転職で失業保険はもらえる?自己都合と会社都合の違いを完全解説【2025年最新版】

転職と失業保険の基本:もらえるかどうかは「退職理由」で決まる
転職を考えたとき、真っ先に気になるのが失業保険(正式名称:雇用保険の基本手当)のことだろう。「転職したら失業保険はもらえるのか」「自己都合と会社都合で何が違うのか」という疑問を持つ人は多い。
結論から言う。転職する場合でも、失業保険は受給できる。ただし、転職する人全員が受給できるわけではなく、以下の要件を満たす必要がある。
- 雇用保険に加入していた期間が一定以上ある(自己都合:離職前2年間で12ヶ月以上 / 会社都合:離職前1年間で6ヶ月以上)
- 再就職の意志と能力があること(ハローワークでの求職活動が条件)
- 現在は無職であること(就職・アルバイト等の収入状況による制限あり)
また、転職の場合と単なる退職・無職になる場合では、受給期間中の条件が微妙に異なる点も重要だ。この記事では、転職と失業保険の関係を徹底的に解説する。
失業保険の基本的な仕組み
失業保険の仕組みを理解するために、まず基本的な用語と制度の概要を整理する。
失業保険とは何か
失業保険(雇用保険の基本手当)は、雇用保険に加入していた労働者が失業した際に、次の就職先が見つかるまでの生活を支援するための給付金だ。財源は事業主と労働者が支払う雇用保険料で賄われている。
2024年時点の雇用保険料率は、労働者負担分が賃金の0.6%(農林水産・清酒製造・建設業は0.7%)だ。
失業保険を受給するための5つの要件
失業保険を受給するには、以下の5つの要件を全て満たす必要がある。
- ①雇用保険の被保険者期間が要件を満たしている(自己都合:2年間で12ヶ月以上/会社都合:1年間で6ヶ月以上)
- ②就職しようとする意思と就職できる能力がある(病気・妊娠中など就職できない状態では受給できない)
- ③積極的に求職活動をしている(ハローワークへの定期的な認定申告が必要)
- ④現在、仕事をしていない(パートやアルバイトをしていても一定の条件下で受給可能)
- ⑤ハローワークに離職票を提出し、求職申込みをしている
自己都合退職と会社都合退職の違い【徹底比較】
転職・失業保険の文脈で最も重要な知識が「自己都合退職」と「会社都合退職」の違いだ。この違いが、失業保険の給付内容に大きく影響する。
自己都合退職とは
自己都合退職とは、労働者自身の意思で退職する場合を指す。転職・家庭の事情・結婚・出産・介護・健康上の理由など、さまざまなケースが自己都合退職に分類される。
転職のための退職は、ほとんどの場合「自己都合退職」に分類される。
会社都合退職とは
会社都合退職とは、会社側の事情によって退職せざるを得なかった場合を指す。以下のケースが会社都合退職に該当する。
- 解雇(普通解雇・整理解雇・懲戒解雇は除く)
- 会社の倒産・廃業
- 希望退職の募集に応じた退職
- 事業の縮小・部門の廃止による退職
- 雇用契約の不更新(契約社員・パートの契約満了での退職)
- ハラスメントや労働条件の大幅な切り下げが原因での退職(特定受給資格者に該当)
給付日数の比較
自己都合退職と会社都合退職では、失業保険の給付日数が大きく異なる。以下に比較表を示す。
| 勤続年数 | 自己都合退職の給付日数 | 会社都合退職の給付日数 |
|---|---|---|
| 1年未満 | 給付なし(12ヶ月未満) | 90日 |
| 1年以上5年未満 | 90日 | 90〜120日 |
| 5年以上10年未満 | 90日 | 90〜180日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 | 180〜240日 |
| 20年以上 | 150日 | 240〜330日 |
※45歳以上60歳未満の場合は給付日数がさらに長くなる場合がある。
給付制限期間(待期期間後の制限)の比較
失業保険の受給開始までには「待期期間7日間」が全ての退職者に適用される。その後、自己都合退職の場合はさらに「給付制限期間」が設けられる。
| 退職理由 | 待期期間 | 給付制限期間 | 給付開始まで |
|---|---|---|---|
| 会社都合退職 | 7日間 | なし | 約7日後〜 |
| 自己都合退職(2025年4月改正前) | 7日間 | 2ヶ月 | 約2ヶ月7日後〜 |
| 自己都合退職(2025年4月改正後) | 7日間 | 1ヶ月 | 約1ヶ月7日後〜 |
2025年4月の雇用保険法改正:自己都合退職の給付制限が短縮
2025年4月から、雇用保険法の改正により自己都合退職の給付制限期間が「2ヶ月」から「1ヶ月」に短縮された。これは転職を考える人にとって大きなメリットだ。
さらに、2025年4月以降は以下の条件を満たす場合、給付制限期間が解除される(給付制限なしで受給開始できる)。
- 離職日前1年以内に教育訓練給付金の対象となる教育訓練を受けた場合
- 離職後に教育訓練給付金の対象となる教育訓練を受講中の場合
つまり、スキルアップのための学習をしながら転職活動をしている場合、給付制限なしで失業保険を受給できる可能性がある。
転職する人が失業保険を受給するための手続き
実際に失業保険を受給するための手続きを、ステップ別に解説する。
STEP1:離職票を受け取る
退職後、会社から「離職票」が届く(通常、退職後10日前後)。離職票は失業保険申請に必要な書類だ。退職から2週間以上経っても届かない場合は、会社の人事担当者に問い合わせる。
STEP2:ハローワークに求職申込みをする
住所地を管轄するハローワーク(公共職業安定所)に以下の書類を持参して手続きをする。
- 離職票(1と2の両方)
- 雇用保険被保険者証
- 個人番号確認書類(マイナンバーカードなど)
- 本人確認書類(運転免許証など)
- 写真(縦3cm×横2.5cm)2枚
- 印鑑
- 本人名義の普通預金通帳またはキャッシュカード
STEP3:受給説明会に参加する
ハローワークに申込みをすると、受給説明会(雇用保険説明会)の日程が指定される。この説明会への参加が失業認定を受けるための条件の一つだ。
STEP4:待期期間(7日間)を過ごす
求職申込みをした日から7日間が待期期間となり、この間は失業保険が支給されない。また、この7日間は完全に仕事をしていない状態(アルバイトも含む)である必要がある。
STEP5:自己都合退職の場合は給付制限期間を過ごす
2025年4月以降、自己都合退職の給付制限期間は1ヶ月だ。この期間も引き続き求職活動を行う必要がある。
STEP6:失業認定日にハローワークへ行く
原則として4週間ごとに「失業認定日」が設定され、ハローワークに行って求職活動の実績を報告する。認定されると、その期間分の基本手当が指定口座に振り込まれる。
失業保険の受給額はいくらか
失業保険の受給額は、在職中の賃金・年齢・雇用保険の加入期間によって異なる。計算方法を解説する。
基本手当の計算式
基本手当日額は以下の計算式で算出される。
【基本手当日額 = 賃金日額 × 給付率(50〜80%)】
賃金日額は「退職前6ヶ月間の賃金総額 ÷ 180」で計算される。給付率は賃金日額が低い場合ほど高く(最大80%)、高い場合ほど低く(最低50%)設定されている。
基本手当の上限額(2024年時点)
| 年齢 | 基本手当の上限額(1日あたり) |
|---|---|
| 30歳未満 | 6,945円 |
| 30歳以上45歳未満 | 7,715円 |
| 45歳以上60歳未満 | 8,490円 |
| 60歳以上65歳未満 | 7,294円 |
月の支給額は「基本手当日額 × 1ヶ月の認定日数(通常28日)」で計算される。30代で月収30万円の人が退職した場合、失業保険の月額受給額は概ね14〜17万円程度になることが多い。
具体的な計算例
月収30万円(退職前6ヶ月の平均)の32歳の場合:
- 賃金日額:300,000円 × 6ヶ月 ÷ 180日 = 10,000円
- 給付率:60%(賃金日額によって変動)
- 基本手当日額:10,000円 × 60% = 6,000円
- 月額受給額(28日分):6,000円 × 28日 = 168,000円
この計算はあくまでも目安であり、実際の金額はハローワークで確認することが必要だ。
転職活動中の失業保険に関するよくある疑問
転職先が決まったら失業保険の受給はどうなるか
転職先で就職が決まった時点で、失業保険の受給は終了する。ただし、給付期間の残日数が一定以上ある場合、「再就職手当」を受給できる可能性がある。
再就職手当は「就職促進給付」の一種で、失業保険の受給期間中に再就職した場合に一定額が一時金として支給される制度だ。
再就職手当の計算方法
- 給付残日数が3分の2以上残っている場合:基本手当の残額の70%
- 給付残日数が3分の1以上残っている場合:基本手当の残額の60%
早く転職先が決まるほど、再就職手当として受け取れる金額が多くなる。失業保険を「できるだけ長くもらいたい」と考えるより、「早く次の仕事を決めて再就職手当をもらう」方が合理的なケースも多い。
失業保険受給中にアルバイトはできるか
できるが、条件がある。1日4時間以上のアルバイトをした場合、その日の基本手当は支給されない(「就労」扱いになる)。1日4時間未満のアルバイトは「内職・手伝い」として申告すれば、基本手当の減額はされるが受給は継続できる。
重要なのは、アルバイトをした場合は必ずハローワークに申告することだ。申告せずにアルバイトをすると、不正受給として受給した金額の3倍を返還しなければならないケースがある。
在職中から転職活動をして内定を取った場合、失業保険はもらえるか
原則としてもらえない。失業保険は「無職の状態で求職活動をしている人」に支給される制度であり、在職中に転職先が決まって退職した場合は、失業状態を経ていないため受給できない。ただし、退職と入社の間に一定の空白期間がある場合は、その期間中に申請・受給できる可能性がある。
転職後すぐに失業した場合は再度もらえるか
前職と新しい職場での雇用保険の加入期間を合算することはできる。ただし、転職後1年未満で自己都合退職した場合、雇用保険の加入要件(2年間で12ヶ月以上)を満たさない可能性がある。この場合は前職の加入期間と合算して受給資格を確認する必要がある。
自己都合でも「特定理由離職者」になれるケース
自己都合退職の中でも、「特定理由離職者」に認定されると、会社都合退職と同様の給付が受けられる場合がある。特定理由離職者に認定される主なケースは以下だ。
- 配偶者または扶養する親族との別居を避けるための転居が必要になった場合
- 本人・配偶者・扶養親族の疾病・負傷により通勤が困難になった場合
- 妊娠・出産・育児により退職を余儀なくされた場合
- 会社が育児休業制度の申し出を拒否した場合
- 介護・看護のために退職した場合
- 労働条件が著しく変更された場合(給与の大幅削減・転勤命令など)
「やむを得ない理由での退職」であることを証明できる場合は、ハローワークで特定理由離職者として申請することを忘れないでほしい。
会社都合退職の「特定受給資格者」が有利な点
会社都合退職で「特定受給資格者」に認定されると、以下の優遇が受けられる。
- 給付制限なし(7日の待期期間後すぐに受給開始)
- 給付日数が自己都合より長い
- 雇用保険の加入要件が「離職前1年間で6ヶ月以上」に緩和される
会社都合退職に該当するかどうかは、離職票の「退職理由」欄の記載内容によって決まる。会社から「自己都合で辞めてほしい」と言われた場合でも、実際の退職理由が会社都合である場合は、ハローワークに異議を申し立てることができる。
「会社都合」に変えられるケースと手続き
退職の実態が会社都合であるにもかかわらず、会社から「自己都合」で処理されてしまうケースがある。以下の場合は、ハローワークに相談することで「会社都合」に変更できる可能性がある。
実質的に解雇に当たるケース
- 退職を強要された(「辞めてくれ」「この会社に居場所はない」と言われた)
- 給与・労働条件の大幅な切り下げがあった
- 配置転換・転勤命令で通勤が事実上不可能になった
- パワーハラスメント・セクシャルハラスメントが原因で退職した
会社都合に変更する手続き
退職の実態が会社都合であると判断できる場合、以下の手順で対応する。
- ①証拠を集める(メール・LINE・録音・給与明細・タイムカードのコピーなど)
- ②ハローワークに離職票を提出する際に、退職理由に異議を申し出る
- ③ハローワークが会社に確認を取り、認定の可否を判断する
労働問題の専門家(社会保険労務士・弁護士)に相談することも選択肢のひとつだ。
失業保険と転職エージェントの組み合わせ活用法
失業保険を受給しながら転職活動をする場合、転職エージェントとの組み合わせが最も効率的だ。
失業保険受給中に転職エージェントを使うメリット
- 求職活動の実績としてカウントされる(転職エージェントへの登録・面談がハローワークの求職活動実績として認められる場合がある)
- 転職活動の期間を短縮できる(非公開求人への早期アクセス・書類添削・面接対策)
- 早期内定→再就職手当の受給という流れを作りやすい
失業保険受給中の求職活動実績について
失業保険を受給するためには、4週間に2回以上の求職活動実績が必要だ。認められる活動の例は以下だ。
- ハローワークでの職業相談・求人の応募
- 転職エージェントへの登録・面談(各社の規定による)
- 求人サイトへの応募(書類選考)
- ハローワーク主催の職業訓練・就職セミナーへの参加
「転職エージェントへの相談」が求職活動実績として認められるかどうかはハローワークの判断によるため、事前に確認することを推奨する。
転職と失業保険に関するよくある質問
Q1:失業保険は確定申告が必要ですか?
失業保険(基本手当)は非課税所得のため、確定申告は不要だ。ただし、同じ年に就職して給与所得を得た場合や、副業収入がある場合は別途確定申告が必要になる場合がある。
Q2:失業保険の受給中は扶養に入れますか?
失業保険の基本手当日額が3,612円以上(60歳以上・障害者は5,000円以上)の場合、受給中は配偶者の社会保険の扶養に入れない。基本手当日額が3,612円未満の場合は扶養に入ることが可能だ。
Q3:失業保険の受給期間中に国民健康保険・国民年金の手続きは必要ですか?
必要だ。会社を退職すると健康保険の被保険者資格が喪失するため、以下のどちらかに切り替える必要がある。
- 任意継続被保険者:退職前の健康保険を最大2年間継続できる。保険料は会社負担分も含め全額自己負担になる
- 国民健康保険:市区町村の国民健康保険に加入する。前年の収入に基づいて保険料が計算される
国民年金も同様に、会社を退職した翌日から第1号被保険者として加入手続きが必要だ。
Q4:転職先での雇用保険は前職の加入期間が引き継がれますか?
引き継がれる。転職先での雇用保険加入後、前職との間に1年以上のブランクがない場合、前職の被保険者期間を合算できる。ただし、失業保険の受給をすでに行っていた場合は、受給済み期間は合算できない。
Q5:失業保険をもらいながら転職活動する期間は最大どのくらいですか?
失業保険には「受給期間」の上限があり、離職日の翌日から1年以内が原則だ。この1年以内に給付日数分を受給しきれない場合、残りの分は受給できなくなる。転職活動が長引くと受給期間切れになる可能性があるため、早期の転職活動開始が重要だ。
転職前に知っておくべき雇用保険の基礎知識
雇用保険への加入要件
雇用保険に加入できる条件は以下だ。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上
- 31日以上の雇用見込みがある
- 学生でない(在学中の学生は原則として対象外)
フルタイムの正社員はほぼ全員が雇用保険に加入している。パートやアルバイトでも上記の要件を満たす場合は加入義務がある。
雇用保険の被保険者証の確認方法
雇用保険の被保険者証は入社時に会社から交付される書類だ。紛失した場合はハローワークで再発行できる。転職の際には被保険者番号が必要になるため、手元に保管しておくことを推奨する。
副業・フリーランス期間がある場合の注意点
副業や個人事業での収入がある場合、雇用保険の受給に影響する場合がある。副業の収入が一定額を超えると失業保険が減額・不支給になる可能性があるため、ハローワークに正直に申告することが重要だ。
まとめ:転職と失業保険の要点を整理する
転職と失業保険に関する重要ポイントをまとめる。
- 転職の場合でも失業保険は受給できるが、雇用保険の加入要件を満たすことが必要
- 自己都合退職は2025年4月以降、給付制限期間が2ヶ月→1ヶ月に短縮された
- 会社都合退職は給付制限なし・給付日数も長く、自己都合より有利
- 実態が会社都合であれば、ハローワークで申し立てを行うことで変更できる可能性がある
- 再就職が早く決まった場合は「再就職手当」の受給で一時金を得られる
- 失業保険受給中のアルバイトは条件付きで可能だが、必ずハローワークへの申告が必要
転職活動は「失業保険をもらいながらゆっくり探す」より、「早期内定→再就職手当の受給」を目指す方が多くの場合で合理的だ。転職の軸を明確にした上で、早期に行動を起こすことが、経済的にも精神的にも最善の方法だ。
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失業保険と雇用保険の詳細な仕組みを理解する
転職を考える上で、失業保険の仕組みをより深く理解しておくことは、転職活動の戦略立案に直結する。ここでは、実務的な観点から詳しく解説する。
雇用保険の被保険者の種類
雇用保険の被保険者には複数の種類があり、種類によって給付の内容が異なる。
- 一般被保険者:フルタイム・週20時間以上のパート等(最も一般的)
- 短期雇用特例被保険者:季節的労働など短期間の雇用形態
- 日雇労働被保険者:日雇いで働く人
- 高年齢被保険者:65歳以上の労働者
一般的なサラリーマン・パート・アルバイトのほとんどが「一般被保険者」に該当する。転職者が受給する失業保険は、一般被保険者としての基本手当だ。
雇用保険の加入期間の計算方法
雇用保険の被保険者期間は「1ヶ月に11日以上働いた月」を1ヶ月として計算する。フルタイムの正社員は原則として毎月11日以上働くため、在職期間がそのまま被保険者期間になる。ただし以下の点に注意が必要だ。
- 育児休業・介護休業中は被保険者期間に算入される
- 病気で長期療養した場合でも、雇用関係が続いていれば被保険者期間に含まれる
- 複数の会社を転職してきた場合、失業保険の受給をしていない期間は合算できる
基本手当の支給停止になる条件
失業保険の受給中に、以下の状態になると基本手当の支給が停止する。
- 就職(パート・アルバイト含む)した場合(労働時間によって支給停止か減額か変わる)
- 自営業を開始した場合
- 病気・けがで働けない状態になった場合(傷病手当への切り替えが必要)
- 学校・職業訓練機関に入学した場合(訓練延長給付が適用されるケースあり)
- 1日の労働時間が4時間以上のアルバイトをした場合(その日の基本手当は不支給)
転職における退職のタイミングと失業保険の関係
転職活動をする際、退職のタイミングによって失業保険の受給額が大きく変わることがある。
月末退職か月途中退職か
退職日を月末にするか月途中にするかで、社会保険料(健康保険・年金)の負担額が変わる。月途中で退職した場合、退職月の社会保険料は翌月分から国民健康保険・国民年金に切り替わる。月末退職の場合は退職月の会社の社会保険料が発生する(会社負担分もなくなる)ため、実際の手取りへの影響を計算して退職日を決めることが重要だ。
賞与支給後の退職タイミング
賞与(ボーナス)の支給後に退職することで、賞与を受け取ってから転職活動を始められる。賞与の支給条件(支給日に在籍が必要な会社が多い)を確認した上で、退職日を設定することが経済的に有利だ。
有給休暇の消化と退職日の設定
退職前に未消化の有給休暇を全て消化することは労働者の権利だ。有給休暇を消化しながら転職先への入社日を調整することで、精神的・体力的な余裕を持って転職できる。ただし、有給消化中も雇用保険の被保険者として算入される点は押さえておきたい。
転職後の失業保険受給に関わる注意点
転職後に再び転職(二回目の転職)を考える場合や、入社後早期に退職する可能性がある場合の失業保険への影響を整理する。
転職後の雇用保険加入の確認
転職先に入社後、雇用保険に加入したことを確認する。通常は入社時に会社が手続きを行うが、以下のケースでは自分で確認が必要だ。
- 試用期間中は雇用保険に加入しないと言われた場合(誤りの可能性がある)
- 週の所定労働時間が20時間未満と言われた場合(不当な短縮であれば問題がある)
- 入社後3ヶ月経っても雇用保険被保険者証が交付されない場合
転職先の試用期間中に退職した場合
試用期間中に転職先を辞めた場合でも、雇用保険の被保険者期間は在職日数に応じて算入される。ただし、試用期間中に退職した場合は「自己都合退職」となる可能性が高く、前職の被保険者期間との合算が必要になる。
失業保険を受給しながら転職活動を成功させる戦略
失業保険の受給期間を有効活用して転職活動を成功させるための戦略を解説する。
「給付制限期間」を転職準備に活用する
自己都合退職の場合、2025年4月以降は1ヶ月の給付制限期間がある。この1ヶ月間を無駄にせず、以下の準備に集中することで、給付開始後すぐに質の高い転職活動ができる。
- 転職エージェントへの登録・キャリアカウンセリング
- 履歴書・職務経歴書の完成
- 転職先の業界・企業のリサーチ
- 資格の学習開始(教育訓練給付金の対象講座受講も検討)
給付期間中のスケジュール管理
失業保険の受給は「4週間ごとの認定日」を中心に進む。認定日を軸にした転職活動スケジュールを立てると、効率よく活動できる。
- 認定日前:求職活動実績(2回以上)を必ず積む
- 認定日:ハローワークで失業認定の手続きを行う
- 認定日後:次の認定日までに面接・応募を進める
早期内定→再就職手当の受給を狙う
給付期間の3分の2以上が残っている状態で内定が決まった場合、基本手当の残額の70%が「再就職手当」として一括支給される。失業保険をできるだけ長く受給するより、早期内定で再就職手当を受け取る方が経済的に有利なケースも多い。
例えば、給付期間が90日で基本手当日額6,000円の場合:
- 60日目(3分の2以上残っている)で内定した場合:6,000円×残日数30日×70%=126,000円が再就職手当として支給
- 30日目(3分の1以上残っている)で内定した場合:6,000円×残日数60日×60%=216,000円が再就職手当として支給
失業保険に関する誤解と正しい知識
誤解1:「自分で辞めたら失業保険はもらえない」
正しくない。自己都合退職でも、雇用保険の加入要件(離職前2年間で12ヶ月以上)を満たしていれば失業保険を受給できる。2025年4月以降は給付制限期間が1ヶ月に短縮されたため、以前より受給しやすくなった。
誤解2:「転職先が決まったら失業保険は全部なくなる」
全部なくなるのではなく、残日数に応じた「再就職手当」が支給される可能性がある。さらに、再就職手当を受け取った後も「就業促進定着手当」(再就職先での賃金が前職より低い場合に支給)などの給付を受けられるケースもある。
誤解3:「失業保険をもらいながら副業はできない」
完全に禁止されているわけではないが、申告義務がある。1日4時間以上の就労(副業含む)がある日は基本手当が支給されない。1日4時間未満の副業は「内職・手伝い」として申告すれば、基本手当が減額される形で受給を継続できる。申告なしの副業は不正受給となるため、必ず申告することが前提だ。
誤解4:「失業保険の受給中は年金・健康保険の支払いが免除される」
正しくない。失業保険の受給中でも、国民健康保険・国民年金の支払い義務は継続する。ただし、収入が減少した場合、国民健康保険料の「前年所得に基づく減額制度」や国民年金の「免除・猶予制度」を利用できる可能性がある。各市区町村の窓口や年金事務所で相談することを推奨する。
退職前にやっておくべき失業保険の準備リスト
退職する前に、以下の準備をしておくと失業保険の手続きがスムーズになる。
- 雇用保険被保険者証の場所を確認する(入社時に交付された書類の中にある)
- 離職票が届くまでの日数を会社の人事担当者に確認する
- 住所地を管轄するハローワークの場所・営業時間を確認する
- 住民票・本人確認書類・写真など、申請に必要な書類を準備する
- 退職後の健康保険の切り替え方法を調べておく(任意継続or国民健康保険)
- 退職後の収入見込みを計算し、必要な生活費の備えを確認する
特に「離職票が届かない」「退職理由の記載が実態と異なる」というトラブルは比較的多い。退職後10日〜2週間経っても離職票が届かない場合は、会社の人事担当者に連絡を取ることが重要だ。それでも対応されない場合は、ハローワークに相談すると会社への照会を行ってもらえる。
転職活動のタイプ別:失業保険の活用戦略
転職活動のスタイルによって、失業保険の最適な活用方法は変わる。自分のタイプに合わせた戦略を選んでほしい。
タイプ1:在職中に転職先を決める人(最多のケース)
在職中に転職先が決まった場合、退職と入社の間に空白期間がなければ失業保険は受給できない。しかし、以下のメリットがある。
- 経済的な不安なく転職活動ができる
- 焦りから条件の悪い会社に入るリスクが低い
- 「現在就業中」の状態は採用担当者に安心感を与える
在職中転職では、失業保険の受給はできないが、再就職手当も受給できない。ただし、転職先での給与が前職より下がった場合は「就業促進定着手当」を受給できる可能性がある。
タイプ2:退職後にじっくり転職活動する人
退職後に転職活動をするタイプの人は、失業保険を最大限活用できる。ポイントは「給付制限期間(1ヶ月)中に準備を徹底し、給付開始後は早期内定を目指す」ことだ。
失業保険受給中の転職活動スケジュールの目安は以下だ。
- 退職後1〜2週間:ハローワークへの申請・転職エージェントへの登録・書類作成開始
- 退職後2週間〜1ヶ月(給付制限期間):書類完成・企業研究・スキルアップ学習
- 給付開始後(1ヶ月〜):本格的な求人応募・面接対応・内定取得を目指す
- 内定取得後:再就職手当の申請→新しい職場での勤務開始
タイプ3:スキルアップをしながら転職活動する人
2025年4月以降の雇用保険法改正で、教育訓練給付金の対象講座を受講中の場合は給付制限なしで失業保険を受給できるようになった。IT・マーケティング・医療事務・語学などの資格取得講座を受講しながら転職活動をするタイプの人には特に有利な改正だ。
教育訓練給付金(一般教育訓練)の対象講座を受講する場合、受講費用の20%(最大10万円)が給付される。さらに専門実践教育訓練給付金の対象講座では最大70%(最大168万円/3年間)が給付される。IT系・医療系・語学系の高額講座を受講する場合は積極的に活用してほしい。
退職後の手続きカレンダー【時系列で整理】
退職後に必要な手続きを時系列で整理する。抜け漏れなく対応するためのチェックリストとして活用してほしい。
退職日当日〜1週間以内
- 健康保険の切り替え手続き(任意継続 or 国民健康保険の選択)→市区町村の窓口または元の会社へ
- 国民年金への切り替え→市区町村の国民年金担当窓口
- 会社から「離職票」「雇用保険被保険者証」「源泉徴収票(翌年1月以降)」が届くまで待つ
退職後1〜2週間(離職票到着後)
- 住所地を管轄するハローワークに離職票を持参して求職申込みをする
- 受給説明会の日程を確認・出席する
- 転職エージェントへの登録(複数社)
退職後2週間〜1ヶ月(待期期間・給付制限期間)
- 給付制限期間中も求職活動を継続する(ハローワークへの相談・求人応募)
- 履歴書・職務経歴書の作成とエージェントによる添削
- 年末調整・確定申告の準備(退職年は年末調整ができないため、翌年の確定申告が必要)
給付開始後(待期・給付制限終了後)
- 4週間ごとの認定日にハローワークへ行き、失業認定の手続きをする
- 認定日に求職活動の実績(2回以上)を提出する
- 転職先が決まった場合、ハローワークに就職届を提出し再就職手当の申請をする
失業保険に関する相談窓口
失業保険・退職手続きについて不明点がある場合は、以下の窓口に相談することを推奨する。
- ハローワーク(公共職業安定所):失業保険の申請・受給に関する相談全般
- 労働基準監督署:退職手続き・未払い給与・解雇トラブルに関する相談
- 社会保険労務士:雇用保険・社会保険・労働問題全般の専門相談(有料)
- 弁護士:不当解雇・退職強要などの法的トラブル(有料、法テラスで無料相談可)
転職を成功させるための失業保険活用シミュレーション
失業保険を受給しながら転職活動を進めた場合の収支シミュレーションを示す。自分の状況に当てはめて参考にしてほしい。
シミュレーション条件
- 退職前の月収:300,000円(手取り約240,000円)
- 退職前の勤続年数:5年(自己都合退職)
- 年齢:30歳
- 失業保険の基本手当日額:約6,000円
- 給付日数:90日
パターンA:給付制限期間満了後から受給し、45日目で内定
- 給付制限期間(1ヶ月):失業保険収入0円
- 待期期間(7日):失業保険収入0円
- 給付開始後45日で内定:基本手当 6,000円×45日=270,000円
- 再就職手当:6,000円×残日数45日×60%(3分の1以上)=162,000円
- 失業期間中の合計受給額:270,000円+162,000円=432,000円
パターンB:給付制限期間満了後から受給し、給付終了まで(90日)転職先が決まらなかった場合
- 基本手当合計:6,000円×90日=540,000円
- 再就職手当:0円(受給期間内に内定が出なかった場合)
- 失業期間中の合計受給額:540,000円
パターンAとBを比較すると、パターンBの方が基本手当の受給額は高いが、転職先が決まるまでの期間が長く、精神的・経済的なプレッシャーが大きい。また、受給終了後も転職が決まらない場合、収入がゼロになるリスクがある。
早期内定を目指すパターンAの方が、総合的なリスクが低い戦略だといえる。
2025年以降の雇用保険制度改正の全体像
2024年5月に成立した雇用保険法改正では、給付制限期間の短縮以外にも複数の変更が予定されている。転職を考えている方は、以下の改正内容も把握しておくと有利だ。
育児休業給付の改正(2025年〜)
育児休業給付の給付率が引き上げられる予定だ。出生後8週間以内に夫婦ともに育児休業を14日以上取得した場合、給付率が手取りの実質100%程度(現行80%→改正後100%相当)に引き上げられる。育児・仕事の両立を考えている転職者にとって重要な改正だ。
教育訓練給付の拡充
2025年以降、教育訓練給付金の対象講座が拡充される予定だ。特に「リスキリング(デジタルスキルの習得)」に関連する講座が新たに追加されるため、ITエンジニア・データアナリスト・AIエンジニアへの転職を目指す人には有利な改正だ。
雇用保険の対象拡大
2028年10月から、週所定労働時間10時間以上の労働者も雇用保険の適用対象に拡大される予定だ(現行は週20時間以上)。副業・週数回のパートタイムで働く人の保護が強化される方向性だ。
自己都合退職でも「給付制限なし」になるケースの詳細
自己都合退職でも給付制限期間が適用されないケースについて、詳しく解説する。
正当な理由のある自己都合退職
以下のケースは「正当な理由のある自己都合退職」として、給付制限なしで受給できる可能性がある。
- 体力的・精神的な疾病で医師から就労不可の診断を受けた(証明書が必要)
- 妊娠・出産・育児による退職(出産後に就労予定がある場合)
- 家族の介護のためやむを得ず退職した(介護の状況を証明する書類が必要)
- 通勤不可能または著しく困難な状況になった(転居・交通機関廃止など)
- 賃金の3分の1を超える額が支払われなかった
- 時間外労働が法定基準を著しく超えていた(月45時間超などの証拠が必要)
- 職場のハラスメントにより退職した(具体的な証拠が重要)
これらのケースでハローワークに申請する際は、証拠書類(医師の診断書・会社との交渉記録・給与明細・タイムカードなど)を持参することが認定に大きく影響する。「実態は会社都合だが、書類上は自己都合になっている」という場合も積極的に申し立てを行うことを推奨する。
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