Iターン転職とは?地方移住の進め方と移住支援金・求人の探し方

Iターン転職とは?地方移住で働く方法と注意点

Iターン転職とは、生まれ育った土地とは別の地方に移り住んで働くことです。成功のポイントは、移住先を決める前に「その地域で応募できる求人」と「使える支援制度」を先に調べ、転職活動と引っ越しの段取りを1つの計画にまとめることです。縁のない土地に移るので、仕事が決まってから住まいや手続きを考えると、支援金の申請期限を逃したり、通勤の手段が合わなかったりしやすくなります。

この記事では、Iターン・Uターン・Jターンの違い、メリットと注意点、Re:WORKに掲載されている「U・Iターン歓迎」の求人5,782件の集計、内閣官房・内閣府の移住支援金、ハローワークの広域求職活動費と移転費、総務省の地域おこし協力隊まで、公的な情報をもとに順番に説明します。

Re:WORKの求人データ(2026年10月17日の集計時点・公開求人13,784件)

  • 「U・Iターン歓迎」の求人 5,782件、うち未経験歓迎 4,149件
  • そのうち東京圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)以外の求人 4,075件
  • 東京圏以外の求人のうち社宅・家賃補助制度あり 2,287件、オンライン面接可 1,765件

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Iターン転職とは?Uターン・Jターンとの違い

Iターン転職は、都市部で生まれ育った人が地方に移る場合のほか、地方出身の人が出身地とは別の地方に移る場合も含めて使われる言葉です。似た言葉との違いは次のとおりです。

呼び方移り方例
Iターン出身地とは別の地方に移り住んで働く東京出身の人が長野県に移って就職する
Uターン地元を離れたあと、地元に戻って働く新潟出身で東京で働いていた人が新潟に戻る
Jターン地元を離れたあと、地元に近い別の都市に移って働く秋田出身の人が東京から仙台に移る

求人票の「U・Iターン歓迎」は、遠方から移り住んで入社する人を受け入れる会社という意味で使われています。Jターンの人も対象になると考えてよいでしょう。地元に戻る場合の進め方はUターン転職とはで説明しているので、この記事では、縁のない土地に移るIターンならではの準備に絞って書きます。

Iターン転職のメリットと注意点

Iターンは、仕事と暮らしを同時に変える選択です。良い面と注意したい面を並べると、次のようになります。

メリット注意したい点
住まいの広さや通勤の負担など、暮らし方を選び直せる同じ職種でも、都市部より給料の水準が低い地域がある
人手不足の地域では、未経験でも採用されやすい職種がある希望の職種に絞ると、求人の数が少ない地域がある
移住支援金など、移住者向けの支援を受けられることがある支援金には申請期限や居住を続ける条件があり、守れないと返還になる
社宅や家賃補助のある会社を選ぶと、引っ越し直後の負担を抑えられる車が必要な地域では、車の購入や維持の費用がかかる
地域とのつながりの中で働ける知り合いのいない土地で、生活の立ち上げを一から行う

地方のほうが求人倍率の高い県も多い

「地方は仕事が少ない」と思われがちですが、都道府県によって状況はかなり違います。厚生労働省「一般職業紹介状況」の令和8年8月の有効求人倍率(季節調整値)と、厚生労働省「令和8年度 地域別最低賃金 全国一覧」の最低賃金を、いくつかの都道府県で並べると次のようになります。

都道府県有効求人倍率(就業地別)有効求人倍率(受理地別)最低賃金(令和8年度)
東京都1.07倍1.70倍1,280円
福井県1.72倍1.57倍1,112円
長野県1.43倍1.30倍1,117円
群馬県1.43倍1.28倍1,120円
新潟県1.40倍1.36倍1,108円
広島県1.29倍1.32倍1,141円
静岡県1.20倍1.08倍1,154円
宮城県1.14倍1.11倍1,098円
北海道0.98倍0.91倍1,131円
福岡県0.97倍1.06倍1,114円
全国1.18倍1.18倍1,177円(加重平均)

「受理地別」は求人を受け付けたハローワークの場所で数えた倍率、「就業地別」は実際に働く場所で数えた倍率です。東京都は受理地別では1.70倍と全国で最も高いのですが、就業地別では1.07倍まで下がります。働く場所で見ると、福井・長野・群馬・新潟などは東京より求人倍率が高く、求職者1人あたりの求人が多い地域です。

最低賃金は東京都の1,280円に対して、地方の県は1,100円前後のところが多く、給料の水準には差があります。最低賃金の発効日は都道府県ごとに違い、令和8年度の改定は10月から12月にかけて順に発効します。

給料については、地域の水準と、自分が狙う職種の求人票の金額を両方見ておくことが大切です。家賃や車の費用など、生活にかかるお金も地域によって変わるので、「月給がいくら下がるか」だけでなく「毎月いくら残るか」で比べると判断しやすくなります。

Re:WORKの「U・Iターン歓迎」の求人は5,782件

Re:WORKに掲載されている求人13,784件のうち、「U・Iターン歓迎」の特徴がついた求人は5,782件で、全体の4割を超えます。そのうち4,149件は未経験歓迎で、雇用形態は正社員が4,720件でした。月給の下限の中央値は233,000円、上限の中央値は300,000円です。

都道府県別に多いのは東京都664件、愛知県458件、埼玉県441件、神奈川県382件、大阪府347件で、北海道233件、千葉県220件、静岡県208件、長野県191件、新潟県173件と続きます。東京圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)以外に絞ると4,075件で、地方ごとの件数は次のとおりです。

地方(東京圏を除く)U・Iターン歓迎の求人うち未経験歓迎うち社宅・家賃補助制度あり
北海道・東北591件445件392件
北関東(茨城・栃木・群馬)389件292件254件
甲信越・北陸617件445件313件
東海863件556件465件
関西765件507件365件
中国・四国452件339件283件
九州・沖縄398件296件215件

都道府県別に見たU・Iターン歓迎の求人

東京圏以外で、U・Iターン歓迎の求人が多い順に並べると次のとおりです(広島県と茨城県は同数の132件)。

都道府県求人数うち未経験歓迎うち社宅・家賃補助制度あり月給の下限(中央値)
愛知県458件283件221件240,000円
大阪府347件211件141件244,000円
北海道233件176件176件230,000円
静岡県208件143件128件230,000円
長野県191件138件93件219,700円
新潟県173件128件86件219,700円
京都府150件90件75件237,500円
福岡県148件107件71件240,000円
群馬県143件101件90件229,286円
兵庫県134件98件74件244,000円
広島県132件96件92件230,000円
茨城県132件112件88件225,000円

北海道は233件のうち176件に社宅・家賃補助制度があり、移り住む人を受け入れる体制のある求人が多い地域です。どの都道府県でも、最も多い1社の求人は14〜39件で、複数の会社から選べます。

職種でいうと、東京圏以外のU・Iターン歓迎の求人では、販売・サービス・接客が1,276件(未経験歓迎1,091件)、営業が1,252件(同1,004件)、製造・技能工・設備保全が505件(同316件)、建築・土木・設備が443件(同206件)でした。ITエンジニアは72件のうち未経験歓迎が16件と少なく、地方でITの仕事に未経験から就くのは簡単ではありません。

全国に店舗や拠点がある会社は求人の数が多くなりやすく、U・Iターン歓迎の求人5,782件のうち最も多い1社は255件、上位3社の合計は635件でした。1社の割合は大きくないものの、同じ会社の求人が地域をまたいで並ぶことがあるので、応募先を選ぶときは会社の数でも比べておきます。

Iターンで選びやすい職種と、件数の見方

東京圏以外のU・Iターン歓迎の求人を、求人タイトルの職種名で数えたのが次の表です。月給は求人票に書かれた月給の下限・上限それぞれの中央値です。

求人タイトルの職種名求人数うち未経験歓迎月給の下限(中央値)月給の上限(中央値)
法人営業574件450件240,000円394,000円
個人営業538件447件263,000円295,600円
販売スタッフ464件359件220,000円244,000円
ホールスタッフ・調理スタッフ304件276件230,000円350,000円
施工管理・設備保守管理・環境保全299件158件240,000円345,000円
店長・店長候補252件227件230,000円325,000円
保全・メンテナンス・保守226件120件200,000円200,000円

営業は法人向け・個人向けともに未経験歓迎が多く、地方への移住と組み合わせやすい職種です。法人営業は上限の中央値が394,000円と高めで、成果や役割で給料が上がる余地のある求人が多くなっています。施工管理は人手不足が続く分野で、資格を取りながら働ける求人が中心です。

ただし、職種によっては1社の求人が多くを占めています。販売スタッフは464件のうち149件、ホール・調理は304件のうち123件、保全は226件のうち90件、法人営業は574件のうち127件が、それぞれ同じ1社の求人でした。件数が多く見えても、実際に選べる会社の数は少ないことがあるので、気になる職種は会社ごとに条件を見比べます。仕事の中身は、営業なら個人営業と法人営業の違いで比べています。

移り住む人に向いている求人の特徴

東京圏以外のU・Iターン歓迎の求人4,075件のうち、主な特徴の件数は次のとおりです。

求人の特徴件数Iターンで役立つ理由
退職金制度2,800件長く働く前提の移住と相性がよい
マイカー通勤可2,681件公共交通が少ない地域でも通勤しやすい
社宅・家賃補助制度2,287件引っ越し直後の住まいの負担を抑えられる
転勤なし2,270件移り住んだ土地で暮らしを続けやすい
オンライン面接可1,765件今の住まいのまま選考を進められる
在宅勤務・リモートワーク可233件件数は少ないが、移住先を選ぶ自由度が上がる

未経験歓迎で、社宅・家賃補助制度があり、オンライン面接も受けられる求人に絞っても、東京圏以外で868件残りました。今の住まいから面接を受け、内定後に社宅へ移る、という進め方ができる求人です。全国の求人はRe:WORKの求人一覧から、勤務地や特徴で絞り込んで探せます。

移住先の選び方|先に確かめたい5つのこと

Iターンでは「どこに住むか」と「どこで働くか」を同時に決めます。移住先の候補を絞るときは、次の5つを順番に確かめます。

  1. 求人の数:希望の職種で、その地域に応募できる求人が何件あるか。職種を2〜3つに広げたときの件数も見る
  2. 通勤の手段:電車やバスで通えるか、車が必要か。冬に雪が多い地域では冬の通勤も考える
  3. 住まい:社宅や家賃補助のある会社か、自分で賃貸を探すか。家賃の相場は現地の不動産会社や自治体の移住窓口で確かめる
  4. 支援制度:移住支援金の対象地域か、自治体独自の住まいや子育ての支援があるか
  5. 暮らしの環境:病院、買い物、子どもの学校など、毎日の生活に必要なものが通える範囲にあるか

候補の地域が決まったら、できれば一度は現地を訪ね、平日の朝の通勤時間帯や、住む予定の地域の様子を見ておきます。自治体によっては移住を考えている人向けに、お試しで住める住宅や相談窓口を用意しています。地域ごとの求人や探し方は、長野で未経験から転職、新潟で未経験から転職、静岡で未経験から転職、札幌の転職事情で詳しく説明しています。

移住支援金の条件と金額|国の制度と自治体ごとの違い

東京23区から地方に移り住んで就職した人などに支給されるのが、国の「地方創生移住支援事業」による移住支援金です。内閣官房・内閣府の地方創生のページでは、制度の対象を次のように示しています。

項目主な条件
移住元移住直前の10年間で通算5年以上、東京23区に住んでいたか、東京圏(条件不利地域を除く)から東京23区に通勤していたこと。直近1年以上は23区に在住または通勤していること(会社員の通勤は雇用保険の被保険者としての通勤に限る)
移住先東京圏以外の道府県、または東京圏の条件不利地域で、移住支援事業を実施している都道府県・市町村
就業など道府県のマッチングサイトに移住支援金の対象として掲載された求人への就業、テレワークで移住前の仕事を続ける、市町村が認める関係人口の要件、起業支援金の交付決定のいずれか
申請の時期転入後1年以内に申請し、申請後5年以上その市町村に住み続ける意思があること
金額世帯100万円以内、単身60万円以内で都道府県が決める額。18歳未満の世帯員を連れて移住する場合は1人につき最大100万円を加算
返還申請から5年以内に移住先から転出した場合や、虚偽の申請をした場合など。全額か半額かは時期で変わる(札幌市の例: 3年未満の転出は全額、3年以上5年以内は半額)

条件は移住元と移住先で決まり、出身地は問われていないので、UターンでもIターンでも対象になりえます。東京圏の中でも、条件不利地域に当たる市町村への移住は対象になることがあり、たとえば千葉県では銚子市・館山市・鴨川市・南房総市など、神奈川県では三浦市・箱根町など、埼玉県では秩父市・飯能市などが条件不利地域として示されています(実際に事業を実施しているかは市町村ごとに確認が必要です)。

注意したいのは、実際の金額や要件は自治体ごとに違うことです。国の制度は「100万円以内」「60万円以内」と上限を示しているだけで、制度の詳細は実施する都道府県・市町村が決めています。たとえば札幌市の令和8年度の移住支援金は、単身30万円、世帯60万円、18歳未満の子ども1人につき10万円の加算で、国の上限額とは違います。札幌市はテレワーク要件を廃止し、関係人口要件を広げるなど、要件の中身も独自に変えています。

就業の要件で使う場合は、応募する求人が道府県のマッチングサイトに「移住支援金の対象」として載っているかがポイントです。対象外の求人に就職すると、ほかの条件を満たしていても支援金は受けられません。応募の前に、移住先の都道府県や市町村の担当窓口で確かめておきます。

内閣官房・内閣府が公表している交付実績によると、移住支援事業の交付は令和7年度に3,170件・6,771人で、令和元年度からの累計は14,378件・30,557人でした(令和8年3月末時点。地方就職学生支援事業の実績を含む)。累計の移住人数が多いのは次の県です。

都道府県令和7年度の移住人数令和元年度からの累計
静岡県684人3,051人
群馬県630人2,452人
長野県604人2,141人
栃木県429人2,005人
新潟県373人1,636人
茨城県154人1,512人
宮城県296人1,326人
北海道332人1,311人

上位には静岡・群馬・長野・栃木・新潟など、関東・中部の県が多く並んでいます。移住先を考えるときは、東京や実家との行き来のしやすさも比べる点の1つになります。

移住の相談はどこにすればいいか

内閣官房・内閣府の地方創生のページでは、各都道府県・市区町村の移住に関する総合的な窓口や、地方移住に役立つ支援情報をまとめて紹介しています。移住支援金の対象かどうか、住まいや子育ての支援があるかは、移住を考えている市町村の窓口に直接問い合わせるのが確実です。仕事の探し方については、移住先の地域のハローワークや、全国の求人を扱う転職エージェントにも相談できます。

面接の交通費や引っ越し代が出る制度|広域求職活動費と移転費

先に退職して雇用保険の失業給付を受けながら転職活動をする場合は、ハローワークの「広域求職活動費」と「移転費」も確かめておきます。厚生労働省のリーフレットをもとに、主な内容をまとめます。

制度対象になる場面支給されるもの
広域求職活動費雇用保険の受給資格者が、ハローワークの紹介で遠くの会社を訪ねて面接などを受ける。受給手続きをしているハローワークから、会社の所在地を管轄するハローワークまでの距離が往復200km以上鉄道賃・船賃・航空賃・車賃と、往復400km以上の場合の宿泊料
移転費雇用保険の受給資格者が、ハローワークや職業紹介事業者などの紹介で就職するため、住所を変える必要がある(通勤が往復4時間以上になる場合など)鉄道賃・船賃・航空賃・車賃、移転料、着後手当

どちらも待期期間が過ぎたあとの活動や就職が対象で、移転費は雇用期間が1年未満の仕事では受けられません。会社から引っ越しの費用が出る場合は、その額が移転費より少ないときだけ対象になります。

令和8年8月1日からは、広域求職活動費を受けられる回数に上限ができました。所定給付日数が90日以下なら3回、120日なら4回というように、所定給付日数が30日増えるごとに1回ずつ増え、360日で12回までです。令和8年7月31日以前に始めた広域求職活動は回数に数えません。どちらの制度も、面接や引っ越しの前にハローワークに相談して紹介を受けることが前提なので、先に受給手続きをしているハローワークで確認してください。

先に退職する場合の失業給付の給付制限は、2025年4月1日以降の自己都合退職なら原則1か月です。在職中に進めるか、辞めてから進めるかは、転職活動は在職中と辞めてからどっちがいい?で判断の基準を説明しています。

Iターンでかかるお金と、負担を減らす方法

Iターンでは、転職活動と引っ越しの両方にお金がかかります。金額は地域や家族の人数で大きく変わるので、次の項目を書き出して見積もっておきます。

かかるお金負担を減らす方法
面接のための交通費・宿泊費オンライン面接の求人を選ぶ。最終面接と下見を同じ日にする。受給資格があれば広域求職活動費を確認する
引っ越し代会社の引っ越し費用の負担を確認する。受給資格があれば移転費を確認する
敷金・礼金など住まいの初期費用社宅・家賃補助制度のある会社を選ぶ
車の購入・維持の費用マイカー通勤の手当や社用車の有無を確認する。車がなくても通える範囲の求人を探す
家具・家電、冬の備え(寒い地域)移住支援金や自治体独自の支援の対象か確かめる
収入が途切れる期間の生活費在職中に内定まで進め、退職日と入社日の間を空けすぎない

移住支援金は転入後に申請して、支給までに時間がかかります。札幌市の場合は、申請から交付まで3か月ほどかかる場合があると案内しています。引っ越しの費用はいったん自分で用意しておく前提で、資金の計画を立てます。

いきなりの移住が不安なら、地域おこし協力隊という選択肢

総務省の地域おこし協力隊は、都市地域から過疎地域などの条件不利地域に住民票を移し、地域ブランドや地場産品の開発・販売・PR、農林水産業への従事、住民の支援などの「地域協力活動」を行いながら、その地域への定住・定着を目指す取り組みです。

  • 隊員は各自治体から委嘱を受けて活動し、任期はおおむね1年から3年です
  • 令和7年度は、10代から60代以上までの総勢8,196人が全国で活動しています(前年度から286人増。総務省 令和8年4月24日公表)
  • 隊員の約4割(40.3%)は女性です
  • 令和2〜6年度に任期を終えた隊員8,762人のうち、70.3%(6,163人)が同じ地域に定住しています(令和7年5月1日時点の調査)
  • 活動の分野は観光、商品開発、農業・林業、漁業、医療・保健、デジタル、教育など幅広くあります
比べる点地域おこし協力隊地方の会社への転職
働き方自治体の委嘱を受けて地域協力活動をする会社と雇用契約を結んで働く
期間任期はおおむね1年から3年期間の定めのない正社員が中心
向いている人地域づくりに関わりたい人、移住先を時間をかけて決めたい人収入の安定を優先したい人、職種の経験を積みたい人
任期・入社後任期後の仕事は自分で決める必要がある入社後もその会社で働き続けられる

任期中に地域の仕事や住まいを知り、任期後に地元の会社に就職する、自分で仕事を始める、という道もあります。会社に転職するのとは働き方が大きく違うので、募集している自治体の活動内容と、任期後の進路の支援があるかを確かめてから応募します。

Iターン転職の進め方|応募から入社・移住まで

在職中に進める場合の、おおまかな流れです。引っ越しと移住支援金の手続きが加わるので、通常の転職より準備の項目が増えます。

  1. 移住先の候補を2〜3か所に絞る:上の5つの点で比べ、希望の職種の求人がある地域を選ぶ
  2. 支援制度を調べる:移住支援金の対象地域か、対象の求人がどれかを自治体に確かめる
  3. 応募書類を作る:「なぜその地域で働きたいか」を具体的に書けるようにしておく
  4. オンライン面接から応募する:一次面接をオンラインで受けられる求人から進めると、移動の回数を減らせる
  5. 最終面接と現地の下見を同じ日に組む:職場への通勤時間や住む予定の地域を、実際に移動して確かめる
  6. 内定後に住まいと引っ越しを決める:社宅の有無、入社日、転入の手続きの順番を会社と自治体に確認する

在職中に地方の会社を受けるときの日程

在職中に遠くの会社を受けるときは、移動の回数をできるだけ減らすのがコツです。一次面接はオンラインで受け、最終面接は有給休暇を取った日に対面で受けて、同じ日か翌日に住む予定の地域を下見します。複数の会社を受けるなら、同じ地域の会社の面接を同じ週にまとめてもらえるよう、応募の段階で希望を伝えておきます。

内定から入社までに確かめること

  • 入社日と、社宅や賃貸の入居日、今の会社の退職日の順番がそろっている
  • 引っ越し費用を会社が負担するか、負担する場合の上限を確認した
  • 移住支援金を申請する場合、転入日から1年以内に申請できる段取りになっている
  • 車が必要な地域なら、入社までに車と駐車場を用意できる
  • 住民票の異動、運転免許証の住所変更、子どもの転校の手続きを書き出した

引っ越しの費用や手続きの細かい流れは転職で引っ越しが必要なときにまとめています。

家族と一緒に移るときに話し合っておくこと

家族で移住する場合は、本人の仕事だけでなく、家族それぞれの暮らしが変わります。応募を始める前に、次の点を家族で話し合っておくと、内定後に迷いにくくなります。

  • 配偶者の仕事をどうするか(転職、テレワークでの継続、移住後に探すなど)
  • 子どもの学校や保育園をどこにするか、転校・転園の時期をいつにするか
  • 車が必要な地域なら、何台必要か、誰が運転するか
  • 親の介護や実家への帰省の頻度と、そのための交通手段
  • 住まいは賃貸から始めるか、購入まで考えるか

移住支援金は、18歳未満の世帯員を連れて移住すると加算がある制度です。世帯で申請する場合は、世帯員の転入時期などにも条件があるので、家族の引っ越しの日程とあわせて自治体に確認しておきます。

面接で「なぜこの地域なのか」を聞かれたとき

Iターンの面接では、「なぜこの地域で働きたいのか」「長く住み続けられるか」を聞かれることが多いと考えられます。移り住む理由と住まいの準備を具体的に話せるようにしておきます。「自然が好きだから」だけでなく、家族の事情や、その地域で暮らしたい理由、住まいの準備をどこまで進めているかを具体的に話せると、長く働くつもりであることが伝わります。

次の例は形の見本で、実在の人物の話ではありません。

「東京で販売の仕事を5年続けてきましたが、子どもが生まれたことをきっかけに、通勤の負担が少なく、家族との時間を取れる暮らしをしたいと考えるようになりました。休みのたびに長野県内を訪ねるうちに、この地域で長く暮らしたいと考え、すでに住まいの候補も見学しています。販売で身につけたお客さまの話を聞いて提案する力を、御社の営業の仕事で生かしたいと考えています。」

Iターン転職が向いている人と、つまずきやすい点

Iターンが向いているのは、暮らし方を変えたい理由がはっきりしていて、知らない土地で人間関係や生活を一から作ることを前向きに考えられる人です。反対に、「今の仕事が嫌だから」という理由だけで移住先を決めると、移り住んだあとに迷いやすくなります。

つまずきやすい点防ぐためにできること
現地を見ずに決めて、通勤や生活の不便さに驚く最終面接の日などに、平日の通勤時間帯を含めて現地を見ておく
移住支援金の対象外の求人に就職してしまう応募の前に、自治体の窓口で対象の求人か確認する
職種を1つに絞りすぎて、応募できる求人が見つからない近い職種を2〜3つ候補に入れ、件数を比べる
家族と話し合わないまま進めてしまう仕事・学校・住まいの条件を家族で書き出し、優先順位を決めてから応募する
引っ越しの費用や車の費用を見込んでいない社宅・家賃補助・引っ越し費用の負担がある会社を優先して探す

移り住んでからの数か月で意識したいこと

入社してしばらくは、仕事を覚えることと暮らしを整えることが同時に進みます。ごみの出し方や町内会、雪かきなど、地域ごとの生活のきまりは住んでみて初めて分かることも多いので、職場の人や近所の人に早めに聞いておくと安心です。仕事では、前の職場のやり方と比べすぎず、まずはその会社のやり方を覚えることを優先します。移住支援金を受けた場合は、居住や就業を続ける条件があるので、困ったことがあれば早めに会社や自治体に相談します。

転職エージェントを使うと、地方の会社の求人を在宅のまま紹介してもらい、面接の日程を移動の都合に合わせて調整してもらうこともできます。ハローワークとの使い分けは転職エージェントとハローワークの違いで比べています。

よくある質問

Q. Iターン転職とUターン転職の違いは何ですか?

Uターンは地元に戻って働くこと、Iターンは出身地とは別の地方に移って働くことです。地元の近くの都市に移る場合はJターンと呼びます。求人票の「U・Iターン歓迎」は、どの場合も遠方から移り住む人を受け入れる会社という意味で使われています。

Q. 未経験でもIターン転職はできますか?

できます。Re:WORKの「U・Iターン歓迎」の求人5,782件のうち4,149件が未経験歓迎でした(2026年10月17日時点)。販売・サービスや営業、製造、施工管理などで、未経験から移り住んで働ける求人が見つかります。東京圏以外に絞っても、未経験歓迎の求人は2,880件ありました。未経験の場合は、職種を1つに絞らず、研修のある会社や人手不足の職種まで候補に入れると、移住先の地域でも応募できる求人を見つけやすくなります。

Q. 移住支援金は誰でももらえますか?

いいえ。東京23区に住んでいたか通勤していた期間の条件、移住先が制度を実施している地域であること、対象の求人への就業などの条件をすべて満たす必要があります。金額も自治体ごとに違い、たとえば札幌市は単身30万円・世帯60万円です。移住先の都道府県や市町村に必ず確かめてください。

Q. 移住支援金を受けたあとにすぐ転職したらどうなりますか?

国の制度では、申請から5年以内に移住先から転出した場合などは返還の対象になります。札幌市の例では、3年未満の転出は全額、3年以上5年以内は半額で、就業の要件で申請した人が申請日から1年以内に対象の職を辞めた場合は全額が返還の対象です。条件は自治体ごとに違うので、申請前に確かめておきます。

Q. 面接のたびに地方まで行く交通費が心配です

オンライン面接ができる求人から応募すると、移動の回数を減らせます。Re:WORKの東京圏以外の「U・Iターン歓迎」の求人のうち、オンライン面接可は1,765件でした。雇用保険の受給資格がある人は、ハローワークの紹介で受ける面接なら広域求職活動費の対象になることがあります。

Q. 今の仕事をテレワークで続けたまま移住できますか?

会社がテレワークを認めていれば可能です。国の移住支援金でも、テレワークで移住前の仕事を続ける場合が対象の1つになっています。ただし、自治体によっては札幌市のようにテレワーク要件を廃止しているところもあります。転職先を探す場合、Re:WORKの東京圏以外の「U・Iターン歓迎」の求人で在宅勤務・リモートワーク可は233件と多くないので、在宅前提で探すより、通える範囲の求人とあわせて探すほうが選べる数は増えます。

Q. Iターン転職は何歳まで可能ですか?

年齢の決まりはありません。地域おこし協力隊でも10代から60代以上まで幅広い年代が活動しています。その地域で長く働くつもりであることを具体的に伝えるのが大切です。

まとめ|Iターン転職は「求人」と「支援制度」を先に調べる

  • Iターンは出身地と別の地方に移って働くこと。Uターン・Jターンとは移り方が違う
  • Re:WORKの「U・Iターン歓迎」の求人は5,782件、東京圏以外は4,075件。社宅・家賃補助やオンライン面接のある求人も多い
  • 移住支援金は国の上限が世帯100万円・単身60万円で、実際の額と要件は自治体ごとに違う
  • 先に退職するなら、広域求職活動費と移転費を確認する。広域求職活動費は令和8年8月1日から回数に上限がある
  • いきなりの移住が不安なら、任期おおむね1〜3年の地域おこし協力隊も選択肢になる

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この記事の執筆・監修

大林 諒

株式会社Nexly 代表取締役

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