転職面接で「なぜ当社を選んだのか」と聞かれたら?回答例と答え方の鉄則

転職面接で「なぜ当社を選んだのか」と聞かれたら?回答例と答え方の鉄則
転職の面接で「なぜ当社を選んだのですか?」と聞かれたとき、どう答えるか迷った経験はないだろうか。
この質問は、転職面接のほぼすべての場面で登場する定番の質問だ。しかし「御社に魅力を感じました」「成長できると思いました」といった曖昧な答えでは、面接官の印象に残らない。それどころか「本当に当社のことを調べてきたのか?」と疑念を持たれる可能性がある。
この記事では、転職面接における「なぜ当社を選んだのか」という質問に対して、面接官が本当に知りたいことから、具体的な回答の組み立て方、職種別・状況別の回答例まで徹底的に解説する。これを読めば、自分だけの説得力ある志望動機が作れるようになる。
転職活動は情報戦だ。同じ経歴・スキルを持つ候補者が複数いたとき、最後に差がつくのは「この会社でなければならない理由」を語れるかどうかだ。その準備を今すぐ始めよう。
面接官が「なぜ当社を選んだのか」を聞く理由と評価基準
まず前提として理解すべきなのは、面接官がこの質問を通じて「何を評価しようとしているか」だ。質問の意図がわかれば、答えの方向性が自然に定まる。
本気度と事前リサーチの深さを確認している
面接官が最初に見るのは、応募者が本当に自社を研究してきたかどうかだ。転職活動中に複数社に同時に応募している人は多い。そのなかで「この会社に入りたい」という本気度があるかどうかを、志望理由の具体性と深さで判断する。
「成長できる環境だと感じました」「社風が魅力的でした」といった抽象的な答えは、どの会社にも当てはまる。面接官はそれを「使い回しの答え」として見抜く。逆に、事業内容・競合との違い・直近のニュースや実績に触れた答えは、「ちゃんと調べてきた人」として強く印象に残る。
自社に入社後のミスマッチリスクを測っている
企業にとって採用コストは高い。入社後に「イメージと違った」「自分に合わなかった」と早期離職されると、採用側にとって大きな損失になる。だから面接官は、応募者が会社のビジョン・文化・働き方を正確に理解しているかどうかを確かめたいと思っている。
「なぜ当社か」の回答を通じて、自分のキャリアビジョンと会社の方向性が一致しているかを確認している。「御社のビジョンに共感しました」ではなく、「御社が目指す◯◯という方向性が、私が実現したい◯◯と重なります」と具体的に語れる人は、入社後もフィットする可能性が高いと判断される。
自社の競合他社との違いを理解しているか確かめている
「なぜ競合のA社ではなく、当社なのか」という問いが、この質問の本質的な意味だ。同じ業界・職種を対象にした会社は複数ある。そのなかであえて自社を選んだ理由を語れるかどうかが、志望の本気度を示す最大の指標になる。
業界の知識があり、競合他社の特徴と比較したうえで「御社を選んだ」と語れる応募者は、面接官から見て非常に信頼性が高い。業界研究をしっかりやってきた証拠になるからだ。
なお、この質問は一次面接だけでなく、二次・最終面接でも繰り返し問われることが多い。選考が進むにつれて「より深い理由」を求められるため、準備は一度きりでなく、選考段階に合わせてブラッシュアップしていく必要がある。
| 選考段階 | 面接官の主な確認ポイント | 求められる回答の深度 |
|---|---|---|
| 一次面接(人事・採用担当) | 基本的な動機・人柄・リサーチ量 | 事業内容への理解と自分の軸が語れる |
| 二次面接(現場マネージャー) | チームとのフィット・業務への具体的理解 | 業務内容・組織構造への理解が語れる |
| 最終面接(役員・経営者) | 会社のビジョンへの共感・長期貢献意欲 | 事業戦略・業界観を自分の言葉で語れる |
回答の組み立て方:3ステップのフレームワークと質を高めるポイント
「なぜ当社を選んだのか」の回答は、構成がしっかりしているだけで説得力が格段に上がる。以下の3ステップを骨格として組み立てるとよい。
ステップ1:転職理由と現職での経験を簡潔に起点にする
まず、「なぜ転職を考えたのか」という出発点に一言触れる。「前職で◯◯の経験を積んだが、◯◯を実現するために転職を決意した」という流れを短く示すことで、志望動機全体に一貫性が生まれる。
ここで長々と転職理由を語る必要はない。「現職では◯◯に取り組んできましたが、さらに◯◯にチャレンジしたいと思い転職を考えました」程度の一文でよい。起点があることで、その後の「なぜ御社か」に説得力が加わる。
ステップ2:企業選びの軸(基準)を明示する
次に、複数の転職候補先のなかで自分が何を基準に会社を選んでいるかを伝える。「転職先を選ぶうえで、◯◯・◯◯・◯◯という3つの軸で企業を見ています」と言えると、思考の整理ができている人という印象を与えられる。
企業選びの軸として有効なのは以下のような要素だ。
- 事業の成長性・将来性
- 自分のスキルが活かせる環境か
- 職種・ポジションの具体性(何をやるか明確か)
- 社風・文化・チームの雰囲気
- 経営者・リーダー層のビジョンへの共感
- 事業ドメインへの興味・関心
ここで1つだけ軸を挙げても構わないが、できれば2〜3つに絞って具体的に話せると深みが出る。
ステップ3:「なぜ御社か」を具体的な根拠で語る
最後に、上記の軸に照らして「なぜ御社を選んだか」を具体的な事実とともに語る。これが回答のメインパートだ。
企業研究で得た情報(事業内容・ニュース・採用ページの情報・OB/OG訪問で聞いた話など)を根拠として使い、「御社の◯◯という取り組みが、私の求める◯◯の環境に合致していると感じました」という形で締める。
回答全体の長さは1分〜1分30秒(200〜300字程度)が目安だ。長すぎると聞き取りづらくなる。
以下に、3ステップをひとつの回答に組み立てたときの全体像を示す。
【起点】現職では◯◯業界の◯◯職として△年間働いてきました。◯◯という経験を積む中で、さらに◯◯にチャレンジしたいと考えて転職を決意しました。
【軸】転職先を選ぶ際は、「①◯◯ができる環境か」「②◯◯を重視する文化があるか」の2点を基準にしています。
【なぜ御社か】御社を選んだのは、◯◯というプロジェクトで◯◯に取り組んでいることを調べ、私の求める環境に最も近いと判断したからです。入社後は◯◯の経験を活かし、◯◯で貢献したいと考えています。
この構造を頭に入れておくことで、どんな業種・職種にも応用できる。「型」を身に付けたうえで、自分の言葉に置き換えていくのが効率的な準備方法だ。
フレームワークに肉付けする4つのポイント
3ステップの骨格に加えて、回答の説得力をさらに上げるための具体的なポイントを押さえておこう。
「どこでも言える理由」を排除する
「成長できる環境」「風通しのよい社風」「チャレンジできる文化」という言葉は、多くの会社の採用ページに書かれている。これらを志望理由にすると、「どこでも言える理由」になってしまう。
避けるべき表現と、それに代わる具体的な表現の例を示す。
| 避けるべき曖昧な表現 | 具体的に言い換えた表現の例 |
|---|---|
| 「成長できる環境だと思いました」 | 「入社1〜2年目から◯◯プロジェクトを担当できる体制があると聞き、早期に裁量を持って動ける環境だと判断しました」 |
| 「社風が魅力的でした」 | 「採用ページの社員インタビューで、職種を超えて提案できる文化があると知り、前職で感じていた縦割り組織の課題を解消できると感じました」 |
| 「事業内容に興味を持ちました」 | 「御社が◯◯市場に参入した背景と、直近の◯◯という取り組みを調べて、このタイミングで事業に関わりたいと思いました」 |
| 「安定していると思いました」 | 「◯◯という実績があり、業界内でも財務基盤が安定していることを有価証券報告書で確認しました。長期で貢献できる環境を求めていたため選びました」 |
ネガティブな転職理由を志望動機に混ぜない
「前職が◯◯だったので、御社に転職したい」という言い方は避ける。特に「給与が低かった」「人間関係が悪かった」「残業が多かった」という前職への不満を理由にすると、入社後も不満を持ちやすい人と見なされるリスクがある。
転職理由は「何から逃げるか」ではなく「何を目指して動くか」という前向きな表現に変換する。「前職では◯◯の経験を積みましたが、さらに◯◯に挑戦するため転職を決意しました」という形にすると、ポジティブな印象を与えられる。
入社後の貢献イメージを添える
志望動機だけを話して終わる人より、「入社後は◯◯に取り組み、◯◯で貢献したいと考えています」と貢献イメージを添えられる人のほうが、面接官に強い印象を残す。
これは「自分のやりたいこと」だけでなく「会社に何をもたらせるか」を考えていることを示すからだ。特に即戦力を求める転職では、入社後の具体的な動きをイメージできる応募者は高く評価される。
競合他社との比較を根拠にできると最強
「同業他社のA社・B社も検討しましたが、御社を選んだ理由は◯◯です」という表現は、志望動機の説得力を一段階高める。他社との比較ができているということは、業界研究をしっかりやってきた証拠だからだ。
ただし、他社の悪口を言う必要はない。「A社は◯◯に強みがありますが、御社は◯◯という点で私の目指すキャリアとより合致していると判断しました」という中立的な比較の語り方が適切だ。
注意点として、比較に出す他社名は慎重に選ぶ必要がある。面接官が以前に在籍していた会社や、強い提携関係にある企業をネガティブに語るのはリスクがある。あくまで「自分のキャリア軸との照合結果」として語り、感情的な優劣評価にならないようにすることが大切だ。
職種別・状況別の回答例
ここからは、職種や状況ごとの具体的な回答例を紹介する。そのまま使うのではなく、自分の経験・言葉に置き換えて使うことが前提だ。
営業職への転職の場合
営業職への転職で志望動機を語るとき、面接官が特に見ているのは「何を売りたいのか」「なぜその会社の商材なのか」だ。数字への意識と「売れる環境かどうか」を判断するための軸も一緒に伝えると、説得力が増す。
回答例:
前職では法人向けのIT製品を扱う営業を3年間経験し、新規開拓から既存顧客の深耕まで一通り担当してきました。今回の転職では「扱う商材の価値が自分でも確信できる会社」「チームで成果を追う文化があること」の2点を軸に転職先を選んでいます。
御社を選んだ理由は、◯◯という課題を抱える中小企業に対して、◯◯というアプローチで解決策を提供しているという事業モデルに強く共感したからです。前職でも中小企業向けの提案を多く経験しており、自分のノウハウが直接活かせると感じました。また、営業とカスタマーサクセスが一体となってお客様をサポートする体制があると採用ページで拝見し、売って終わりでなく関係を育てる営業スタイルが自分に合っていると判断しました。入社後は早期に担当顧客を持ち、1年以内に◯◯の実績を作ることを目標に貢献したいと考えています。
この回答の強みは「軸の明示」「商材への共感」「前職経験との接続」「入社後のコミットメント」の4要素がすべて入っている点だ。営業職の面接では「入社後に何件取れるか」というイメージを面接官に持ってもらうことが重要なため、数字や目標意識を添えることが効果的だ。
事務職・管理部門への転職の場合
事務職・管理部門は「安定志向」と見られやすいため、志望動機では「なぜこの会社の管理部門でなければならないのか」という積極的な理由を前面に出すことが大切だ。単なる「働きやすそう」ではなく、専門性の向上や会社への貢献を語る姿勢が評価につながる。
回答例:
前職では中小企業の総務・経理を5年間担当し、月次決算補助から勤怠管理まで幅広く経験しました。転職を考えたのは、より専門性を深めてキャリアの軸を作りたいと思ったからです。転職先を選ぶ軸として「会計・財務業務に集中できる環境」と「DXに積極的な会社」を重視しています。
御社を選んだのは、管理部門のDX化を事業の優先課題として位置づけており、経理担当者もシステム導入や業務改善に関われると求人票に記載があったためです。ただ帳票をこなすだけでなく、業務の改善提案にも携わりたいという私の希望と一致しています。前職でfreeeの導入を主導した経験があり、その経験を活かしながら御社の管理体制の強化に貢献したいと考えています。
管理部門の志望動機でよくある失敗は「安定しているから」「残業が少なそうだから」という消極的な理由を透かして見せてしまうことだ。「業務効率化・DX推進・専門スキルの深化」という積極的なキーワードを軸にすると、会社側からも歓迎される応募者像に近づく。
ITエンジニアへの転職の場合
エンジニア職の志望動機では、技術的な関心や成長環境への言及が特に有効だ。「どんな技術スタックで何を作っているか」「エンジニアがどれだけ設計に関与できるか」という観点で企業を選んでいることを示すと、技術への本気度が伝わる。
回答例:
前職ではWebアプリケーションのバックエンド開発を4年間経験しました。転職の理由は、より大規模なシステムの設計に関わり、アーキテクチャレベルで考える経験を積みたいと思ったからです。
御社を選んだ理由は主に2点あります。1点目は、御社が手がける◯◯というサービスが月間◯◯万ユーザーを超えており、トラフィックの高いシステムの設計・運用に携われる環境だという点です。2点目は、技術ブログや採用ページを拝見して、エンジニアが技術選定に積極的に関与できる文化があると感じた点です。使う技術についてエンジニアが発言できる環境は、技術力を伸ばすうえで非常に重要だと考えています。入社後はバックエンドの経験を軸にしながら、インフラやアーキテクチャ設計にも貢献できるエンジニアを目指します。
エンジニアの志望動機で差がつくのは、技術ブログ・GitHubのOSSコントリビューション・採用イベントでの発言など、採用ページ以外の情報を引用できる点だ。「御社の技術ブログで◯◯という記事を読んで〜」という一言で、リサーチの深さが一目で伝わる。
未経験業界・職種への転職の場合
未経験で転職する場合、「なぜ今の業界・職種から離れるのか」という疑問に先手を打ちながら答える必要がある。
回答例:
前職は製造業の品質管理を担当していました。転職を考えたきっかけは、業務改善の提案をする中で、データを活用した仕事に強い興味を持つようになったことです。マーケティングの仕事に独学で取り組みはじめ、◯◯という資格を取得し、個人でWebサイトの運営経験も積みました。
御社を選んだのは、未経験採用でも最初からデータ分析ツールを使った施策立案に関われると求人票に記載があり、成長環境として最適だと判断したからです。また、◯◯という分野での御社の事業内容は、前職で培った◯◯という視点が活かせると感じました。スキル面では学びながら追いつく覚悟があり、入社3か月以内に戦力として動けるよう準備を進めています。
同業他社への転職で「競合からの転職」と思われそうな場合
同業他社からの転職は、情報漏洩リスクを懸念されることがある。志望動機の回答で正面からその点に触れ、信頼感を作ることが大切だ。
回答例:
現職も同業の◯◯業界で◯年間働いており、同じ領域の御社に転職することについて、情報管理の観点でご懸念をお持ちの場合はご説明できます。前職での具体的な顧客情報や社内情報を持ち出すことはなく、あくまで私自身の経験とスキルを御社で活かしたいと考えています。
御社を選んだ理由は、同業他社と比較したうえで、御社の◯◯というアプローチが業界の課題解決に最も正面から向き合っていると感じたからです。現職では◯◯という手法が主流でしたが、その限界も感じており、御社の◯◯というやり方に強い共感を覚えました。同業での経験という強みを、すぐに御社の事業に活かせると考えています。
よくある失敗パターンと対処法
実際の面接でよく見られる失敗パターンを把握しておくと、同じ轍を踏まずに済む。
採用ページや企業HPの文言をそのまま言ってしまう
最も多い失敗が、企業の採用ページに書かれているキャッチコピーや価値観をそのまま返すパターンだ。「御社の『挑戦を続ける文化』に共感しました」という回答は、採用ページをコピーしているだけと受け取られる。
採用ページの情報をゼロにする必要はない。「採用ページに◯◯と書かれていましたが、実際に◯◯という事例を調べると◯◯という形で実践されていますね。その点がとても具体的で共感しました」という形にすると、リサーチの深さが伝わる。
「御社が第一志望です」と言うだけで理由がない
「御社が第一志望です」という言葉自体は悪くない。しかし、それだけで終わると「なぜ?」という疑問が残る。必ず「御社が第一志望である理由は◯◯です」という具体的な根拠をセットで伝える。
給与・待遇・安定性だけを理由にする
「給与水準が高いから」「福利厚生が充実しているから」「大手だから安定しているから」という理由は、面接の場では避けるべきだ。待遇は転職先選びで重要な要素だが、それを正面に出すと「条件が変わったら辞める人」というイメージを与える。
待遇への期待は、「長期的に腰を据えて働きたいと考えており、その観点で御社の◯◯という環境が自分に合っていると判断しました」という形で、間接的に盛り込む程度にとどめる。
回答が長すぎて要点が伝わらない
志望動機を丁寧に伝えようとするあまり、3〜4分にわたって話し続けてしまうケースがある。面接官は多くの応募者と面接しており、長い回答は負担になる。
目安は1分〜1分30秒。事前に声に出して練習し、タイマーで時間を確認しておくとよい。ポイントを3つに絞り、「理由は3点あります。1点目は◯◯、2点目は◯◯、3点目は◯◯です」という構成にすると、長くなりすぎずに整理された印象を与えられる。
「志望動機」と「自己PR」の境界が曖昧になる
「なぜ当社を選んだのか」という質問に対して、「私は◯◯という強みがあり〜」と自己PRを話し始めてしまうパターンがある。これは質問の意図とずれている。
「なぜ当社か」は会社側の話(なぜこの会社なのか)であり、「自己PR」は自分側の話(自分に何ができるか)だ。この2つは明確に区別する。志望動機の中に自己PRを「添える」形にするのはよいが、主体が入れ替わると質問に答えていないと判断される。
以下に、よくある失敗パターンをまとめた。
| 失敗パターン | 面接官の印象 | 改善策 |
|---|---|---|
| 採用ページの文言をコピー | 「調べてきていない」 | 採用ページ情報+別ソースの具体的事例を組み合わせる |
| 「第一志望です」だけで根拠なし | 「なぜ?が残る」 | 「第一志望である理由は◯◯」を必ずセットにする |
| 給与・待遇だけを理由にする | 「条件次第で辞める人」 | 待遇は間接的に、事業内容・環境への共感を前面に出す |
| 回答が3分以上になる | 「要点が整理されていない」 | 1分〜1分30秒に圧縮し、理由を3点以内に絞る |
| 自己PRにすり替わる | 「質問に答えられていない」 | 「なぜ御社か」を主体にして、自己PRは補足として添える |
面接前の企業研究と転職エージェント活用法
「なぜ当社を選んだのか」に具体的に答えるには、事前の企業研究が不可欠だ。自分での調査に加え、転職エージェントを活用することで、回答の解像度は格段に上がる。
公式情報の読み込みと「行間の読み方」
最低限読むべき公式情報は以下の通りだ。
- 企業HP(会社概要・事業内容・代表メッセージ)
- 採用ページ(求める人材像・社員インタビュー)
- プレスリリース(直近1年の新しい取り組み・提携・受賞など)
- 上場企業の場合は決算短信・有価証券報告書(業績推移・重点施策)
ただし、これらを「読んだだけ」では不十分だ。読んで気づいた疑問点・共感したポイント・自分との接点を言語化しておく。面接の場では「◯◯というプレスリリースを拝見して〜」という形で具体的に引用できると、リサーチの深さが一目でわかる。
口コミサイト・SNSで「リアルな社風」を把握する
公式情報だけでは見えない会社の実態を知るために、口コミサイトやSNSを活用する。
- OpenWork(旧Vorkers): 社員・元社員の評価が詳細。「社風」「評価体制」「残業」などカテゴリ別に確認できる
- 転職会議: 職種・年代別の口コミが豊富
- LinkedIn: 社員のキャリアパスや在籍年数の確認に使える
- X(旧Twitter): 代表・役員の発言から会社の方向性・文化を把握できる
口コミはネガティブな内容もあるが、面接では使わない。あくまで自分が「この会社に合うかどうか」を判断するための情報収集として活用する。
OB/OG訪問・社員との接点を作る
最も説得力のある志望動機の根拠になるのが、実際に社員と話した経験だ。OB/OG訪問・転職エージェントを通じた情報提供・説明会での社員との会話などを活用して、「関係者から直接聞いた情報」を志望動機に盛り込める人は非常に少ない。
「◯◯の方から直接お話を聞く機会があり、◯◯という職場環境を確認しました」という一言は、どんな調査よりも説得力を持つ。可能であれば、OB/OG訪問や会社説明会への参加を積極的に活用してほしい。
企業研究を「メモ」として整理しておく
企業研究で集めた情報は、頭の中だけに入れておくのではなく、以下のような形でメモとして整理しておくことをすすめる。面接直前に見直せるようにしておくと、本番での言葉が出やすくなる。
- 事業の要約(3行): 何をしている会社か、どんな顧客に、どんな価値を提供しているか
- 競合との違い(1〜2点): 同業他社と比べてどこが独自か
- 直近の動き(1〜2点): 最近のプレスリリース・ニュースで気になったもの
- 自分との接点(2〜3点): 自分の経験・スキル・価値観と重なる点
- 入社後にやりたいこと(1点): 具体的なミッションや目標
このメモを面接前に10分見直すだけで、言葉が自然に出てくる状態を作れる。企業研究の深さと準備の丁寧さが、志望動機の質に直結する。
転職エージェントを活用して回答の精度を上げる
自分一人での企業研究には限界がある。転職エージェントは採用ページに掲載されていない情報(なぜ今このポジションを採用しているか、どんな人材が活躍しているか、前任者がなぜ辞めたかなど)を持っていることが多い。これらを事前に入手して志望動機に盛り込むと、面接官が驚くほどの解像度を示せる。
また、「自分では完璧だと思っていた回答が、声に出してみると論理が飛んでいる」と気づくのは珍しくない。エージェントへの相談で模擬面接を実施してもらい、第三者視点でのフィードバックをもらうことで、回答の完成度が確実に上がる。
転職エージェントは、担当企業の採用担当者と定期的にやりとりしているため「今期はどんな人材を求めているか」「前回の選考で評価された回答はどんなものか」という傾向を把握していることがある。これを踏まえて志望動機を作ることで、「的外れな理由」を語るリスクを大幅に下げられる。
よくある質問(FAQ)
Q1. 複数社に同時に応募していることがバレると不利になりますか?
複数社に同時に応募していることは転職活動では一般的であり、それ自体が不利になることはない。面接官も同時並行で応募していることは理解している。重要なのは、複数社に応募しているなかで「なぜ御社を選んでいるか」という理由が具体的に語れるかどうかだ。「他にも◯社を受けていますが、御社が第一志望である理由は◯◯です」という形で答えるのが誠実で印象もよい。
Q2. 志望動機が「給与アップ」が本音でも、それを言ってはいけませんか?
給与アップを狙っていること自体は正当な転職理由だ。ただし、面接の場では「給与が高いから」だけを志望理由にすると「条件が変わったら辞める人」と見なされるリスクがある。給与への期待は「自分のスキルに見合った評価をしてもらえる環境を求めている」という形で言い換えると、ポジティブな印象になる。本音と建て前を使い分けるよりも、「スキルと経験に対して正当な評価をしてもらえる会社を探していた」という軸で語るほうが一貫性が出る。
Q3. 「第一志望ですか?」と聞かれたら正直に答えるべきですか?
この質問は正直に答える必要がある場面と、そうでない場面がある。もし本当に第一志望であれば、迷わず「はい、第一志望です。その理由は◯◯です」と答えてよい。他に第一志望の企業がある場合は、「現在複数の企業を検討しており、選考が進むなかで御社への志望度は非常に高い状況です」という形で、現時点の状況を正直に伝えることをすすめる。嘘をついて「第一志望です」と答え、辞退した場合に悪印象が残ることもある。
Q4. 転職理由と志望動機をどうつなげればよいですか?
「転職理由(前職で感じた課題・限界)」と「志望動機(御社を選んだ理由)」は、一本の線でつながっている必要がある。たとえば「前職では個人プレーの営業スタイルしか評価されなかった(転職理由)→チームで成果を追う文化を求めた(企業選びの軸)→御社の組織体制がそれに合致していた(志望動機)」という流れが理想だ。転職理由と志望動機がちぐはぐだと、「本当のことを言っていないのでは?」という疑念を持たれる。まず転職理由を整理し、そこから一貫した軸を引き出してから志望動機を作るとよい。
Q5. 同業他社から転職する場合、前職の情報をどこまで話してよいですか?
同業他社への転職では、前職で知り得た顧客情報・営業戦略・社内データなどの機密情報は一切話してはいけない。面接の場で「前職ではこういう顧客を担当していた」「前職の戦略はこうだった」と具体的な情報を漏らすと、「この人は自社の情報も漏らす可能性がある」と判断される。前職の経験を語る際は、自分が何をして、どんなスキルを得たか、という個人の経験の範囲に限定する。
まとめ:「なぜ当社を選んだのか」は準備した人が勝つ
「なぜ当社を選んだのか」という質問は、転職面接における最重要質問の一つだ。この質問に対して具体的・論理的に答えられる人は、面接官から「ちゃんと調べてきた」「入社後もミスマッチが少ない」と評価される。
重要なポイントを再確認する。
- 面接官は「本気度・リサーチの深さ・ミスマッチリスク・競合との比較」を見ている
- 回答は「転職理由の起点 → 企業選びの軸 → なぜ御社か」の3ステップで構成する
- 「どこでも言える理由」を排除し、その会社にしかない具体的な根拠を語る
- 入社後の貢献イメージを添えると説得力が増す
- 採用ページのコピー・ネガティブな転職理由・待遇だけの志望動機は避ける
- 企業研究は公式情報・口コミサイト・OB/OG訪問の3層で行う
志望動機は「正解の文章」を暗記するのではなく、自分の経験と企業への理解から自然に出てくる言葉で語るのが最も強い。この記事を参考に、自分だけの志望動機を言語化してほしい。
転職の志望動機・面接対策に不安を感じているなら、Re:WORKに相談してほしい。
Re:WORKは転職を考える20〜30代向けの転職支援サービスだ。履歴書・職務経歴書の添削から、面接対策・企業選びの軸の整理まで、専任のエージェントが個別にサポートする。「なぜ当社を選んだのか」の回答も、一緒に作り上げることができる。
無料・3分で完了
あなたに向いている仕事は?
20問の質問に答えるだけで、あなたの強みと適職が分かります。

