

勤続年数6か月1年6か月2年6か月3年6か月4年6か月5年6か月6年6か月以上
付与日数10日11日12日14日16日18日20日

有給休暇の時効は2年なので(労働基準法第115条)、前の年に使わなかった分も合わせて残っていることがあります。正確な残日数は給与明細や勤怠システム、総務への問い合わせで確かめましょう。年10日以上もらっている人は、会社が年5日を取らせる義務もあります。

パート・契約社員など週の勤務日数が少ない人の有給日数

週の所定労働日数が4日以下で、週の所定労働時間が30時間未満の人は、勤務日数に応じた日数(比例付与)になります。

週の所定労働日数6か月1年6か月2年6か月3年6か月4年6か月5年6か月6年6か月以上
4日7日8日9日10日12日13日15日
3日5日6日6日8日9日10日11日
2日3日4日4日5日6日6日7日
1日1日2日2日2日3日3日3日

契約社員やパートでも、6か月以上続けて働き、8割以上出勤していれば有給休暇はもらえます。退職前に使えるのは正社員と同じです。

退職日の決め方と、伝える時期

期間の定めのない雇用なら、民法第627条により、退職を申し入れてから2週間で辞めることができます。ただ、多くの会社の就業規則には「1か月前まで」などの決まりがあり、引き継ぎと有給の消化を考えると、それより早めに伝えるのが現実的です。退職日は次のように逆算します。

  1. 有給の残日数を確認する
  2. 引き継ぎに必要な日数を見積もり、最終出社日を決める
  3. 最終出社日の翌営業日から有給を使い、使い終わる日を退職日にする
  4. 退職日の1か月以上前を目安に上司に伝え、退職届を出す

退職日を月末にすると、その月の健康保険料・厚生年金保険料は前の会社で引かれます。月の途中で退職して翌月以降に入社する場合は、退職した月の分を国民健康保険・国民年金で払うことになるので、入社日とあわせて決めておきましょう。退職届の書き方は退職届と退職願の書き方を参考にしてください。

有給消化を言い出しにくいときの伝え方

有給休暇は権利ですが、伝え方しだいで引き継ぎの協力の得やすさが変わります。退職を伝えるときに、有給の日数と引き継ぎの計画を一緒に出すと、上司も日程を判断しやすくなります。

  • 退職を伝えるとき:「〇月〇日付で退職したいと考えています。有給休暇が〇日残っているので、〇月〇日を最終出社日として、それまでに引き継ぎを終える予定です」
  • 引き継ぎの計画を出すとき:「担当している業務を一覧にしました。〇日までに資料を作り、〇日から後任の方に説明します」
  • 日程の調整を頼まれたとき:「退職日は変えられないので、最終出社日を〇日にずらし、有給は残りの日で使わせてください」

話がまとまったら、最終出社日・有給の期間・退職日をメールで送って、記録に残しておきましょう。口頭だけで決めると、後から「聞いていない」と言われたときに確かめようがありません。

引き継ぎが長引いて有給を使いきれないとき

後任が決まらない、引き継ぐ業務が多いといった理由で、最終出社日が後ろにずれることがあります。そのときは、次の順で考えると、有給を無駄にせずに済みやすくなります。

  1. 引き継ぎの残りを書き出し、資料で渡せるものと、口頭で説明が要るものに分ける
  2. 資料で渡せるものは最終出社日までに引き継ぎ書にまとめ、出社して説明する日を絞る
  3. それでも足りなければ、退職日を後ろにずらして有給を使いきるか、残りを消える分として受け入れるかを決める
  4. 退職日を後ろにずらす場合は、内定先に入社日を変えられるかを早めに相談する

使いきれない有給の買い取りは、会社によって制度があったりなかったりします。応じる義務は会社にないので、ある場合も金額と支払い時期を書面で確認しておきましょう。

有給消化と転職活動の重ね方の例

時期転職活動今の会社
退職を伝える前転職エージェントに相談、応募書類の準備、応募開始通常どおり働く
退職を伝えた後〜最終出社日面接は終業後やオンラインで受ける引き継ぎ、有給の日程の確定
有給消化中平日の面接を集中して入れる。内定が出たら入社日を決める連絡窓口への対応のみ
退職日の翌日次の会社に入社(決まっている場合)健康保険・年金の資格がなくなる

有給消化に入ってから活動を始めると、内定まで期間が足りないことがあります。応募は退職を伝える前から始め、有給消化中は面接を重ねる期間と考えておくと、入社日を退職日の翌日に合わせやすくなります。

有給消化中の給料・賞与・退職金はどうなる?

有給消化中も在籍しているので、給料は通常の給料日に支払われ、健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料・住民税も今までどおり引かれます。有給休暇の日の賃金は、労働基準法第39条により、就業規則などで決めた次のいずれかで計算されます。

計算のしかた内容
通常の賃金その日に所定労働時間働いたときと同じ額。多くの会社がこの方法
平均賃金直前3か月の賃金の総額をその期間の暦日数で割った額
標準報酬日額健康保険の標準報酬月額の30分の1。労使協定がある場合に限る

通勤手当や残業代の扱いは会社の決まりによって違います。最後の給与明細で、有給休暇の日数と支給額が合っているか確かめましょう。

賞与と退職金は就業規則で決まる

  • 賞与:「支給日に在籍している人に支給する」と決めている会社が多い。有給消化中も在籍しているので、支給日が退職日より前なら対象になることがある。退職予定者の扱いや減額の決まりがないか、就業規則と賃金規程を確認する
  • 退職金:勤続年数の数え方や、支給の時期は退職金規程で決まる。有給消化中も勤続期間に入るのが一般的だが、規程を確かめておく
  • 有給消化中に会社の許可なく次の会社で働いた場合に、退職金の減額などの決まりがないかも、同じ規程で確認できる

有給消化中の転職活動の進め方

  1. 転職エージェントに登録して、希望する仕事と退職日の予定を伝える。退職日が決まっていれば、入社可能日として応募先に伝えてもらえる
  2. 職務経歴書と履歴書を仕上げる。有給消化中は時間をとれるので、応募先ごとに志望動機を書き分ける
  3. 応募を複数社に同時に進め、面接の日程を有給消化中の平日に集中させる
  4. 内定が出たら、条件と入社日を確認してから承諾する。入社日は退職日の翌日以降にする
  5. 入社前に必要な書類をそろえ、初出社の準備をする

転職エージェントに最初に伝えること

  • 退職日(決まっていなければ予定)と、有給消化に入る日
  • 入社できる最も早い日と、遅くともいつまでに入社したいか
  • 面接を受けられる曜日と時間帯。有給消化中は平日の昼間も可能と伝える
  • 希望する職種・勤務地・給与と、ゆずれない条件
  • 前の会社の誓約書など、転職先の選び方にかかわる事情

退職日と入社可能日を先に伝えておけば、応募先との日程調整や入社日の交渉を、その日付に合わせて進めてもらえます。

有給消化中の1週間の使い方の例

曜日やること
月曜転職エージェントとの面談、応募先の見直し、新しい応募
火曜〜木曜面接(1日1〜2社まで)。面接の後に、聞かれたことと答えをメモする
金曜次の週の面接に向けて、志望動機や逆質問を応募先ごとに直す
土日休む。次の会社に出す書類や、健康保険・年金の切り替え先の確認

面接を詰め込みすぎると準備が浅くなるので、1日に受ける数は絞ったほうが結果につながりやすくなります。

平日の昼間に面接を入れられるのは有給消化中の大きな利点ですが、応募から内定までにかかる期間は人や職種によって違います。目安と早める工夫は転職活動にかかる期間で説明しています。内定が出てから退職までの流れは内定から退職までの手順も参考にしてください。

有給消化中・退職時の手続きと書類

退職日までに、会社から受け取るもの・返すもの・自分で手続きするものを整理しておきましょう。

書類・手続き時期補足
離職票(-1、-2)退職後に会社から届く失業保険の手続きに使う。会社は退職日の翌日から10日以内にハローワークへ資格喪失の届出をする。希望しないと発行されないことがある(離職日に59歳以上の人を除く)
源泉徴収票退職の日以後1か月以内次の会社の年末調整か、自分の確定申告で使う(所得税法第226条)
健康保険の資格確認書など退職日の後返し方は会社と加入先の健康保険で違うので、会社の指示に従う。紙の保険証は2025年12月1日で使えなくなっている
基礎年金番号がわかるもの入社時2022年4月以降は年金手帳の代わりに基礎年金番号通知書が発行されている。マイナンバーで手続きする会社もある
雇用保険被保険者証(被保険者番号)入社時会社が預かっている場合は退職時に受け取る
退職証明書求めたとき請求すれば会社は遅滞なく交付する(労働基準法第22条)

次の会社に入社するときに出す書類

  • マイナンバー(個人番号)がわかるもの
  • 基礎年金番号がわかるもの(基礎年金番号通知書、年金手帳など)
  • 雇用保険被保険者番号がわかるもの(雇用保険被保険者証など)
  • その年に前の会社から給与をもらっている場合は、前の会社の源泉徴収票
  • 扶養控除等申告書、給与の振込口座、扶養に入れる家族がいればその書類
  • 会社によっては、健康診断の結果や身元保証書

前の会社の源泉徴収票は退職後に届くので、入社日の時点で手元になくても、届いたら出せば問題ありません。

社会保険の切り替えは退職日の翌日から

健康保険と厚生年金の資格は、退職日の翌日になくなります。退職日の翌日に次の会社に入社すれば、切り替えは次の会社の手続きで済みます。入社まで1日でも空くときは、自分で次のどれかを選びます。

  • 国民健康保険:住所地の市区町村で、退職日の翌日から14日以内に手続きする
  • 任意継続:前の会社の健康保険に最長2年加入できる。退職日まで続けて2か月以上加入していた人が対象で、退職日の翌日から20日以内(郵送は必着)に申請する。会社負担分もなくなるので、保険料は全額自分で払う
  • 家族の扶養に入る:収入の条件を満たせば、家族の健康保険の被扶養者になれる
  • 国民年金:市区町村で、退職日の翌日から14日以内に第1号被保険者の手続きをする

国民健康保険と任意継続のどちらが安いかは、前の会社での給与や住んでいる市区町村、家族の人数で変わります。退職前に市区町村の窓口で国民健康保険料の見込みを、加入している健康保険で任意継続の保険料を聞き、比べてから決めましょう。家族の扶養に入る場合の年収の目安は130万円未満(60歳以上などは180万円未満、19歳以上23歳未満は150万円未満)で、退職後の収入の見込みで判断されます。

住民税は、1月から5月に退職すると、残りの分が最後の給与などからまとめて引かれます。6月から12月に退職した場合は、残りを自分で納めるか、申し出て一括で引いてもらうか、次の会社で給与から引く手続きをしてもらいます。

退職後に入る健康保険(任意継続・国民健康保険・家族の扶養)の違いは、退職後の健康保険の比べ方の記事で確認できます。

転職先が決まらないまま退職日を迎えたら|失業保険

有給消化中は在籍しているので、失業保険(雇用保険の基本手当)は受け取れません。手続きは退職日の翌日以降、離職票が届いてから住所地のハローワークで行います。

  • 受給には、原則として離職の日以前2年間に雇用保険の被保険者期間が12か月以上必要。有給消化中も被保険者期間に入る
  • 自己都合退職の給付制限は、退職日が2025年4月1日以降なら原則1か月。手続きから7日間の待期の後に給付制限がある
  • 所定給付日数は、自己都合退職で65歳未満なら被保険者期間10年未満で90日、10年以上20年未満で120日、20年以上で150日
  • 受給中に早く就職が決まり、支給残日数が3分の1以上残っていれば、再就職手当を受けられることがある

退職日の決め方で失業保険の条件が変わることがある

雇用保険の被保険者期間は、離職日からさかのぼって1か月ごとに区切り、賃金の支払いの基礎になった日が11日以上ある月(足りない場合は80時間以上の月)を1か月と数えます。有給休暇の日も賃金が支払われる日なので、有給消化中も被保険者期間に入ります。入社から1年に少し足りない時期に辞める人は、有給を使いきってから退職日を迎えると、12か月の条件を満たせることがあります。反対に、有給を残して退職日を早めると条件に届かないこともあるので、退職日を決める前に数えておきましょう。

有給消化中に内定が出ている人は、退職後に入社まで間が空いても、内定がある状態なので原則として失業保険の対象になりません。受給の条件や金額、再就職手当の計算は転職と失業保険の記事で詳しく説明しています。

有給消化中の転職でよくある失敗と対処法

失敗起きること対処法
入社日を退職日より前で約束してしまう二重在籍になり、前の会社の許可や社会保険の届出が必要になる内定の前に退職日を伝え、入社日は退職日の翌日以降にする
有給消化に入ってから活動を始める有給が終わるまでに内定が出ず、無収入の期間ができる退職を伝える前から応募を始める
有給消化中に前の会社の仕事を引き受ける有給休暇の日に仕事をすると、その日を有給として扱えるかは会社の判断になり、消化できる日数が減ることがある引き継ぎは最終出社日までに終え、対応範囲を決めておく
応募を1社に絞る不採用だったときに一から探し直しになる複数社を同時に進める
離職票や源泉徴収票を頼み忘れる失業保険の手続きや年末調整が遅れる最終出社日までに必要な書類と送り先を伝える
入社日まで空いた期間の保険を放置する後から国民健康保険料・国民年金保険料をまとめて請求される。保険証がないと医療費の扱いでも困る退職日の翌日から14日以内に切り替える
内定承諾後に条件を確かめていなかった給与や勤務地が思っていたものと違う承諾の前に労働条件通知書などの書面で確認する

どの失敗も、退職日と入社日の順番を先に決め、必要な書類と手続きを最終出社日までに洗い出しておけば防ぎやすくなります。

よくある質問

Q. 有給消化中に転職活動をしていることを会社に伝える必要はありますか?

必要はありません。有給休暇は理由を伝えずに取れるもので、転職活動も会社の許可が要る行為ではありません。ただし、転職先が同業他社で誓約書にかかわる場合や、有給消化中に次の会社で働き始める場合は、前の会社への確認が必要になることがあります。

Q. 有給消化中に内定が出たら、すぐに入社しなければいけませんか?

すぐに入社する必要はありません。退職日がいつかを内定先に伝え、退職日の翌日以降で入社日を決めましょう。内定の返事を少し待ってほしい場合の伝え方も、事前に決めておくと慌てずに済みます。

Q. 有給消化中に次の会社の研修や入社前の説明会に出てもいいですか?

雇用契約を結ばずに参加する説明会や面談なら、転職活動の一部として問題になりにくいです。研修として賃金が出る、勤務として扱われる場合は働き始めたのと同じになるので、前の会社の就業規則を確認し、入社日の扱いを内定先と相談してください。

Q. 有給消化を会社に認めてもらえない場合はどうすればいいですか?

退職日までの残りの日に有給を申請し、拒まれたら、申請した日時と返事をメールなどで残しておきましょう。話がつかない場合は、労働基準監督署や総合労働相談コーナーに相談できます。引き継ぎの日程を示して、最終出社日を相談するほうが早くまとまることもあります。

Q. 有給消化中に失業保険はもらえますか?

もらえません。在籍している間は失業の状態ではないので、手続きは退職日の翌日以降に、離職票を持ってハローワークで行います。

Q. 有給消化中に内定が出て年内に入社した場合、年末調整はどうなりますか?

次の会社で年末調整をする場合は、前の会社の源泉徴収票を出して、その年の給与を合算して計算してもらいます。前の会社は退職の日以後1か月以内に源泉徴収票を出すことになっているので、届かないときは前の会社に問い合わせてください。年末調整に間に合わなかった場合は、自分で確定申告をします。

Q. 有給消化中にけがや病気をしたら、有給はどうなりますか?

すでに有給休暇として取っている日は、そのまま有給休暇の扱いになるのが一般的です。会社の健康保険の傷病手当金などの扱いは加入先によって違うので、退職日前に会社や加入先の健康保険に確認してください。

まとめ|有給消化中は「探す・決める期間」、入社は退職日の翌日に

  • 有給消化中の求人探し・面接・内定承諾は、在職中の転職活動と同じで問題ない
  • 有給消化中に次の会社で働くのは一律に禁止ではないが、就業規則・社会保険の届出・雇用保険の扱いで手間がかかる。入社日は退職日の翌日が安全
  • 早く働き始めたいときは、有給を一部残して退職日を早めるのが現実的。残した有給の買い取りに会社が応じる義務はない
  • 最終出社日までに、有給の残日数・退職日・離職票や源泉徴収票の送り先・返却物を確認しておく
  • 入社まで間が空くなら、国民健康保険と国民年金の手続きは退職日の翌日から14日以内
  • 転職先が決まらないまま辞めた場合、失業保険は退職後に手続きする。自己都合の給付制限は原則1か月

有給消化中の転職活動は、退職日と入社日の順番を最初に決めておくと、あとの手続きがほとんど迷わずに済みます。Re:WORKは未経験からの転職を専門にした転職エージェントで、求職者の利用は無料、オンライン面談で全国から相談できます。応募書類の添削や面接日程の調整、内定後の入社日の調整に加えて、在職中の退職の進め方の相談も受けています。入社初日の準備は入社初日に気をつけることも参考にしてください。

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この記事の執筆・監修

大林 諒

株式会社Nexly 代表取締役

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