50代の転職事情|統計で見る現実と成功のコツ・未経験から挑戦できる仕事

50代の転職は、20代・30代より選べる求人が絞られ、転職後に賃金が下がる人も多いのが現実です。それでも、募集・採用で年齢を制限することは法律で原則禁止されていて、経験を活かせる仕事や人手が足りない仕事を選べば、50代からでも十分に転職できます。大事なのは、「これまでの経験を活かす転職」か「人手不足の仕事に新しく入る転職」か、どちらの道を取るかを最初に決めることです。
この記事では、最新の統計で見た50代の転職の実態、年齢制限の例外と定年・再雇用のルール、未経験から挑戦しやすい仕事、書類と面接の対策、雇用保険などお金の備えまでをまとめます。
Re:WORKの求人データ(2026年10月17日時点・公開求人13,784件)
- 「50代活躍中」と書かれた求人 444件(26社。上位4社の掲載で約9割。うち製造・技能工の職種が299件、未経験歓迎は231件)
- 物流・運輸・ドライバーの求人 280件(97社)、福祉・介護の求人 242件(ケアマネージャーやサービス提供責任者を含む。1社の掲載が約4分の1)
- 「ブランクOK」かつ「未経験歓迎」の求人 2,734件(315社)
50代の転職の現実|統計で見ると賃金が下がる人のほうが多い
まず、50代で転職した人の賃金がどう変わったかを、公的な統計で確認しておきましょう。厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概況」(2026年8月31日公表)では、転職入職者の賃金の変化が年齢ごとにまとめられています。
| 年齢 | 増加 | 変わらない | 減少 |
|---|---|---|---|
| 全年齢 | 40.8% | 25.5% | 31.0% |
| 45〜49歳 | 41.1% | 28.0% | 30.1% |
| 50〜54歳 | 29.4% | 26.7% | 42.0% |
| 55〜59歳 | 25.5% | 33.0% | 38.9% |
| 60〜64歳 | 21.1% | 24.2% | 54.3% |
全年齢では賃金が増えた人のほうが多い一方で、50代になると減った人のほうが多くなります。50〜54歳では1割以上減った人が28.3%、55〜59歳では30.6%でした。一方で、50代でも4人に1人以上は賃金が増えていて、「変わらない」を合わせると半分を超えます。下がるかどうかは、どんな仕事に移るかで大きく変わると考えてください。
求人の量そのものは少なくありません。厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)」では、有効求人倍率(季節調整値)が1.18倍で、求職者1人に対して1件以上の求人がある状態が続いています。ただし職種による差が大きく、事務の仕事は求人が少なく、介護・警備・運転・建設などは求人が多い傾向があります。
50代の転職で起きやすい3つのこと
- 応募先が限られやすい:管理職の募集は限られることがあり、同じ職種の中でも若手向けの採用枠とは競いにくい
- 賃金の折り合いがつきにくい:前職の給与を基準にすると、条件の合う求人が少なくなる
- 活動期間が長くなりやすい:書類の通過が少ない段階で、応募先や書き方を見直す時間が必要になる
どれも準備で差がつく部分です。賃金の下がり幅を抑える考え方は、転職先で給料が下がるのを防ぐ方法でも詳しく扱っています。
求人の年齢制限は原則禁止|例外のパターンと「年齢不問」の読み方
労働施策総合推進法 第9条により、事業主は労働者の募集・採用で、年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければなりません。求人票に「40歳まで」のような年齢の上限を書くことは、原則としてできないということです。
ただし、労働施策総合推進法施行規則 第1条の3第1項で、年齢制限が例外として認められる場合が決められています。
| 例外 | 内容 | 求人票での見え方の例 |
|---|---|---|
| 第1号 | 定年の年齢を上限として、その年齢未満の人を期間の定めのない労働契約で募集する場合 | 「60歳未満(定年が60歳のため)」 |
| 第2号 | 労働基準法など法令で、特定の年齢の人の就業が禁止・制限されている業務の場合 | 「18歳以上(深夜業務のため)」 |
| 第3号イ | 長期勤続によるキャリア形成のため、青少年など特定の年齢を下回る人を募集する場合。期間の定めのない労働契約であること、職業経験を求人の条件にしないこと、学校等を新たに卒業しようとする人として(またはそれと同じ処遇で)募集することの3つをすべて満たす必要がある | 「35歳未満(新卒と同じ扱い・職務経験不問)」 |
| 第3号ロ | 技能・ノウハウを継承するため、特定の職種で労働者が相当程度少ない特定の年齢層に限り、期間の定めのない労働契約で募集する場合 | 「30〜39歳(当該職種で30代が少ないため)」 |
| 第3号ハ | 芸術・芸能の分野で、表現の真実性などのために特定の年齢の人を募集する場合 | 「子役のため◯歳以下」 |
| 第3号ニ | 60歳以上の高年齢者、または特定の年齢層の雇用を促進する国の施策の対象となる人に限って募集する場合 | 「60歳以上の方」 |
第3号イは新卒と同じ扱いで若い人を育てるための例外なので、職業経験を前提にした中途採用の50代向けの募集には当てはまりません。「35歳未満」と書かれた求人でも、新卒と同じ処遇かどうか、経験を問わないかどうかで、この例外に当たるかが決まります。
また高年齢者雇用安定法 第20条では、やむを得ない理由で65歳以下の一定の年齢を下回ることを条件にする場合、事業主は求職者にその理由を示さなければならないとされています。年齢の上限が書かれた求人は、その理由を示すことが事業主に求められているので、理由も一緒に確認してください。
「年齢不問」でも、実際の見られ方は求人で違う
求人票に年齢の条件がなくても、仕事内容によっては体力や経験の面で選考が厳しくなることがあります。反対に、「50代活躍中」「ミドル歓迎」と書かれた求人は、50代の応募を想定していることが多いです。Re:WORKの求人では「50代活躍中」の444件のうち、上位4社の掲載で約9割を占め、製造の仕事が中心でした。件数だけで判断せず、仕事内容と職場の年齢構成を1件ずつ確かめるのが確実です。
定年・再雇用のルール|60歳以降まで見据えて転職先を選ぶ
50代の転職では、入社した会社で何歳まで働けるかが大きな判断材料になります。高年齢者雇用安定法のルールを押さえておきましょう。
| 条文 | 決まっていること |
|---|---|
| 第8条 | 定年を定める場合、60歳を下回ることはできない |
| 第9条 | 65歳未満の定年を定めている事業主は、65歳までの雇用を確保するため「定年の引上げ」「継続雇用制度の導入」「定年の定めの廃止」のいずれかを講じなければならない |
| 第10条の2 | 70歳までの就業機会を確保する措置(定年の引上げ、定年の廃止、継続雇用制度、業務委託契約、社会貢献事業)を講じるよう努めなければならない(努力義務。2021年4月1日施行) |
| 第20条 | 65歳以下の上限年齢を付けて募集する場合は、理由を示さなければならない |
継続雇用制度の対象者を労使協定で絞れる経過措置は2025年3月31日で終わり、今は希望者全員が65歳まで働ける制度を整えることが必要です。転職先を選ぶときは、定年の年齢、65歳までの継続雇用の条件、70歳までの制度があるかどうかを面接や労働条件通知書で確認してください。
今の会社の再雇用と、転職を比べる
| 比べる点 | 今の会社で定年後に再雇用 | 50代のうちに転職 |
|---|---|---|
| 仕事内容 | 慣れた仕事を続けられることが多い | 新しい仕事や役割に挑戦できる |
| 給与 | 定年後に下がることがあり、下がり幅は会社しだい | 入社時に下がることがあるが、定年までの昇給や評価の余地がある |
| 働ける年齢 | 会社の制度で65歳以降も見通しやすい | 転職先の定年・継続雇用の制度しだい |
| 退職金 | 勤続年数が長いぶん有利になりやすい | 前の会社で受け取り、転職先では勤続が短くなる |
再雇用の給与や仕事内容は会社ごとに違うので、まず自分の会社の制度を人事に確かめてから比べると判断を誤りにくくなります。
60歳以降に働きながら年金を受け取る場合
60歳以降も厚生年金に入って働くと、賃金と老齢厚生年金の合計が一定の額を超えた部分について、年金の一部が止まる「在職老齢年金」の仕組みがあります。日本年金機構・厚生労働省の案内では、この基準額は2026年3月までの月51万円から、2026年4月に月65万円へ引き上げられました。50代のうちに転職先を選ぶときも、60歳以降にどのくらいの賃金で働くかの見通しを持っておくと安心です。
今の状況別|50代はどちらの道から考えるとよいか
「経験を活かす」か「新しい仕事に入る」かは、今の状況でおおよその向きが決まります。次の表を出発点にしてください。
| 今の状況 | まず考えたい道 | 理由と注意点 |
|---|---|---|
| 同じ職種を20年以上続けてきた | 経験を活かす転職 | 同じ職種なら賃金の下がり幅を抑えやすい。業務の範囲と成果を具体的に書けるよう準備する |
| 管理職だったが、実務から離れて長い | 経験を活かす転職(中小企業の実務を兼ねる管理職) | 管理職のポストは少ないので、実務もこなせることを示す。応募先を広げることも考える |
| 今の仕事を続けるのが体力的につらい | 人手不足の仕事に入る転職(施設管理・警備・事務を伴う仕事など) | 体への負担が少ない仕事を選ぶ。夜勤・立ち仕事・重い物の有無を確認する |
| しばらく仕事から離れていた | 人手不足の仕事に入る転職 | 「ブランクOK」の求人から探すと応募しやすい。空白期間にしていたことを短く説明できるようにする |
| 早期退職・希望退職の募集があった | 応募前に両方を比べる | 割増の退職金と、再就職までにかかる期間・収入の見通しを比べてから決める |
早期退職・希望退職に応募するか迷ったら
雇用保険では、会社から退職を勧められて離職した場合は「特定受給資格者」に当たり、自己都合退職より基本手当の所定給付日数が長くなることがあります。ただし、以前から恒常的に設けられている早期退職優遇制度に応募して離職した場合は、これに当たりません。また、人員整理のための希望退職の募集に応じた場合は「特定理由離職者」に当たることがあり、自己都合退職の給付制限がかかりません。どの扱いになるかで受け取り方が変わるので、応募する前に会社の人事とハローワークで確かめてください。割増退職金が出る場合でも、再就職まで半年以上かかることを想定して、生活費の計画を立ててから決めると安心です。
50代から未経験でも挑戦しやすい仕事
経験のない仕事に移る場合は、人手が足りていて、入社後に資格を取りながら働ける仕事が選びやすくなります。Re:WORKの求人の件数(2026年10月17日時点)とあわせて紹介します。
| 仕事 | Re:WORKの求人 | 入り方・取っておきたい資格 |
|---|---|---|
| 介護職 | 福祉・介護 242件(ケアマネージャーやサービス提供責任者の求人を含む。1社の掲載が約4分の1) | 介護職員初任者研修から始め、実務経験を積んで介護福祉士を目指せる |
| 警備員 | 求人票で「警備」と書かれた求人は少なく、「警備・清掃・施設管理」などの区分に施設管理や事務の仕事と混ざっている | 入社後に法定の新任教育を受けてから現場に出る。施設警備・交通誘導など種類がある |
| ビルメンテナンス・施設管理 | 「管理・清掃・洗浄・事務」区分の求人 138件(清掃や管理の仕事を含み、ビルメンテナンスとは限らない) | 第二種電気工事士・危険物取扱者乙種4類・ボイラー技士などがあると任される範囲が広がる |
| ドライバー | ドライバー 102件 | 運ぶものと車の大きさで免許が変わる。タクシー・バスは第二種運転免許が必要で、取得を支援する会社もある |
| 倉庫・物流 | 物流・運輸・ドライバー 280件 | フォークリフト運転技能講習を取ると仕事の幅が広がる |
| 製造 | 50代活躍中のうち299件 | 組み立て・検査・機械操作など。夜勤や交替制の有無を確認 |
介護職|人手不足が続き、50代の採用も多い
厚生労働省は、第9期介護保険事業計画に基づき、2026年度に約240万人(2022年度より約25万人多い)の介護職員が必要になると推計しています(2024年7月12日公表)。資格がなくても始められる職場があり、介護職員初任者研修を取ると任される仕事が広がります。年齢を重ねた人ならではの落ち着いた対応が、利用者や家族との関係づくりで活きる場面もあります。50代からの始め方は50代の介護職転職で詳しく紹介しています。
警備員・ビルメンテナンス|年齢層の幅が広い仕事
警備員は、警備業法に基づき、入社後に新任教育(2019年の改正以降は合計20時間以上)を受けてから現場に出ます。施設警備は建物の巡回や出入りの管理、交通誘導は工事現場などでの誘導が中心です。ビルメンテナンスは建物の電気・空調・給排水などの設備を点検する仕事で、資格を取るほど任される範囲が広がります。2つの仕事の比べ方は50代・60代でも転職できる警備・ビル管理の仕事、ビルメンの資格とキャリアはビルメンのキャリアと始め方にまとめています。
ドライバー・物流|免許と体力の条件を確かめて選ぶ
ドライバーは、近距離の配送、ルート配送、長距離、タクシーなどで働き方が大きく違います。荷物の積み下ろしがあるかどうかで体の負担も変わるので、手積み・手降ろしの有無と運行時間を求人票で確認してください。倉庫の仕事はフォークリフトの資格があると任される範囲が広がります。
事務の仕事は求人が少なく、競争になりやすい
座って働ける事務の仕事を希望する50代は多いのですが、厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)」では、事務従事者の有効求人倍率(常用・パートを含む原数値)は0.37倍で、同じ基準の職業計1.06倍を大きく下回り、求人より求職者のほうがかなり多い状況です。事務を目指すなら、経理・総務・人事など前職で担当した分野に絞るか、設備の管理や物流の現場事務のように、現場の知識と組み合わせて応募できる仕事を探すと可能性が広がります。電話やメールでの問い合わせ対応が中心のコールセンターも、未経験から始めやすい仕事の一つです。
農業に関心がある場合の注意点
農林水産省の就農準備資金・経営開始資金は、就農時に49歳以下の人が対象で、50代は対象外です。50代から農業に入る場合は、まず農業法人に雇われて働く形で経験を積むのが現実的です。自治体が独自の支援をしていることもあるので、移住先の候補があれば自治体の窓口に確認してください。
50代女性の賃金の目安や、未経験歓迎の求人の見方は50代女性の仕事の記事でまとめています。
経験を活かす転職|年収を保ちやすい3つの方向
賃金の下がり幅を抑えたいなら、これまでの経験がそのまま評価される転職先を探すのが近道です。考え方は大きく3つあります。
| 方向 | 例 | 伝えるべきこと |
|---|---|---|
| 同じ職種で別の会社へ | 経理→別の会社の経理、品質管理→同業メーカーの品質管理 | 担当した業務の範囲と、すぐに任せられる仕事 |
| 同じ業界で別の職種へ | メーカーの営業→同業の購買・生産管理、施工管理→発注者側の設備担当 | 業界の知識と、取引先・現場との関係づくりの経験 |
| 大企業から中小企業へ | 大手の管理部門→中小企業の総務・人事の責任者 | 仕組みづくりの経験と、自分で手を動かせること |
中小企業では、管理職であっても実務を自分でこなすことが求められやすいです。「部下に指示を出してきた」だけでなく、「自分で手を動かして◯◯を整えた」と言える経験があると評価されやすくなります。
応募先の探し方は1つに絞らない
| 探し方 | 向いている人 | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| 知人・元取引先の紹介 | 同じ業界で長く働き、人とのつながりがある人 | 条件の交渉がしにくいことがある。労働条件は書面で確認する |
| 転職エージェント | 書類や面接の準備を相談しながら進めたい人 | 扱う求人の傾向が会社ごとに違う。50代の応募を受け付けている求人か確認する |
| ハローワーク | 地元で働きたい人、職業訓練も検討している人 | 求人票の情報が少ないこともあるので、気になる点は窓口で確認してもらう |
| 転職サイト | 自分のペースで求人を比べたい人 | 応募から面接の調整まで自分で進める必要がある |
50代は、紹介や地元の求人など、公開の求人サイト以外から決まることもあります。複数の探し方を並行させると、出会える求人の幅が広がります。
正社員以外の働き方も選択肢に入れる
経験の長い分野がある人は、契約社員や業務委託、顧問のような関わり方もあります。収入は契約の内容しだいで安定しにくい面がありますが、週の稼働日を選べる働き方もあります。正社員と比べるときは、社会保険の扱い、契約の更新条件、仕事が途切れたときの備えまで確認してから決めてください。
50代の転職でよくある3つの思い込み
「すべて即戦力でないと採用されない」:経験を活かす転職では即戦力が求められますが、人手不足の仕事では、入社後に覚えることを前提に採用する会社も多くあります。経験の一部が活かせて、残りは入社後に覚える姿勢でも応募できる求人は少なくありません。
「50代はパソコンが苦手だと思われる」:そう受け取られやすい面はありますが、表計算ソフトでの資料づくりやオンライン会議の経験を具体的に書けば、印象は変えられます。不安があれば、応募前に基本操作を練習しておきましょう。
「希望年収を下げれば必ず通る」:下げれば応募できる求人は増えますが、生活に必要な額を下回ると長く働き続けるのが難しくなります。最低限ほしい額を先に決め、それを下回る求人には応募しないという線を引いておくと、判断がぶれにくくなります。
50代の転職の進め方|最初の3ステップと6か月の計画
50代の転職は、在職中に始めるのが基本です。収入が途切れない状態で活動できると、焦って条件の合わない会社に決めてしまうことを防げます。在職中と退職後のどちらで動くかの比べ方は転職活動は在職中と退職後のどちらがよいかにまとめています。
最初の3ステップ
- 経歴の棚卸しをする:会社名、在籍期間、担当業務、規模(人数・金額・件数)、成果を、直近から順に書き出します。全部書くことで、自分でも忘れていた経験が見つかります
- 転職の軸を決める:「絶対に実現したいこと」「絶対に避けたいこと」をそれぞれ3つ書きます。最低限ほしい月収、勤務地、休日、何歳まで働けるかを数字で決めておくと判断がぶれません
- 相談先を決める:ハローワーク、転職エージェント、転職サイト、知人の紹介を組み合わせます。最初の面談では、棚卸しの結果を見せて応募先の方向を一緒に考えてもらうと効率がよくなります
6か月の計画の例
| 時期 | やること |
|---|---|
| 1か月目 | 棚卸し、転職の軸の整理、相談先への登録と面談、職務経歴書の下書き |
| 2か月目 | 応募を始める。書類の結果を見ながら書き方を直す |
| 3か月目 | 面接の練習と本番。結果が出にくければ応募先の職種や条件を広げる |
| 4か月目 | 面接を続けながら、必要なら資格の勉強を始める |
| 5か月目 | 内定が出たら条件を確認し、ほかの選考と比べる |
| 6か月目 | 内定承諾、退職の手続き、引き継ぎ |
期間は職種や地域で前後します。活動の長さの目安は転職活動は何ヶ月かかるかも参考にしてください。40代後半から50代前半の人は、45歳からの転職の選択肢もあわせて読むと、選べる道が整理しやすくなります。
職務経歴書と面接の対策|経験の長さより「入社後に何ができるか」を伝える
職務経歴書は直近10年を中心に書く
経歴が長い50代は、全部を同じ厚さで書くと読みにくくなります。最初に3〜5行の職務要約を置き、応募先の仕事と関係の深い直近10年ほどを詳しく、それより前は会社名と担当業務を1〜2行にまとめると読みやすくなります。基本の書き方は未経験転職の職務経歴書の書き方を参考にしてください。
職務要約の例:「食品メーカーで28年間、営業と営業所の運営に携わりました。直近8年は営業所長として12名の所員と取引先約150社を担当し、取引先ごとの採算の見直しと新人の育成の仕組みづくりに取り組みました。今後は取引先との関係づくりと人を育てた経験を活かし、御社の営業体制づくりに貢献したいと考えています。」
未経験の仕事に応募する場合の自己PRの例(事務職から施設管理へ):「総務として20年、社屋の設備の修理手配や業者との打ち合わせ、点検の日程管理を担当してきました。設備の不具合を早く見つけて手配する仕事にやりがいを感じ、施設管理の仕事に就きたいと考えるようになりました。現在は第二種電気工事士の取得に向けて勉強しています。」
強みは「経験の言葉」から「相手が使える言葉」に言い換える
| よくある書き方 | 伝わりやすい書き方 |
|---|---|
| 豊富な経験があります | ◯◯の業務を◯年担当し、◯◯の仕組みを立ち上げました |
| 管理職を経験しました | ◯名のチームで、◯◯の目標管理と新人の育成を担当しました |
| 人脈が広いです | ◯◯業界の取引先と長く取引を続け、条件の交渉を担当してきました |
| パソコンは使えます | 表計算ソフトで売上管理表を作り、オンライン会議で社外と打ち合わせをしていました |
数字が手元にない場合は、無理に作らず「毎月」「◯店舗」「◯名」のように事実で書けば十分です。
書類が通らないときの見直しポイント
- 職務要約が長く、応募先の仕事と関係のある経験がすぐに見つからない
- 古い経歴まで同じ厚さで書いていて、3枚以上になっている
- 役職名と在籍年数は書いてあるが、何をしたかが具体的でない
- パソコンやオンライン会議など、今の職場で使う道具の経験が書かれていない
- 希望の給与が求人の幅より高く書かれている
10社ほど応募して書類が通らない場合は、書き方か応募先のどちらかを見直すタイミングです。応募先の職種を少し広げるだけで、結果が変わることもあります。
面接で準備しておきたい5つの質問
- 年下の上司のもとで働けますか:「役職や年齢より、その職場で経験の長い方のやり方をまず学びたいと考えています」と、学ぶ姿勢をはっきり伝える
- 転職の理由は何ですか:会社への不満ではなく、残りの職業人生で何をしたいかにつなげる
- 給与が下がっても大丈夫ですか:最低限必要な額を自分で決めておき、「◯◯円以上であれば前向きに考えています」と具体的に答える
- 体力や健康面は問題ありませんか:普段の体調管理や、前職で続けてきた勤務の実績で答える
- 新しいことを覚えるのに抵抗はありませんか:最近覚えた仕事の道具やシステム、勉強中の資格など具体例を出す
50代に多い転職理由と、面接での伝え方
| 本音の理由 | 面接での伝え方の例 |
|---|---|
| 役職定年で役割と給与が変わる | 「役職を離れる前に、現場の実務で長く貢献できる職場に移りたいと考えました」 |
| 会社の業績や将来が不安 | 「60歳以降も腰を据えて働ける環境で、経験を活かしたいと考えています」 |
| 親の介護と両立したい | 「家族の事情で勤務地と働き方を見直し、長く続けられる職場を探しています」 |
| 今の仕事が体力的につらい | 「体を大切にしながら、これから15年以上働ける仕事に移りたいと考えました」 |
| 新しいことに挑戦したい | 「前職で◯◯に関わり、この分野で働きたいと思うようになりました」 |
どの理由でも、前の会社を悪く言わず、事実を短く伝えてから「これから何をしたいか」に話をつなげると、前向きな印象になります。
「年下の上司」の質問への回答例:「前職でも、異動してきた年下の課長のもとで働いた時期がありました。役職に関係なく、その職場のやり方をよく知っている方から学ぶのが一番早いと考えています。分からないことはすぐに聞き、決まったことには従うことを大事にしています。」実際の経験がない場合は、経験談を作らず、考え方だけを短く伝えれば十分です。
逆質問では「入社後の最初の半年で期待されることは何ですか」「同じくらいの年代で入社された方は、どんな仕事を担当していますか」と聞くと、入社後のイメージが具体的になり、前向きな姿勢も伝わります。
お金と制度の備え|雇用保険と公的な相談窓口
退職してから活動する場合や、転職先が決まる前に辞めることになった場合に備えて、雇用保険の基本手当(いわゆる失業手当)の仕組みを知っておきましょう。
基本手当がもらえる日数
自己都合で退職した場合など一般の離職者の所定給付日数は、雇用保険に入っていた期間が10年未満で90日、10年以上20年未満で120日、20年以上で150日です。倒産や解雇などで離職した特定受給資格者(一部の特定理由離職者を含む)は、年齢と加入期間で日数が変わります。
| 被保険者であった期間 | 一般の離職者 | 特定受給資格者など(45歳以上60歳未満) |
|---|---|---|
| 1年未満 | 90日 | 90日 |
| 1年以上5年未満 | 90日 | 180日 |
| 5年以上10年未満 | 90日 | 240日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 | 270日 |
| 20年以上 | 150日 | 330日 |
基本手当を受け取るには、自己都合退職の場合、原則として離職日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上必要です。受け取れる期間は、原則として離職日の翌日から1年間なので、退職したら早めにハローワークで手続きをしてください。
自己都合退職の給付制限は原則1か月
2025年4月1日以降に退職した場合、正当な理由のない自己都合退職の給付制限は原則1か月です。ただし、退職日からさかのぼって5年間に、正当な理由のない自己都合退職で2回以上受給資格の決定を受けている場合(今回が3回目以降)と、重責解雇の場合は3か月です。また、離職期間中や離職日前1年以内に、対象の教育訓練を受けた場合は給付制限が解除されます。
基本手当の日額には年齢ごとの上限があり、45歳以上60歳未満の上限額は2026年8月1日から9,110円です。早く再就職して所定給付日数を3分の1以上残している場合は、条件を満たせば再就職手当(残り日数が3分の2以上なら支給残日数の70%、3分の1以上なら60%)を受け取れます。手続きの流れは転職で失業保険はもらえるかで詳しく解説しています。
学び直しに使える制度
新しい仕事に向けて資格や技能を身につけたい場合は、次の制度が使えることがあります。
| 制度 | 内容 |
|---|---|
| 教育訓練給付(一般教育訓練) | 対象講座の受講費用の20%(上限10万円)が支給される |
| 教育訓練給付(特定一般教育訓練) | 受講費用の40%(上限20万円)。資格を取って1年以内に就職すると10%上乗せ |
| 教育訓練給付(専門実践教育訓練) | 受講費用の50%(年間上限40万円)。資格取得と就職、賃金の上昇などの条件で最大80% |
| 公共職業訓練・求職者支援訓練 | ハローワークで申し込む職業訓練。受講料は原則無料(テキスト代などは自己負担)。求職者支援訓練は条件を満たすと月10万円の給付金がある |
教育訓練給付は雇用保険の加入期間などの条件があり、講座ごとに対象が決まっています。退職前に受けると自己都合退職の給付制限の解除にもつながる場合があるので、受講を考えている人はハローワークで条件を確認してください。
50代が使える公的な相談先
- ハローワークの一般の窓口:求人の紹介、応募書類の相談、職業訓練の案内
- ミドルシニア専門窓口:中高年層を対象に、キャリアの相談から就職後の定着まで支援する窓口(設けているハローワークで利用できる)
- 生涯現役支援窓口:おおむね60歳以上が対象(在職中も利用可)。55歳以上から利用できるハローワークもある
退職前に生活費を計算し、収入がない期間が数か月続いても困らない資金を確保してから辞めると、活動中の焦りを減らせます。
65歳以上で退職した場合は、通常の失業保険ではなく一括払いの高年齢求職者給付金になります。
内定承諾前のチェックリストと、入社後の最初の100日
内定を承諾する前に確認したい10項目
- 労働条件通知書を書面かデータで受け取り、すべての項目を読んだ
- 月給の内訳(基本給・固定残業代・手当)を金額で確認した
- 賞与の有無と、支給の実績を確認した
- 退職金制度の有無と計算方法を確認した
- 定年の年齢と、65歳までの継続雇用の条件を確認した
- 試用期間の長さと、その間の条件を確認した
- 転勤・異動の可能性を確認した
- 残業時間の実績と、夜勤・休日出勤の有無を確認した
- 仕事で使う体力(立ち仕事、重い物を運ぶ作業など)を具体的に聞いた
- 家族に転職先の条件を共有し、生活への影響を話し合った
入社後の最初の100日の過ごし方
| 時期 | 意識したいこと |
|---|---|
| 最初の30日 | 職場のやり方を覚えることに集中する。「前の会社では」という言い方は控え、分からないことは年齢に関係なく聞く |
| 31〜60日 | 任された仕事を期限どおりに仕上げ、報告をこまめにする。信頼を積み重ねる時期 |
| 61〜100日 | 職場に慣れてきたら、経験を活かした小さな改善を上司に相談しながら提案する |
新しい職場では、仕事内容や通勤が変わることで、最初の数か月は思った以上に疲れが出やすくなります。立ち仕事や夜勤のある仕事に移った場合は特に、睡眠と休日の過ごし方を意識して、体を慣らしていく期間と考えてください。
50代の転職者は、経験があるぶん周りから一目置かれやすい一方、前の会社のやり方を持ち込むと距離ができやすい面もあります。最初は聞き役に回り、信頼ができてから経験を出すくらいの順番が、職場になじむ近道です。
よくある質問
Q. 50代で未経験の仕事に転職できますか?
できます。介護、警備、ビルメンテナンス、ドライバー、倉庫、製造など、人手が足りていて入社後に資格を取りながら働ける仕事は、50代未経験からの採用もあります。一方で、専門の資格や長い実務経験が前提の仕事は、未経験からだと難しくなります。仕事内容と体力面の条件を確かめて選んでください。
Q. 50代の転職活動はどのくらいの期間がかかりますか?
職種や地域で差がありますが、若い世代より長くかかる前提で、半年ほどの計画を立てておくと安心です。在職中に始めれば、収入の心配をせずに条件を比べられます。
Q. 転職すると年収はどのくらい下がりますか?
厚生労働省の令和7年雇用動向調査では、50〜54歳の転職入職者の42.0%、55〜59歳の38.9%で、前の仕事より賃金が減っています。一方で増えた人もそれぞれ29.4%、25.5%います。同じ職種や業界で経験を活かせる転職ほど、下がり幅を抑えやすくなります。
Q. 大企業と中小企業、どちらを狙うべきですか?
どちらがよいかは人によりますが、中小企業は役職者でも実務を任されやすい傾向があるので、自分で手を動かせることを伝えると評価されやすくなります。定年や継続雇用の制度は会社ごとに違うので、規模に関係なく確認してください。
Q. 50代でも転職エージェントは使えますか?
使えます。求職者の費用は無料で、求人の紹介、応募書類の添削、面接の練習を頼めます。扱う求人の傾向はエージェントごとに違うので、最初の面談で「50代の応募を受け付けている求人を中心に紹介してほしい」と伝えると、紹介のずれを減らせます。ハローワークの窓口と組み合わせて使う人も多いです。
Q. 資格を取ってから転職したほうがいいですか?
介護職員初任者研修やフォークリフト運転技能講習のように、短い期間で取れて仕事に直結する資格は、先に取ると応募できる求人が広がります。取得に1年以上かかる資格は、勉強中であることを伝えて先に転職し、働きながら取る方法もあります。教育訓練給付の対象講座なら、雇用保険の加入期間などの条件を満たすと受講費用の一部が支給されます。
Q. 定年まで今の会社にいるのと、50代で転職するのはどちらがいいですか?
今の会社の定年後の再雇用の条件(仕事内容と給与)と、転職先で定年まで働いた場合の条件を、同じ期間で比べて決めるのが確実です。退職金は勤続年数が長いほど有利になりやすいので、転職するなら退職金の差も含めて考えてください。迷う場合は、在職中に求人を見て、自分に合う求人があるかを確かめてから判断しても遅くありません。
まとめ|50代の転職は「道の選び方」と「準備」で結果が変わる
- 50代の転職は賃金が下がる人のほうが多いが、増えた人も4人に1人以上いる(令和7年雇用動向調査)
- 募集・採用の年齢制限は原則禁止。上限がある求人は例外の理由を確認する
- 定年は60歳以上、65歳までの雇用確保が義務、70歳までは努力義務。転職先の制度を必ず確かめる
- 経験を活かす転職か、人手不足の仕事に入る転職かを最初に決め、応募先を絞る
- 自己都合退職の給付制限は原則1か月。在職中に活動を始め、生活費の備えもしておく
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