未経験から取れる介護資格6選|最短ルートと取り方を解説

「介護の仕事に興味があるけど、資格がないと無理なんじゃないか」と思っている人は多い。
だが実際は、介護業界は未経験・無資格でも就業できる数少ない業界のひとつだ。
さらに、働きながら資格を取得できる仕組みが整っており、入職後にキャリアアップしやすい環境にある。
この記事では、未経験から取得できる介護資格の種類・取り方・取得にかかる期間と費用・キャリアへの活かし方を体系的に解説する。
介護職への転職を検討している20〜30代に向けて、最短で動けるルートを示す。
未経験から介護業界に入れる理由
介護職は、日本の職業のなかでも珍しく「無資格・未経験でも採用される」職種だ。
その背景には、慢性的な深刻な人手不足がある。
厚生労働省の推計によると、2040年には約69万人の介護人材が不足するとされている。
2025年時点ですでに全国で約22万人が不足しており、現場はまさに今、人手を求めている状態だ。
有効求人倍率で見ると、介護職(訪問介護職員)は2023年度に全職種平均の約3倍を超える水準で推移しており、他業種とは比較にならないほど求人が多い。
この背景には日本の高齢化がある。
2025年には団塊の世代が全員75歳以上となり、介護を必要とする人口が急増する「2025年問題」が現実のものになった。
要介護認定者数は2000年の218万人から2022年には約690万人へと3倍以上に膨らんでいる。
介護を必要とする高齢者は増え続けているのに、働き手が追いつかない。これが介護業界が未経験者を積極的に採用する根本的な理由だ。
ただし、「無資格でも採用される」と「資格を取らなくていい」は別の話だ。
資格の有無は、できる仕事の範囲・給与・キャリアの広がりに直結する。
たとえば、無資格のまま訪問介護の現場に入ったとしても、入浴・排泄・食事の直接介助(身体介護)は法律上できない。
実際に行える業務は掃除・洗濯・調理などの生活援助に限られる。
未経験で入職した後、早期に資格を取ることが、介護業界で長く活躍するうえでの最短ルートになる。
- 資格なし:身体介護(入浴・排泄・食事の直接介助)は原則できない/時給1,000〜1,200円程度が相場
- 介護職員初任者研修以上:身体介護が可能になる/時給1,100〜1,400円程度に上昇
- 介護福祉士:介護の国家資格。給与・待遇・就職先の選択肢が大きく広がる/月収平均27〜32万円
「まず働きながら稼ぎつつ、資格も取る」という二刀流が、介護業界では現実として成立する。
未経験からのスタートでも、資格取得のロードマップを最初に描いておくことが重要だ。
未経験から取れる介護資格一覧
介護に関連する資格は数多くあるが、未経験・無資格の状態からでも取得できるものに絞ると、以下の6つが主要な選択肢になる。
- 介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)
- 生活援助従事者研修
- 介護職員実務者研修
- 介護福祉士(実務経験ルート)
- 介護支援専門員(ケアマネジャー)
- 福祉用具専門相談員
以下の表で、各資格の取得期間・費用・難易度を比較する。
| 資格名 | 受講時間 | 期間目安 | 費用目安 | 難易度 |
|---|---|---|---|---|
| 生活援助従事者研修 | 59時間 | 2〜3週間 | 2万〜5万円 | 低 |
| 福祉用具専門相談員 | 50時間 | 1〜2週間 | 3万〜6万円 | 低 |
| 介護職員初任者研修 | 130時間 | 1〜3か月 | 4万〜10万円 | 低〜中 |
| 介護職員実務者研修 | 450時間 | 6か月〜 | 10万〜20万円 | 中 |
| 介護福祉士 | 国家試験 | 入職後3年〜 | 1万〜3万円(試験対策) | 中(合格率84%) |
| ケアマネジャー | 国家試験 | 入職後8年〜 | 2万〜5万円(試験対策) | 高(合格率10〜20%) |
それぞれの概要と取得条件を、以下で詳しく解説する。
介護職員初任者研修|最初に取るべき入門資格
介護職への第一歩として、ほぼすべての専門家が推奨するのが「介護職員初任者研修」だ。
2013年に旧ホームヘルパー2級が廃止されて以降、このカリキュラムに統合された。
現在の介護業界において、「介護の仕事をしたい」と思った人が最初に取得すべき基礎資格として位置づけられている。
取得条件・方法
受講資格は特にない。年齢・学歴・職歴を問わず、誰でも受講できる。
取得の流れは以下の通りだ。
- 指定の養成機関(スクール)で130時間のカリキュラムを修了する
- 修了試験(筆記)に合格する
130時間のカリキュラムの内容は、主に以下のように構成されている。
- 職務の理解(6時間):介護職の役割・仕事の全体像
- 介護における尊厳の保持・自立支援(9時間):利用者の権利と支援の考え方
- 介護の基本(6時間):倫理・安全・リスク管理
- 介護・福祉サービスの理解と医療の連携(9時間):制度の仕組み
- 介護におけるコミュニケーション技術(6時間):認知症・障害への対応
- 老化の理解(6時間):身体・精神の変化と特徴
- 認知症の理解(6時間):認知症の種類・対応方法
- 障害の理解(3時間):障害の概念・支援の方法
- こころとからだのしくみと生活支援技術(75時間):食事・入浴・排泄・移動などの実技演習
- 振り返り(4時間):まとめと修了試験
実技演習が75時間と全体の約6割を占めており、座学だけでなく実際に身体介護の動作を練習する構成だ。
訪問介護事業所による実習は必須ではないため、純粋にスクールへの通学だけで取得できる。
期間・費用の目安
最短で約1か月(全日制の場合)、通学ペースによっては2〜3か月程度かかる。
週2〜3日のペースで通う「土日コース」や「夜間コース」も多く、在職中でも受講しやすい。
費用はスクールによって異なるが、4万〜10万円程度が相場だ。
都市部の有名スクールでは受講費が8万〜10万円程度になるケースがある一方、キャンペーンや補助制度を活用すると実質0円で受講できるケースもある。
ハローワークの「教育訓練給付制度」の対象講座も多く、条件を満たせば受講料の最大20%(上限10万円)が返ってくる。
取得後にできることは以下の通りだ。
- 訪問介護での身体介護(入浴・排泄・食事介助)が可能になる
- 老人ホーム・デイサービス・グループホームでの現場業務に就ける
- 資格手当として月額3,000〜1万円程度が加算されるケースがある
- 実務者研修・介護福祉士へのステップアップ起点になる
転職活動の観点から見ると、初任者研修保有者は無資格者と比べて求人の選択肢が2〜3倍程度広がる。
「資格を取ってから転職するか、転職してから資格を取るか」と悩む人は多いが、初任者研修は1〜3か月で取れるため、転職前に取得してから活動を始めた方がスムーズだ。
未経験からの転職を考えるなら、まず初任者研修を取ることが最も合理的な選択だ。
生活援助従事者研修|訪問介護に特化した59時間の研修
2018年の介護保険制度改正により新設された資格だ。
この改正の背景には、介護保険の「訪問介護・生活援助」の担い手不足がある。
身体介護は不要で掃除・洗濯・調理などの家事援助を主に担う職種の人材を、より短時間・低コストで育成する目的で作られた。
初任者研修より短時間・低コストで取得できる代わりに、担当できる業務の範囲が限定される。
取得条件・方法
受講資格はなく、誰でも受講できる。
59時間のカリキュラムを修了することで取得できる。
カリキュラムの主な内容は以下の通りだ。
- 職務の理解(2時間)
- 介護における尊厳の保持・自立支援(9時間)
- 介護の基本(3時間)
- 介護・福祉サービスの理解(3時間)
- 老化・認知症・障害の理解(6時間)
- 生活支援技術(30時間):調理・清掃・洗濯・買い物代行などの演習
- 振り返り(4時間)
担当できる業務は「生活援助」のみに限られる。
- 調理・洗濯・掃除・買い物などの家事援助
- 利用者の状態観察・記録
- 身体介護(入浴・排泄・食事の直接介助)は担当不可
- 医療的ケアも対象外
期間・費用の目安
最短2〜3週間で取得可能。費用は2万〜5万円程度が相場だ。
訪問介護事業所での「生活援助型」業務に素早く就きたい場合に有効な選択肢となる。
実際のところ、この資格の位置づけはやや特殊だ。
訪問介護の生活援助のみを担当する「生活援助スタッフ」として採用する事業所で使われるケースが多い。
パート・短時間勤務で「家事の延長として誰かの役に立ちたい」という動機を持つ主婦・シニア層が取得するケースが目立つ。
20〜30代で介護職への本格転職を考えているなら、この資格に留まらず、最初から初任者研修を取ることを推奨する。
将来的に身体介護もやりたくなった場合、あとから初任者研修を取り直す手間がかかるためだ。
介護職員実務者研修|介護福祉士への必須ステップ
介護職員実務者研修は、介護福祉士の国家試験を受験するうえで必須の資格だ。
2015年以降、実務経験ルートで介護福祉士を目指す場合、この研修修了が義務づけられている。
それ以前は「実務経験3年だけで受験できた」が、介護の質を高める目的でこの研修が受験要件に加わった。
取得条件・方法
受講資格はなく、未経験・無資格でも受講できる。
450時間のカリキュラムを修了する必要がある。
ただし、介護職員初任者研修などすでに取得した資格によって、免除される科目数が変わる。
- 無資格の場合:450時間のフルカリキュラム
- 初任者研修修了者:130時間分が免除され、320時間で修了可能
- 旧ヘルパー1級・介護職員基礎研修修了者:さらに免除時間が増える
450時間という数字を見ると多く感じるが、初任者研修取得者なら320時間。
週末だけの通学でも約6〜8か月で修了できる設計になっている。
通信学習(自己学習)と通学(スクーリング)の組み合わせが一般的で、通信部分は自宅で進められる。
カリキュラムの中で特に重要なのが「医療的ケア」の科目だ。
- たんの吸引(口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内部)の演習
- 経管栄養(胃ろう・腸ろう・経鼻経管栄養)の演習
- これらは「特定の条件下で介護職員が実施できる医療的ケア」として2012年に法改正で解禁された
従来は看護師にしかできなかった行為が、実務者研修修了者には(一定の条件下で)認められるようになった。
医療依存度の高い利用者が多いALS・重度障害者支援施設・特別養護老人ホームなどで活躍の幅が広がる。
期間・費用の目安
最短で約6か月。通学ペースや保有資格によって異なる。
費用は10万〜20万円程度が相場だが、教育訓練給付制度の対象になっているケースも多い。
初任者研修と同様に、ハローワークの職業訓練として無料受講できるコースも存在する。
取得後にできることは以下の通りだ。
- たんの吸引・経管栄養(医療的ケア)の実施が可能になる
- 介護福祉士の国家試験受験資格を得られる(実務経験3年と組み合わせて)
- サービス提供責任者(サ責)への昇格要件を満たす
「サービス提供責任者」とは、訪問介護事業所において利用者のケアプランを管理・調整する役職だ。
実務者研修の修了が要件のひとつで、給与は一般の介護職員より月額2万〜5万円高いケースが多い。
介護職として長く働くつもりなら、実務者研修は遅かれ早かれ取得すべき資格だ。
介護福祉士|介護唯一の国家資格
介護福祉士は、介護職における唯一の国家資格だ。
取得すると現場でのキャリア・給与・転職市場での評価が大きく変わる。
「介護の仕事を長く続けたい」と思うなら、この資格の取得を最終的なゴールとして据えることが重要だ。
取得条件(実務経験ルート)
未経験から取得するルートのうち、最も一般的なのが「実務経験ルート」だ。
- 介護施設等での実務経験3年(1,095日以上・540日以上の従事)
- 介護職員実務者研修の修了
- 国家試験(筆記)の合格
試験は年1回(例年1月下旬)に実施される。
第36回(2024年1月実施)の合格率は84.3%と高く、実務経験と研修をしっかり積んだ人は十分に合格できる水準だ。
試験科目は「人間の尊厳と自立」「介護の基本」「生活支援技術」など12分野125問の筆記試験で、実技試験は一部の免除のない受験者のみ課される。
なお、実務経験ルート以外にも「養成施設ルート」(専門学校・短大を2年以上)がある。
社会人として転職を考える場合は、実務経験ルートが現実的だ。
期間・費用の目安
実務経験3年を積んでから受験するため、入職後最短でも3年以上かかる。
試験受験料は1万8,380円(2024年度)。
試験対策のためのテキスト・模擬試験費用は1万〜3万円程度が一般的だ。
多くの介護施設が「介護福祉士取得支援制度」を設けており、以下のような支援が受けられるケースがある。
- 受験料の全額負担(約1万8,000円)
- 試験対策テキスト・通信講座費用の補助
- 受験準備のための特別休暇付与
- 合格祝い金の支給(1万〜5万円程度)
取得後の待遇変化
介護福祉士を取得すると、以下のような待遇改善が期待できる。
- 月収が平均2万〜4万円程度上がるケースが多い
- 処遇改善加算の対象となり、施設からの加算支給が増える
- サービス提供責任者・主任・管理職への昇進ルートが開ける
- 転職時の求人選択肢が大幅に広がる
処遇改善加算とは、国が介護職員の給与水準を引き上げるために設けた制度だ。
介護施設・事業所が要件を満たすことで国から加算を受け取り、それを職員の給与に上乗せする仕組みだ。
2024年度には「介護職員等処遇改善加算」として制度が再編・強化され、介護福祉士など有資格者への分配が手厚くなっている。
転職市場での評価も大きく変わる。
無資格・初任者研修の段階では「誰でも応募できる求人」が多いが、介護福祉士になると「介護福祉士歓迎・優遇」の求人に応募できるようになる。
施設長候補・夜勤専従・医療連携担当など、給与・条件が良い求人は介護福祉士保有を必須とするケースが多い。
介護職として長期的に活躍したい人にとって、介護福祉士の取得は避けて通れない目標だ。
ケアマネジャー(介護支援専門員)|経験を積んだ後に目指すキャリア
ケアマネジャーは、要介護者・家族の相談を受け、ケアプランを作成する専門職だ。
資格名は「介護支援専門員」といい、都道府県ごとに実施される試験に合格することで取得できる。
「現場で直接介護するのではなく、利用者の生活全体を支援するマネジメントの仕事がしたい」という人に向いたキャリアの方向性だ。
ケアマネジャーの仕事内容
ケアマネジャーの業務は多岐にわたる。
- 利用者・家族の相談受付:介護サービスの申請方法、サービス内容の説明
- ケアプラン(居宅サービス計画)の作成:利用者の状態・希望に合わせたサービス計画の立案
- サービス担当者会議の開催・調整:医師・看護師・ヘルパー・施設スタッフとの連携
- モニタリング:月1回以上の訪問による利用者の状態確認・計画の見直し
- 給付管理:介護保険の請求手続き
1人のケアマネジャーが担当できる利用者数は原則35人以内(逓減制あり)と法律で定められている。
直接体を使う介護業務は発生しないため、体力的な負担は通常の介護職員より少ない。
一方で、利用者・家族・医療機関・行政との調整業務が多く、コミュニケーション能力や判断力が求められる。
取得条件
ケアマネジャーの受験には、一定の実務経験が必要だ。
- 介護福祉士・看護師・社会福祉士などの国家資格を保有していること
- 上記資格に基づく業務を5年以上(900日以上)従事していること
未経験から直接取得することはできない。
まず介護福祉士として5年以上のキャリアを積んでから受験するのが標準ルートだ。
つまり、未経験で入職してからケアマネジャーになるまでには、最短でも8〜10年程度かかる計算になる。
期間・試験難易度
試験の合格率は10〜20%程度で推移しており、介護資格のなかでは難易度が高い。
2023年度の合格率は21.0%で、受験者の約5人に1人しか合格しない。
試験科目は「介護支援分野」(25問)と「保健医療・福祉サービス分野」(35問)の計60問。
合格基準点は例年「各分野の70%正答」が目安となっており、両分野でバランスよく得点する必要がある。
合格後も都道府県が実施する「実務研修」(87時間以上)を修了して初めて資格登録ができる。
さらに5年ごとの更新研修も義務づけられており、継続的な学習が求められる。
ケアマネジャーになると、施設や在宅のケアプラン作成・調整・相談業務を担う。
現場での身体介護から離れ、マネジメント・相談業務にシフトしたい人に向いたキャリアパスだ。
給与水準は施設ケアマネジャーで月収25〜35万円、居宅介護支援事業所のケアマネジャーで28〜38万円程度が相場だ。
福祉用具専門相談員|介護保険外でも活躍できる資格
福祉用具専門相談員は、介護が必要な人や家族に対して、福祉用具(車いす・介護ベッド・歩行器・手すり・スロープなど)の選定・使用方法のアドバイスをする専門職だ。
介護保険制度のなかで「福祉用具貸与・販売」のサービスを提供する事業所には、この資格保有者を2名以上配置することが法律で義務づけられている。
そのため、福祉用具専門相談員の求人は全国的に安定して存在する。
取得条件・方法
受講資格はなく、未経験・無資格でも受講できる。
指定の養成研修機関で50時間のカリキュラムを修了すればよい。
カリキュラムの主な内容は以下の通りだ。
- 福祉用具と福祉用具専門相談員の役割(2時間)
- 介護保険制度・高齢者住宅の理解(6時間)
- 医学的・生活機能の理解(14時間):高齢者・障害者の疾患、心身機能の理解
- 福祉用具各論(20時間):車いす・特殊寝台・リフト・歩行補助具・認知症関連用具の仕組みと活用
- 福祉用具の活用・個別対応技術(8時間):実習・演習
期間・費用の目安
最短1週間〜2週間程度(集中して通学した場合)。費用は3万〜6万円程度が相場だ。
介護業界への転職を検討しているが、体力的に直接介護が不安という人にとっては検討に値する選択肢だ。
この資格の特徴は、福祉用具販売・レンタル会社で特に重宝される点だ。
- 介護施設での現場業務ではなく、営業・提案職として働ける
- 利用者宅を訪問して用具の選定・フィッティング・使用指導を行う
- 身体的負担が比較的少ない働き方を選択できる
- 医療機器メーカー・福祉用具流通企業への転職にも有効
- 資格手当として月額5,000〜2万円程度が加算されるケースもある
介護の仕事に関わりたいが、直接介護の現場よりも別のアプローチで貢献したい人に向いている。
なお、介護福祉士や初任者研修と組み合わせて取得することで、「営業もできる・介護知識もある」という希少なポジションを築ける。
未経験から介護資格を取る3つのルート
未経験から介護資格を取得する方法は、大きく3つに分けられる。
自分の状況(在職中かどうか・費用を抑えたいか・急いでいるか)によって最適なルートが異なる。
ルート1:転職前にスクールで取得する
就職前に初任者研修などを取得してから転職活動をするルートだ。
資格を持った状態で就職活動をするため、求人の選択肢が広がり、面接での評価も上がりやすい。
このルートを選んだ場合の典型的なタイムラインは以下の通りだ。
- 1か月目:スクールで初任者研修受講開始(土日コースで週2日通学)
- 3か月目:修了試験合格・資格取得
- 4か月目:転職活動開始(資格保有者として求人応募)
- 5か月目:内定・入職
- メリット:就職時点から資格手当がつく/採用されやすい/交渉力が上がる
- デメリット:資格取得中は収入がゼロまたは減る(在職しながらでも可能)
- おすすめの人:現職を辞めてから転職活動をする人/時間的余裕がある人/転職後の条件にこだわりたい人
ルート2:就職後に働きながら取得する
無資格・未経験で就職し、働きながら資格取得を目指すルートだ。
介護施設の多くは、資格取得支援制度として研修費用の補助や勤務シフトの調整を行っている。
実際、大手介護施設チェーンでは「入職後1年以内に初任者研修を取得すること」を条件に、費用全額負担・合格祝い金支給といった制度を設けているケースがある。
- メリット:収入を維持しながら資格が取れる/施設が費用を一部〜全額負担してくれるケースがある/実務と学習を同時に進められる
- デメリット:仕事と勉強の両立が必要/取得までに時間がかかりやすい
- おすすめの人:生活費の確保が優先の人/介護現場をまず体験してから決めたい人/転職先の資格支援制度が充実している場合
ルート3:ハローワーク・職業訓練を活用する
失業給付を受けながら、無料または低コストで初任者研修・実務者研修を受講できる制度だ。
ハローワークが主催する職業訓練(公共職業訓練・求職者支援訓練)の介護系コースを利用する方法だ。
職業訓練の介護系コースは、以下のような内容で開催されている。
- 受講期間:3〜6か月(介護職員初任者研修取得を目標としたコースが多い)
- 受講料:無料または数千円程度(テキスト代のみ)
- 給付金:受講中も「失業給付」または「職業訓練受講給付金」(月額10万円)を受け取れるケースがある
- メリット:受講料が無料または低額になる/失業給付の延長受給ができるケースがある
- デメリット:コースの定員・開始時期が決まっており、すぐに受講できない場合がある/選考がある
- おすすめの人:すでに離職している人/費用をできるだけ抑えたい人/求職中で生活費の手当が必要な人
介護資格のキャリアパス|未経験から5年でどこまで行けるか
未経験から介護業界に入り、段階的に資格を取得することでキャリアがどう展開するかを示す。
他の業種では「資格なし=スタート遅れ」になりがちだが、介護業界では資格と実務経験が明確にリンクしており、動き方次第で着実にキャリアを積み上げられる。
- 入職〜1か月:初任者研修取得(身体介護の対応が可能になる・時給アップ)
- 入職〜6か月:実務者研修受講開始(サービス提供責任者への道が開ける)
- 入職1年:実務者研修修了・医療的ケアが可能になる
- 入職3年:介護福祉士受験資格取得(実務経験1,095日+実務者研修修了)
- 入職3〜4年:介護福祉士合格(月収が平均2万〜4万円上昇・処遇改善加算の恩恵増加)
- 入職5年以降:主任・サービス提供責任者・施設長候補、またはケアマネジャー受験資格取得
初任者研修から介護福祉士まで最短3年強。
他の業種・職種と比較しても、資格取得によるキャリアアップのスピードが速い業界だ。
給与面の推移を示すと、以下のような変化が期待できる。
- 無資格・入職時:月収18万〜22万円程度(施設・地域によって異なる)
- 初任者研修取得後:月収19万〜24万円程度(資格手当+勤務範囲拡大)
- 実務者研修取得・サ責昇格後:月収22万〜28万円程度
- 介護福祉士取得後:月収25万〜32万円程度(処遇改善加算含む)
- ケアマネジャー・施設長:月収30万〜40万円以上も視野に入る
介護業界は「頑張っても給与が上がらない」というイメージを持つ人が多いが、それは資格取得のロードマップを描かずにいた場合の話だ。
正しいルートで資格・経験を積めば、3〜5年で同世代の平均水準に近づき、10年で超えることも十分に可能だ。
介護資格取得にかかる費用を減らす制度
介護資格の取得には一定の費用がかかるが、国・自治体・事業者のサポートを活用することで負担を大幅に減らせる。
知らないだけで使えるはずの制度を使わずに自己負担で全額払っている人が多い。
転職前に必ず確認しておくべき制度を3つ紹介する。
教育訓練給付制度(厚生労働省)
雇用保険加入者(または加入していた人)を対象とした給付制度だ。
一般教育訓練給付制度では、初任者研修・実務者研修など対象講座の受講料の20%(上限10万円)が給付される。
たとえば8万円の初任者研修を受講した場合、1万6,000円が後から還付される計算だ。
さらに上位の「専門実践教育訓練給付」では、最大70%(年間上限56万円)の給付を受けられるケースもある。
実務者研修のように費用が高い講座では、この制度の活用価値が高い。
利用条件は以下の通りだ。
- 初めて利用する場合:雇用保険に1年以上加入していること
- 2回目以降の利用:3年以上の加入が必要
- 離職後も退職後1年以内なら利用可能(育児・介護休業等による場合は最大4年まで延長)
介護人材緊急確保対策(各都道府県)
都道府県ごとに、介護人材の確保を目的とした補助制度が設けられている。
初任者研修の受講料を全額補助するケースや、実務者研修費用の一部を補助するケースがある。
たとえば、東京都では「福祉・介護人材確保緊急支援事業」として、初任者研修の受講料を全額補助(上限5万円程度)する制度を実施している。
大阪府・神奈川県・愛知県など人口の多い都道府県でも同様の制度が設けられているケースが多い。
制度の内容・条件は都道府県・年度によって異なるため、居住地の福祉・労働担当窓口で確認することを推奨する。
事業者による取得支援制度
介護施設・事業所の多くは、採用後の資格取得を支援するための制度を設けている。
人手不足が深刻なため、費用を出してでも有資格者を育てたいという施設側の事情がある。
- 研修費用の全額または一部負担(5万〜20万円相当)
- 資格取得のための勤務シフト調整(研修日は早上がり・出勤日数調整など)
- 取得後の資格手当支給(月額3,000円〜2万円程度)
- 合格・修了祝い金の支給(1万〜5万円程度)
転職先を選ぶ際は、資格取得支援制度の有無と内容を必ず確認することが重要だ。
求人票や面接時に「資格取得支援はありますか?費用負担の条件(在籍年数・返還規定)を教えてください」と確認することを推奨する。
介護業界への転職でよくある疑問
未経験から介護資格の取得・転職を検討する人が持ちやすい疑問に答える。
Q. 介護資格は何歳からでも取れるか?
介護職員初任者研修・実務者研修には年齢制限がない。
40代・50代からでも取得できる。実際に、子育てが一段落した30〜40代女性、早期退職した50代男性が介護職に転職するケースは増えている。
厚生労働省の調査では、介護職員の平均年齢は47.5歳(2022年)で、他業種と比べて中高年層が多い業界だ。
「年齢的に今さら転職できない」と感じている人でも、介護業界は受け入れ体制が整っている。
ただし、介護福祉士の「養成施設ルート」では専門学校等に通う必要があるため、社会人には実務経験ルートの方が現実的だ。
Q. 介護資格の取得は独学でもできるか?
介護職員初任者研修・実務者研修は、指定の養成機関(スクール)での受講が必要なため、完全独学での取得はできない。
実技演習が必須のカリキュラムに含まれているため、スクールへの通学が前提となる。
ただし、介護福祉士の国家試験対策については、市販のテキストや過去問を活用した独学が一般的だ。
合格率84%という数字からも分かる通り、しっかり実務経験を積んだうえで過去問を繰り返せば、特別な通信講座なしでも合格は十分に狙える。
Q. 介護資格を持っていると転職に有利か?
明確に有利になる。特に初任者研修以上を持っていると、無資格者と比較して求人の選択肢が2〜3倍程度広がり、採用面接での評価も上がりやすい。
介護福祉士を持っていると、転職時の給与交渉・勤務条件の交渉力が大幅に上がる。
「経験3年・介護福祉士あり」というプロフィールは、介護業界の転職市場では最も評価が高いプロフィールのひとつだ。
Q. 介護職は体力がないと続けられないか?
施設内での身体介護は確かに体力を使う場面が多い。
利用者の移乗介助(ベッドから車いすへの移動など)では腰への負担が大きく、腰痛は介護職の職業病ともいわれる。
ただし、近年は介護ロボット・移乗支援機器の普及が進んでおり、身体的負担は以前より軽減されている。
また、福祉用具専門相談員・ケアマネジャー・生活相談員などの職種は、デスクワーク・訪問業務が中心で身体的負担が少ない。
資格・経験を積むことで、自分の体力や健康状態に合った働き方を選択できるようになる。
Q. 介護の仕事は給与が低いというイメージがあるが実際はどうか?
以前と比べると、処遇改善加算制度の整備により給与水準は改善されている。
厚生労働省「介護従事者処遇状況等調査」によると、介護福祉士の平均月収は約32万円(2023年度)とされており、保有資格・経験年数によって大きく変わる。
無資格・入職直後では月収18万〜22万円程度が多いが、初任者研修→実務者研修→介護福祉士とステップアップするにつれて確実に上がる仕組みだ。
施設長・ケアマネジャーに進めば年収500万円以上も十分に狙える。
「給与が低い」というイメージは、資格取得・キャリアアップのルートを知らずにいた人の声に引っ張られている面が大きい。
Q. 男性が介護職に就くのはめずらしいか?
以前に比べると男性介護職員は増加している。
厚生労働省の調査では、介護職員全体の約22%が男性だ(2022年)。
5人に1人以上は男性という計算で、「めずらしい」とは言い切れない状況になっている。
男性ならではの強みを活かせる場面として、体格の大きい男性利用者の移乗介助や、力仕事が必要な場面での活躍がある。
また、男性職員の少なさゆえに「チームに1人は男性スタッフがいてほしい」という採用ニーズもあり、採用されやすい側面もある。
まとめ|未経験から介護資格を取る最短ルートは初任者研修から始めること
未経験から介護資格を取得するうえで、押さえておくべきポイントをまとめる。
- 介護業界は未経験・無資格でも就業できる業界だが、資格の有無で仕事の範囲・給与・キャリアが大きく変わる
- 最初に取るべきは「介護職員初任者研修」。最短1か月・4万〜10万円で取得でき、身体介護が可能になる
- その後「実務者研修」を取得し、実務経験3年と組み合わせて「介護福祉士」の国家試験受験資格を得るのが標準ルート
- 介護福祉士の合格率は84.3%。しっかり実務を積んだ人なら十分に合格できる水準だ
- 教育訓練給付制度・都道府県の補助・事業者の支援制度を活用することで、取得費用を大幅に抑えられる
- 介護福祉士取得後は、ケアマネジャー・管理職など年収500万円以上を狙えるキャリアアップのルートが開ける
- 年齢・性別を問わず、資格取得の道は開かれている
介護業界は、資格取得のハードルが低く、かつ取得後のキャリアアップが明確な業界だ。
未経験でも、正しいルートで動けば3〜5年でキャリアの軸が作れる。
「まず何から始めればいいかわからない」と感じている人も、初任者研修という最初の一歩は明確だ。
スクールに問い合わせて日程を確認するところから、今日動き始めることができる。
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