転職で失業保険はもらえる?|自己都合と会社都合の違いと受給の手続き・再就職手当

転職のために自分で会社を辞めた場合でも、雇用保険に入っていた期間などの条件を満たし、退職後に仕事が決まっていない状態でハローワークに手続きをすれば、失業保険(雇用保険の基本手当)は受け取れます。自己都合退職の場合、退職日が2025年4月1日以降なら給付制限は原則1か月で、手続きから7日間の待期と合わせて約1か月と1週間後から支給の対象になります。一方、在職中に転職先が決まって退職日の翌日に入社する場合や、次の会社の内定が出ている場合は、失業の状態に当たらないため受け取れません。
この記事では、転職で失業保険をもらえる人・もらえない人、もらうための条件と手続き、自己都合と会社都合の違い、いくら・何日もらえるかの計算、受給中に働くときのルール、認定日までに就職が決まったときの手続きと再就職手当、何回もらえるか、「退職給付金」との違いまでを、厚生労働省とハローワークの今の案内に沿ってまとめます。
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転職で失業保険はもらえる?もらえる人・もらえない人
失業保険は、働く意思と能力があるのに仕事に就けていない「失業の状態」の人に支給されます。厚生労働省のQ&Aでは、基本手当は雇用の予約や就職が内定・決定していない失業の状態にある人にだけ支給されると説明しています。転職との関係では、次の表のように分かれます。
| あなたの状況 | 受け取れるか | 理由 |
|---|---|---|
| 在職中に転職先が決まり、退職日の翌日に入社する | 受け取れない | 失業の期間がない |
| 退職前に内定が出ていて、入社まで1か月空く | 原則受け取れない | 就職が内定している人は失業の状態に当たらない |
| 転職先を決めずに退職し、退職後に探す | 条件を満たせば受け取れる | 雇用保険の加入期間などの条件を満たす必要がある |
| 退職後、同じ会社に再雇用される約束がある | 原則受け取れない | 雇用の予約がある状態とみなされる |
| 病気やけが、妊娠・出産ですぐに働けない | 今は受け取れない | 働ける状態ではない。受給期間の延長を申請できる |
受給の条件は「加入期間」と「失業の状態」
- 雇用保険の被保険者期間:原則として離職の日以前2年間に12か月以上。倒産・解雇などの特定受給資格者や、雇い止めなどの特定理由離職者は、離職の日以前1年間に6か月以上
- 被保険者期間の数え方:離職日からさかのぼって1か月ごとに区切り、賃金支払いの基礎となった日が11日以上ある月(11日以上の月が12か月ない場合は、労働時間が80時間以上の月)を1か月と数える
- 失業の状態:就職しようとする意思と、いつでも就職できる能力があり、積極的に仕事を探しているのに就職できない
転職を繰り返している人は、前の会社と今の会社の被保険者期間を合わせて数えられます。ただし、前回の退職で受給資格の決定を受けている場合、その離職より前の期間は数えません(雇用保険法第14条)。
在職中に転職先が決まった人がもらえる給付はある?
退職日の翌日に次の会社へ入社する場合は、基本手当も再就職手当も受け取れません。再就職手当は受給資格の決定を受けた人が対象で、再就職手当を受けた人向けの就業促進定着手当も同じです。その代わり、収入が途切れず、健康保険や年金の切り替えも次の会社でまとめて済むので、手続きの負担は小さくなります。入社日を調整して間を空ける場合も、内定が出ている状態では受給の対象になりにくい点に気をつけてください。
在職中に転職活動をするか、辞めてから探すかで迷っている人は、在職中と辞めてからの転職活動の比べ方も参考にしてください。
退職前にやっておくこと|失業保険で損をしない退職日の決め方
失業保険を受けるつもりで転職先を決めずに辞めるなら、退職日を決める前に確かめておきたいことがあります。退職した後では変えられないものが多いからです。
退職日の前に確かめる5つのこと
| 確かめること | 理由 |
|---|---|
| 雇用保険の被保険者期間が12か月以上あるか | 入社から1年に少し足りない時期に辞めると、受給資格がないことがある。11日以上(または80時間以上)働いた月で数える |
| 離職票がほしいと会社に伝えたか | 会社は本人が希望しないと離職証明書を出さないことがある(離職日に59歳以上の人を除く) |
| 離職前6か月の給与明細がそろっているか | 賃金日額の計算のもとになる。会社が書いた離職証明書の賃金欄と照らし合わせられる |
| 退職の理由がわかる記録があるか | 退職勧奨・賃金の減額・長時間の残業・病気などが理由なら、特定受給資格者や特定理由離職者に当たることがある |
| 当面の生活費がいくら要るか | 自己都合退職では、手続きから支給の対象になるまで約1か月と1週間かかり、最初の振り込みはさらにその後になる |
有給消化や賞与との関係
有給休暇を消化している間も在籍しているので、雇用保険の被保険者期間に入ります。被保険者期間が12か月に少し足りない人は、有給休暇を使い切ってから退職日を迎えるようにすると条件を満たせることがあります。一方、賞与は賃金日額の計算に入らないので、失業保険の額には影響しません。賞与の支給日に在籍していることが条件の会社なら、退職日を支給日の後にするかどうかは就業規則で確認して決めましょう。
退職届の書き方や出すタイミングは退職届と退職願の違いと書き方に、内定が出てから退職するまでの流れは内定から退職までの流れにまとめています。
失業手当をもらうには|手続きの流れと持ち物
失業保険の手続きは、住所地を管轄するハローワークで行います。ハローワークの案内に沿った流れは次のとおりです。
- 退職後、会社から離職票(-1と-2)を受け取る。会社が電子申請で手続きし、本人がマイナポータルと雇用保険WEBサービスの連携設定をしていれば、2025年1月20日からマイナポータルでも受け取れる
- ハローワークで求職の申込みをし、離職票を出す。受給の要件と離職理由が判定され、受給資格が決まる。事前にハローワークインターネットサービスで求職の登録をしておくと、窓口の手続きが早く済む
- 受給資格が決まった日から、失業の状態にある7日間は待期で、基本手当は出ない
- 指定された日の雇用保険受給者初回説明会に出る。雇用保険受給資格者証と失業認定申告書を受け取り、最初の失業認定日が知らされる
- 自己都合退職などで給付制限がある人は、待期の後に給付制限の期間がある
- 原則4週間に1回の認定日に、失業認定申告書を出して失業の認定を受ける
- 認定を受けた日数分の基本手当が、指定した口座に振り込まれる
手続きに持っていくもの
| もの | 補足 |
|---|---|
| 雇用保険被保険者離職票(-1、-2) | マイナポータルで受け取った場合は窓口で確認 |
| 個人番号確認書類 | マイナンバーカード、通知カード、個人番号の記載のある住民票のいずれか |
| 身元確認書類 | 運転免許証やマイナンバーカードなど。ない場合は公的医療保険の資格確認書類など異なる2種類 |
| 写真2枚(縦3.0cm×横2.4cm) | 手続きのたびにマイナンバーカードを提示すれば省略できる |
| 本人名義の預金通帳かキャッシュカード | 一部指定できない金融機関がある |
求職の登録や求人検索に使えるハローワークの求職者マイページを先に作っておくと、手続きの後も認定日の予定や求人の確認がしやすくなります。離職票が届かないときは、まず会社に、それでも届かなければ住所地のハローワークに問い合わせてください。
失業認定日にやること
- 前回の認定日から今回の認定日の前日までの期間について、失業認定申告書を書く。働いた日・収入・求職活動の内容をここで申告する
- 指定された時間に、雇用保険受給資格者証と一緒にハローワークの窓口に出す
- 職員が内容を確認し、認定された日数分の基本手当が後日、指定の口座に振り込まれる
- 次回の認定日が受給資格者証に記入される
認定日に行けないと、その期間の認定が受けられず支給が遅れます。面接など就職に関わる理由で行けない場合は、事前にハローワークに連絡して扱いを確認しましょう。
認定日までに必要な求職活動の実績
失業の認定を受けるには、認定対象期間中に原則として2回以上の求職活動の実績が必要です(最初の認定日は1回)。給付制限が3か月の人は、原則3回以上です。求人への応募、ハローワークでの職業相談、転職エージェントなどの職業紹介事業者での相談、公的機関のセミナーへの参加などが実績になります。求人情報を見ただけ、知人に紹介を頼んだだけでは実績になりません。給付制限がある人の最初の認定日までに何回必要かは、受給説明会で必ず確認しておきましょう。
失業保険を受けている間や給付日数が終わったあとの職業訓練との関係は、別の記事で整理しています。
自己都合と会社都合の違い|給付制限ともらえるまでの期間
失業保険の扱いを大きく分けるのが、離職の理由です。転職のために自分から辞めた場合は、多くが自己都合退職になります。
| 比べる点 | 自己都合退職(正当な理由なし) | 会社都合(特定受給資格者)・特定理由離職者 |
|---|---|---|
| 受給に必要な加入期間 | 離職前2年間に12か月以上 | 離職前1年間に6か月以上 |
| 待期 | 7日間 | 7日間 |
| 給付制限 | 原則1か月(退職日が2025年4月1日以降) | なし |
| 所定給付日数 | 90〜150日 | 90〜330日(年齢と加入期間による) |
| 再就職手当の紹介要件 | 待期満了後1か月はハローワークか職業紹介事業者の紹介による就職に限る | なし |
給付制限は原則1か月、3か月になる場合もある
厚生労働省の案内では、自己都合退職の給付制限は、退職日が2025年4月1日以降なら原則1か月、2025年3月31日以前なら原則2か月です。ただし、退職日からさかのぼって5年の間に、正当な理由のない自己都合退職で2回以上受給資格の決定を受けている場合(今回が3回目以降)は3か月になります。自分の重大な責任で解雇された(重責解雇)場合も3か月です。
また、2025年4月以降は、離職日前1年以内に受けた教育訓練や、離職後に受けている教育訓練(教育訓練給付金の対象講座や公共職業訓練など)があれば、給付制限が解除されて基本手当を受けられるようになりました。転職に向けて資格の勉強を考えている人は、手続きのときにハローワークで対象になるか確認してください。
| 給付制限が解除される教育訓練 | 条件 |
|---|---|
| 受ける時期 | 離職日前1年以内に受け終えた(途中でやめた場合は対象外)、または離職日以後に受けている |
| 対象の訓練 | 教育訓練給付金の対象講座、公共職業訓練など、短期訓練受講費の対象になる教育訓練と、それらに準ずるもの |
| 解除される期間 | その訓練を受ける期間と、受け終わった後の期間 |
在職中に教育訓練給付金の対象講座を修了してから辞めた人も対象になり得るので、修了証などを手続きに持っていきましょう。
自己都合退職でもらえるまでの期間の目安
| 時期 | 起きること |
|---|---|
| 退職日 | 会社が雇用保険の資格喪失届を出す(退職日の翌日から10日以内) |
| 離職票が届いたらすぐ | ハローワークで求職の申込み、受給資格の決定 |
| 受給資格の決定から7日間 | 待期(支給なし) |
| 待期の翌日から1か月 | 給付制限(支給なし。求職活動は続ける) |
| 給付制限の後の最初の認定日 | 給付制限の後の日数分が認定され、その後に振り込まれる |
手続きが遅れると、その分だけ支給の始まりも後ろにずれます。受け取れるのは原則として離職日の翌日から1年の間(受給期間)なので、手続きを先延ばしにすると、所定給付日数を受け取りきれないことがあります。
失業保険はいくら・何日もらえる?計算方法と上限額
1日あたりの支給額を基本手当日額といいます。基本手当日額は、賃金日額にもとづいて計算します。
- 賃金日額=離職前6か月の賃金の合計(賞与は除く)÷180
- 基本手当日額=賃金日額×給付率(50〜80%。60〜64歳は45〜80%)。賃金日額が低い人ほど給付率が高い
2026年8月1日からの上限額・下限額
基本手当日額は毎年8月1日に見直されます。厚生労働省の案内では、2026年8月1日からの額は次のとおりです。
| 離職時の年齢 | 賃金日額の上限 | 基本手当日額の上限 |
|---|---|---|
| 29歳以下 | 14,900円 | 7,450円 |
| 30〜44歳 | 16,540円 | 8,270円 |
| 45〜59歳 | 18,220円 | 9,110円 |
| 60〜64歳 | 17,400円 | 7,830円 |
下限は年齢に関係なく、賃金日額3,203円、基本手当日額2,562円です。
計算例:離職前6か月の月給が25万円の30歳
- 賃金日額:25万円×6か月÷180=8,333円
- 給付率:賃金日額が5,480円以上13,490円以下の人は、厚生労働省の計算式(0.8w−0.3×{(w−5,480)÷(13,490−5,480)}×w、wは賃金日額)で計算し、約69%
- 基本手当日額:5,775円
- 4週間(28日)分:5,775円×28日=161,700円
- 所定給付日数90日をすべて受けた場合:5,775円×90日=519,750円
月給別の受給額の目安(30歳・自己都合・所定給付日数90日)
| 離職前6か月の月給 | 賃金日額 | 基本手当日額 | 28日分 | 90日分 |
|---|---|---|---|---|
| 20万円 | 6,666円 | 5,036円 | 141,008円 | 453,240円 |
| 25万円 | 8,333円 | 5,775円 | 161,700円 | 519,750円 |
| 30万円 | 10,000円 | 6,307円 | 176,596円 | 567,630円 |
上の表は2026年8月1日からの計算式に当てはめた目安です。月給が上がっても、給付率が下がるので受給額は同じ割合では増えません。
月給は残業代や通勤手当などを含めた額で計算します。実際の金額は、ハローワークで受け取る雇用保険受給資格者証で確認してください。
所定給付日数(何日もらえるか)
自己都合退職や契約期間満了などで辞めた65歳未満の人は、被保険者期間で決まります。
| 被保険者期間 | 10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
|---|---|---|---|
| 所定給付日数 | 90日 | 120日 | 150日 |
特定受給資格者と一部の特定理由離職者は、年齢と被保険者期間の組み合わせで決まります(愛知労働局の案内による)。
| 離職時の年齢 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
|---|---|---|---|---|---|
| 30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | − |
| 30歳以上35歳未満 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
| 35歳以上45歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
| 45歳以上60歳未満 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
| 60歳以上65歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
所定給付日数の計算に使う加入期間は、前の会社を辞めてから次の会社で雇用保険に入るまでに1年以上空いた場合や、前回基本手当を受けている場合、それより前の期間を数えません(雇用保険法第22条)。
賃金日額から基本手当日額を出す手順を、計算の例つきで追った失業保険の金額と日数の記事もあります。
会社都合・特定理由離職者になるのはどんなとき?
自分から退職届を出した場合でも、辞めた理由によっては、特定受給資格者や特定理由離職者として扱われ、給付制限がかからなかったり、所定給付日数が長くなったりします。主なケースは次のとおりです。
| 区分 | 主なケース |
|---|---|
| 特定受給資格者(倒産・解雇など) | 倒産や事業所の廃止、解雇(重責解雇を除く)、退職勧奨を受けた、賃金が大きく下がった、賃金の一部が支払われなかった、長時間の残業が続いた、ハラスメントを受けた など |
| 特定理由離職者(正当な理由のある自己都合など) | 契約の更新を希望したのに更新されなかった、病気やけが・心身の障害で続けられなくなった、妊娠・出産・育児、家族の介護、結婚や配偶者の転勤に伴う転居で通勤が難しくなった など |
どの区分に当たるかは、会社が書いた離職理由と本人の申立て、提出した資料をもとにハローワークが判断します。離職票-2には、会社が書いた離職理由に本人が異議があるかを示す欄があります。実態と違う理由が書かれていたら、手続きのときに申し立て、給与明細・勤怠の記録・メール・医師の診断書など事実がわかる資料を持っていきましょう。会社から「自己都合で処理したい」と言われても、退職勧奨を受けた事実などがあるなら、そのまま同意する必要はありません。言われた日時・相手・内容をメモに残し、退職届や合意書に署名する前に文面を確認してください。退職の理由をめぐって会社と話がつかないときは、労働局や労働基準監督署の中にある総合労働相談コーナーにも無料で相談できます。退職届に書く理由と手続きの関係は退職届と退職願の書き方でも説明しています。
失業保険をもらいながら働ける?週20時間以内・1日4時間のルール
受給中にアルバイトをすることはできますが、働いた日と収入は必ず失業認定申告書で申告します。扱いは働いた時間で変わります。
| 働き方 | 扱い | 基本手当 |
|---|---|---|
| 1日4時間以上 | 就職・就労 | その日は支給されず、支給されなかった日数分は後ろに繰り越される |
| 1日4時間未満 | 内職・手伝い | 収入に応じて減額、または支給されない |
| 週20時間以上で31日以上の雇用見込み | 就職 | 就職している期間として、受給できない |
受給中にバイトを考えるときの判断の目安
- 週数時間の短時間・単発のバイトなら、申告すれば受給を続けながら働ける
- 1日4時間以上働く日が多いと、その日の分は後ろに繰り越されるだけで総額は変わらないが、受給期間(原則1年)を過ぎた分は受け取れない
- 週20時間以上で長く続く仕事に就くと、そこで受給は止まる。正社員として1年を超えて働く見込みがなければ、再就職手当の対象にもなりにくい
なお、2028年10月1日からは、雇用保険に入る働き方の基準が週の所定労働時間20時間以上から10時間以上に広がることが決まっています(厚生労働省)。その後は、受給中に短時間のバイトを始めるときの扱いが変わる可能性があるので、そのときの案内を確認してください。
検索で「週20時間以内」と言われることがありますが、20時間ちょうどは「以上」に入るので、週19時間までと考えておくのが安全です。4時間未満の日の減額は、その日の収入から控除額(2026年8月1日からは1,429円)を引き、基本手当日額と足した額が賃金日額の80%を超えた分だけ減ります。申告しないと、受け取った額の返還に加えて最大2倍の納付を命じられることがあります(いわゆる3倍返し)。シフトの組み方や申告書の書き方は転職中のバイトと失業保険の記事で詳しく説明しています。
失業認定日までに就職が決まったら|申告の手順と再就職手当
受給中に内定が出たら、入社日(就職日)と次の認定日の順番で手続きが変わります。厚生労働省のQ&Aでは、就職日が次の認定日より前なら、原則として就職日の前日にハローワークに来所して就職の申告をするよう案内しています(給付制限期間中に採用される場合は前日でなくてもかまいません)。そこで就職日の前日までの失業の認定を受け、その分の基本手当が支給されます。採用証明書や雇用契約書を持っていくと手続きが早く進みます。
再就職手当の条件
基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上残っているうちに安定した職業に就くと、再就職手当を受けられることがあります。ハローワークのリーフレットに書かれた主な条件は次のとおりです。
- 7日間の待期が終わった後の就職である
- 就職日の前日までの失業の認定を受け、支給残日数が所定給付日数の3分の1以上ある
- 離職した前の会社や、その会社と密接な関係のある会社への就職ではない
- 給付制限がある人は、待期満了後1か月の間はハローワークか職業紹介事業者の紹介による就職である
- 1年を超えて勤務することが確実で、原則として雇用保険の被保険者になる
- 過去3年以内の就職で、再就職手当などを受けていない
- 求職の申込み(受給資格の決定)より前から内定していた会社への就職ではない
自己都合退職の人も再就職手当は受けられます。気をつけたいのは4つ目の条件で、給付制限がある人が待期満了後1か月以内に、知人の紹介や企業への直接応募で就職すると対象外になります。この期間に就職が決まりそうなら、ハローワークか転職エージェントなどの職業紹介事業者を通した応募にしておきましょう。
再就職手当はいくらもらえる?計算例
支給額は「基本手当日額×支給残日数×給付率」で、所定給付日数の3分の2以上を残して就職すれば70%、3分の1以上なら60%です。計算に使う基本手当日額には上限があり、2026年8月1日からは離職時60歳未満で6,745円、60歳以上65歳未満で5,454円です。申請は就職日の翌日から1か月以内です。
| 例(基本手当日額5,775円・所定給付日数90日) | 支給残日数 | 計算 | 再就職手当 |
|---|---|---|---|
| 早めに就職した場合 | 70日(3分の2以上) | 5,775円×70日×70% | 282,975円 |
| 受給の途中で就職した場合 | 40日(3分の1以上) | 5,775円×40日×60% | 138,600円 |
| 残りが少ないときに就職した場合 | 25日(3分の1未満) | 対象外 | 0円 |
早く決まるほど受け取れる額も残り日数も多くなるので、「満額もらってから就職する」より損が少ないこともあります。再就職手当は一度にまとめて振り込まれ、申請から支給の決定までは審査のために時間がかかるので、入社直後の生活費は別に用意しておきましょう。
受給しながら転職活動を進めるスケジュール例(自己都合・所定給付日数90日)
| 時期 | 転職活動 | ハローワークの手続き |
|---|---|---|
| 退職後〜離職票が届くまで | 職務経歴書を作る。転職エージェントに登録して面談を受ける | 求職者マイページで求職の登録をしておく |
| 受給資格の決定〜待期の7日間 | 応募する求人を絞り込む | 受給資格の決定、初回説明会の日程の確認 |
| 給付制限の1か月 | 応募を始める。この期間に就職するなら、ハローワークか職業紹介事業者の紹介経由にする | 初回説明会に出る。求職活動の実績を作る |
| 支給開始〜30日目ごろ | 面接を集中的に受ける。この間に決まれば支給残日数が3分の2以上(90日の場合は60日以上)で70%の対象。それ以降も残りが3分の1以上(30日以上)なら60%の対象 | 4週間ごとの認定日に申告する |
| 内定後 | 入社日を決める | 就職日の前日に就職の申告、就職日の翌日から1か月以内に再就職手当の申請 |
転職活動にかかる期間は人によって違うので、受給の終わりまでに決まらない場合も考えて、応募の数を早めに増やしておくと安心です。期間の目安と早く決めるコツは転職活動にかかる期間の記事を参考にしてください。
就業促進定着手当と、廃止された就業手当
再就職手当を受けた人が、その会社で6か月以上雇用保険に入って働き、6か月間の賃金が離職前より下がった場合は、就業促進定着手当を受けられることがあります。上限は2025年4月から基本手当の支給残日数の20%分です(2025年3月31日以前に再就職した人は最大40%)。また、再就職手当の対象にならない働き方で就職した人向けの就業手当は、2025年4月1日に廃止されました(厚生労働省)。
失業保険は何回もらえる?転職を繰り返すときの注意
失業保険を受けられる回数に上限はありません。退職するたびに、その時点で受給の条件を満たしていれば受け取れます。ただし、次の3点で前回より不利になることがあります。
- 前回受給資格の決定を受けた離職より前の加入期間は、今回の被保険者期間に数えない。前回の受給後に新しく12か月以上(会社都合などは6か月以上)加入していないと、受給資格がない
- 所定給付日数の計算に使う加入期間も、前回基本手当を受けた場合はそれより前の期間を数えない
- 5年の間に正当な理由のない自己都合退職で受給資格の決定を2回以上受けていると、今回の給付制限は3か月になる
転職先を試用期間などで早く辞めた場合
新しい会社での加入期間が短くても、前の会社を辞めたときに受給資格の決定を受けていなければ、前の会社の加入期間と合わせて離職前2年間に12か月以上あるかを数えられます。たとえば前の会社に10か月、転職先に3か月在籍して辞めた場合は、合わせて13か月になることがあります。反対に、前の会社を辞めたときに失業保険の手続きをして受給資格の決定を受けていた人は、その前の期間は数えられないので、転職先だけで12か月必要です。
短期間で転職を繰り返していると、受給資格そのものがないこともあります。転職先で早く辞めたくなったときは、受給の見込みも含めて先にハローワークで確認しておくと安心です。短い在籍期間の説明のしかたは短期離職の挽回のしかたを参考にしてください。
「退職給付金」と失業保険の違い|もらえる額は増やせない
インターネット広告などで見かける「退職給付金」は、公的な制度の名前ではありません。沖縄労働局(ハローワーク那覇)の案内では、退職給付金という名称の制度はないとしたうえで、「受給額が増える」「期間が延びる」という勧誘に注意するよう呼びかけています。給付の額や期間は法律で決まっていて、民間の業者が関わることで増えることはありません。
国民生活センターも2025年12月、失業保険の給付額などを増やせるとうたう申請サポートについて注意を呼びかけ、不正受給を促すようなケースがあると公表しています。事実と違う申告や診断書で受給すると不正受給になり、返還や納付命令の対象になります。失業保険の手続きはハローワークで無料で相談できるので、まずは窓口で確認してください。
| 比べる点 | 失業保険(雇用保険の基本手当) | 「退職給付金」と宣伝されるサービス |
|---|---|---|
| 正体 | 雇用保険法にもとづく公的な給付 | 失業保険などの申請を手伝うとうたう民間のサービス |
| 費用 | 手続きは無料 | サポート料がかかる。解約時に違約金を求められたという相談もある |
| もらえる額 | 賃金・年齢・加入期間・離職理由で法律どおりに決まる | 業者が関わっても増えない |
| 相談先 | 住所地のハローワーク | トラブルは消費生活センター(消費者ホットライン188) |
受給中に就職が決まったときの金額は再就職手当はいくら?もらえる条件と計算例で計算できます。
よくある質問
Q. 失業保険は自己都合だといつから、どのくらいの期間もらえますか?
退職日が2025年4月1日以降なら、手続き後7日間の待期と原則1か月の給付制限の後から支給の対象になり、最初の振り込みはその後の認定日のあとです。もらえる日数は、65歳未満で被保険者期間10年未満なら90日、10年以上20年未満なら120日、20年以上なら150日です。
Q. 失業保険の受給中に家族の扶養に入れますか?
日本年金機構の案内では、雇用保険の受給者は基本手当日額が3,611円以下なら、健康保険の被扶養者の収入要件を満たします。3,612円以上の基本手当が始まったら扶養から外す届出が必要です。家族が加入している健康保険組合によって扱いが違うことがあるので、加入先に確認してください。
Q. 失業保険に税金はかかりますか?確定申告は必要ですか?
基本手当には所得税も住民税もかかりません(雇用保険法第12条)。ただし、年の途中で退職して年末までに再就職しなかった場合は、退職前の給与で源泉徴収された税金が戻ることがあるので、確定申告をしておくとよいです。
Q. 転職エージェントの面談は求職活動の実績になりますか?
職業紹介事業者での職業相談や応募は、失業認定申告書の求職活動の欄に書くことができます。ただし、登録しただけでは実績とされにくいので、面談や応募をした日と機関名を控えておきましょう。ハローワークと転職エージェントの使い分けは転職エージェントとハローワークの違いにまとめています。
Q. 退職後すぐに働けない場合はどうなりますか?
病気やけが、妊娠・出産・育児などで、離職日の翌日から1年の間に30日以上続けて働けない場合は、受給期間の延長を申請できます。延長しておけば、働けるようになってから基本手当を受けられます。
Q. 失業保険を受けている間、健康保険と年金はどうなりますか?
自分で切り替えが必要です。退職日の翌日から14日以内に市区町村で国民健康保険と国民年金の手続きをするか、前の会社の健康保険を任意継続する場合は退職日の翌日から20日以内(郵送は必着)に申請します。任意継続は退職日まで続けて2か月以上加入していた人が対象です。失業保険を受けていても保険料はかかりますが、国民年金は失業を理由にした保険料の免除・猶予を申請できるので、窓口で相談してください。
Q. 有給休暇を消化している間に失業保険の手続きはできますか?
できません。有給消化中はまだ在籍しているので、手続きは退職日の翌日以降、離職票が届いてからです。有給消化中の過ごし方は有給消化中の転職活動の記事を参考にしてください。
まとめ|転職と失業保険は「退職後に仕事が決まっていないか」で決まる
- 転職のための自己都合退職でも、加入期間の条件を満たし、退職後に仕事が決まっていなければ受け取れる。内定がある・翌日入社なら受け取れない
- 自己都合の給付制限は、退職日が2025年4月1日以降なら原則1か月。5年で3回目以降と重責解雇は3か月、教育訓練の受講で解除される
- 基本手当日額は離職前6か月の賃金から計算し、2026年8月1日からの上限は年齢により7,450〜9,110円
- 受給中のバイトは申告が前提。週20時間以上の働き方は就職扱いになる
- 認定日より前に就職が決まったら、原則として就職日の前日にハローワークで申告する。支給残日数が3分の1以上なら再就職手当の対象になることがある
- 「退職給付金」という公的制度はない。給付額を増やせるとうたう業者に注意する
失業保険を受けながら転職活動をするなら、給付制限や認定日の予定に合わせて応募の時期を決めておくと、再就職手当も取りこぼしにくくなります。Re:WORKは未経験からの転職を専門にした転職エージェントで、求職者の利用は無料、オンライン面談で全国から相談できます。応募書類の作成や面接日程の調整、内定後の入社日の調整もお手伝いします。退職後でブランクがある方の相談も受けています。
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