未経験から営業職で年収はどれくらい?現実的な目安を解説

未経験から営業職で年収はどれくらい?現実的な目安を解説

未経験で営業に転職した場合の年収は業界・会社規模で大きく変わる

「未経験で営業に転職したら年収はどうなるの?」「現職より下がる?上がる?」という疑問を持って転職活動を始める人は多い。

結論から示す。未経験での営業転職初年度の年収は280〜420万円が現実的な水準だ。ただし、業界・会社規模・インセンティブ設計によって同じ「未経験営業」でも年収は100〜150万円以上変わる。5〜10年後の伸びしろも業界選びで2倍以上の差が出る。

この記事では、業界別・規模別の年収目安、インセンティブの仕組み、未経験で高年収を狙うための業界選び、年収交渉のポイントまで数字を交えて詳しく解説する。

未経験営業の年収:業界別の現実的な目安

IT・SaaS業界

未経験採用が増加しており、年収の上昇速度が最も速い業界のひとつだ。

  • 入社1年目:300〜400万円
  • 3年目:420〜600万円
  • 5年目(担当クラス):550〜750万円
  • 5年目(マネージャー):700〜1,000万円

外資系SaaS(Salesforce、HubSpot、AWSなど)では、成果次第で3〜5年目に1,000万円を超えるケースがある。ただし成果主義が強く、目標未達が続くと降格・退職勧奨が発生するリスクもある。

人材業界

未経験歓迎の求人が多く、入りやすい反面、インセンティブ依存度が高い業界だ。基本給は低めだが、成果に応じたインセンティブで総年収は大きく変動する。

  • 入社1年目:270〜380万円(インセンティブ込み)
  • 3年目:380〜520万円
  • 5年目(主任クラス):480〜700万円

人材紹介業では「売上の10〜25%」がインセンティブとして支払われる会社が多い。月に500万円の売上を作れば、月50〜125万円のインセンティブになる計算だ。成果を出せる人とそうでない人で年収の差が最も開く業界でもある。

不動産業界

インセンティブが大きく、若いうちから高収入を狙える業界だ。ただし精神的・体力的な消耗も大きい。

  • 入社1年目:300〜420万円
  • 3年目:400〜600万円
  • 5年目(トップ営業):700〜1,200万円

投資用不動産やデベロッパー系では、1件の成約で100〜300万円のインセンティブが発生するケースもある。宅建資格取得で月1〜3万円の資格手当が加算される会社が多い。

保険・金融業界

固定給が低く、インセンティブ中心の報酬体系が多い。入社直後は固定給保証期間があるが、その後は完全成果報酬に近い形態になるケースが多い。

  • 入社1年目(固定給保証期間):240〜320万円
  • 3年目(軌道に乗った場合):400〜600万円
  • 5年目(法人代理店開拓):600〜1,000万円

ただし保険営業は離職率が高い。最初の2〜3年で成果が出なければ生活が苦しくなるリスクがある。入社前に「固定給の水準」「インセンティブへの移行タイミング」を必ず確認すること。

物流業界

安定性が高く、急激な変動は少ない。2024年問題以降は人材不足が深刻化しており、採用条件が改善傾向にある。

  • 入社1年目:280〜380万円
  • 3年目:360〜460万円
  • 5年目:450〜580万円

製造業・メーカー

基本給が安定しており、福利厚生が充実している。インセンティブより賞与(年2〜4ヶ月分)で報酬が決まるケースが多い。急激な年収増は期待しにくいが、長期で安定した収入を得やすい。

  • 入社1年目:280〜360万円
  • 3年目:340〜450万円
  • 5年目:420〜550万円

広告・メディア業界

営業職としての成長速度が速い業界のひとつだ。デジタル広告の拡大に伴い、未経験でも採用している会社が増えている。

  • 入社1年目:290〜380万円
  • 3年目:380〜520万円
  • 5年目:480〜680万円

会社規模別の年収差:大手・中堅・中小で何が違うか

大手企業(従業員1,000人以上)

初年度年収は360〜450万円と高めだが、昇給速度は遅めだ。年功序列的な昇給が残っているケースが多く、30代前半まで同期間での年収差は小さい。

メリットは安定性・福利厚生の充実・研修制度の整備だ。退職金制度・住宅手当・社食・社員割引など基本給以外の待遇が手厚い。デメリットはインセンティブが少なく、成果を出しても年収が劇的には変わらない点だ。

中堅企業(従業員100〜999人)

未経験採用の入口として最もバランスが取れている規模だ。初年度年収は320〜420万円で、成果に応じた昇給がしやすい。3〜5年で主任・課長クラスに昇格できるスピード感がある。

大手に比べて研修は手薄だが、早期から責任ある仕事を任される点でスキル形成が速い。転職市場でも「中堅企業で実績を出した人材」は評価されやすい。

中小企業(従業員100人未満)

初年度年収は270〜360万円と低めだが、成果に直結した評価がされやすい。「成果を出したら翌月から給与を上げる」という柔軟な評価制度を持つ会社も多い。

代表・役員との距離が近く、ビジネス全体を早く理解できる点はキャリア形成上のメリットだ。ただし会社の業績が個人の年収に直結するため、安定性は低い。

インセンティブの仕組みを理解する

インセンティブの計算方法(業界別)

同じ「インセンティブあり」でも、計算方法は会社によって大きく異なる。主なパターンを整理する。

  • 売上連動型:担当した案件の売上や粗利の一定割合(1〜20%)がインセンティブとして支払われる。人材・不動産に多い。
  • 目標達成率連動型:月次・四半期の目標達成率に応じてインセンティブが変動する。IT・SaaS・広告に多い。達成率100%で月3〜10万円、120%超えで月10〜30万円というケースが多い。
  • 新規獲得件数連動型:新規顧客の獲得件数×単価でインセンティブが計算される。物流・通信に多い。

インセンティブありの会社で年収を最大化するには

インセンティブ中心の会社では、「インセンティブの天井がないか」を入社前に確認することが重要だ。一部の会社ではインセンティブに上限を設けており、一定以上の成果を出しても年収が頭打ちになる。入社前の面接・オファー交渉の段階でインセンティブの上限・下限・支払い頻度を必ず確認する。

未経験で高年収の営業職を狙うための業界選び

5年後の年収500万円以上を狙える業界

未経験スタートでも5年以内に年収500万円以上を目指しやすい業界は以下だ。

  • IT・SaaS(特にBtoB向けソフトウェア、クラウドサービス)
  • 人材業界(転職エージェント、求人広告、RPO)
  • 不動産(投資用不動産、デベロッパー系)
  • 医療機器・製薬(MRとしての専門職化)
  • コンサルティング系(営業支援・BPO・マーケティング支援)

安定性と年収のバランスで選ぶなら

高年収より安定を重視するなら、インセンティブが少ない代わりに基本給が安定している業界を選ぶべきだ。製造業・食品・物流などは景気変動の影響を受けにくく、長期的に安定した年収を得やすい。ただし年収1,000万円超えを狙うのは難しくなる。

未経験営業の年収交渉:押さえるべきポイント

オファー提示時に確認すべき項目

内定後のオファー時に、年収の総額だけで判断することは危険だ。以下の項目を必ず確認する。

  • 基本給と固定残業代の内訳(固定残業代の時間数と超過分の支払い方法)
  • インセンティブの計算方式・上限・支払い頻度
  • 昇給タイミングと昇給幅の目安
  • 賞与の回数・過去3年間の支給実績
  • 社会保険・退職金・各種手当の内容

見た目の年収が高くても、固定残業代が40時間分込みで基本給が低い場合は実質的な時給単価が下がる。額面ではなく実質的な手取り・月給を計算して比較する習慣を持つ。

年収交渉のタイミングと方法

未経験で転職する場合、年収交渉の余地は小さい会社が多い。ただし以下の場合は交渉できる可能性がある。

  • 現職の年収が提示オファーより高い場合(「現職のXX万円を下回らない水準でお願いしたい」)
  • 複数社からオファーを取得している場合(「他社からYY万円のオファーを受けている」)
  • 特定のスキル・資格・実績があり差別化できる場合

交渉する際は「要求」ではなく「確認」のトーンで話す。「この金額でなければ断る」という姿勢は未経験転職では逆効果になることが多い。「ご提示いただいた金額について、XX万円まで検討いただける可能性はありますでしょうか」という問いかけが適切だ。

年収だけで転職先を選ぶことの危険性

年収より重要な3つの判断基準

未経験での転職において、年収だけで転職先を選ぶことは失敗リスクを高める。以下の3つを年収と同等以上に重視すべきだ。

  • 研修・育成環境:未経験者が成果を出せるまで適切にサポートしてもらえる環境があるか。研修制度がなくOJTだけで放置される会社は、成果が出ずインセンティブも稼げないリスクが高い。
  • キャリアの天井:その会社で5〜10年後にどんなポジションまで上がれるか。昇格のルートが不明確な会社や同年代の上司で固まっている会社は注意が必要だ。
  • 身につくスキルの市場価値:その会社での業務が市場価値の高いスキルにつながるか。クローズドな業界の属人的なノウハウよりも、転職市場で評価される汎用スキルが身につく環境を選ぶべきだ。

高年収・高インセンティブの罠

「年収1,000万円も可能!」という求人を鵜呑みにすることは危険だ。高インセンティブ求人のよくある落とし穴を示す。

  • 「1,000万円可能」の実績者が全体の3〜5%しかいない
  • 固定給が最低賃金ギリギリで、インセンティブが発生しない月の生活が厳しい
  • ノルマ達成ができないと降給・配置転換のリスクがある
  • 業界や顧客層の特性上、インセンティブ獲得が構造的に難しい

求人票の「年収○○万円可能」という記載は、全社員の平均ではなくトップ層の実績値であることがほとんどだ。面接で「昨年度の平均年収」「中央値」を具体的に聞くことが重要だ。

転職後の年収を最短で上げるためのアクション

入社3〜6ヶ月:数字を記録し再現性を証明する

入社直後から自分の成果を数字で記録する習慣を持つ。何件アポを取って何件商談し何件受注できたか、受注率はどう推移しているかを月次で把握する。この記録が昇給交渉の材料になる。

入社1〜2年目:インセンティブの最大化に集中する

インセンティブがある会社では、基本給の昇給より先にインセンティブの最大化を狙う。インセンティブ計算の構造を深く理解し、どの行動がインセンティブに直結するかを把握する。「どの顧客カテゴリが成約率が高いか」「どの時期に注力すればいいか」をデータで判断する習慣が収入増に直結する。

入社2〜3年後:昇給交渉または転職を検討する

入社から2〜3年後、具体的な実績が積み上がった段階で昇給交渉もしくは転職を検討する。「私はこれだけの成果を出してきた。それに見合った報酬を受け取りたい」という交渉は、実績があれば通りやすい。現職で交渉が通らなければ、転職市場での自分の価値を確認することが次のステップだ。

よくある質問(FAQ)

Q. 未経験で年収400万円以上の営業求人に応募できますか?

可能だ。ただし「未経験歓迎・年収400万〜」という求人には注意が必要だ。400万円が「基本給+賞与」なのか「インセンティブ込みの最高値」なのかを必ず確認する。特にインセンティブ込みで400万円という場合、成果が出なければ実際の年収が280〜320万円になるケースが多い。エージェント経由で応募し、給与構成の詳細を確認してから応募するのが安全だ。

Q. 現職が年収450万円で未経験営業に転職すると年収は下がりますか?

未経験転職の場合、転職初年度に年収が下がるケースは少なくない。特にインセンティブ中心の職種では、成果が出るまでの1〜2年は現職より年収が低くなることを前提に計画を立てるべきだ。「2〜3年後に現職以上の年収を狙える構造になっているか」を確認してから転職を決断する。

Q. 営業職で年収1,000万円は現実的ですか?

業界・会社・個人の能力次第で現実的な目標だ。IT・SaaS・外資系・不動産・投資業界では、30代で年収1,000万円を超える営業担当者は一定数いる。ただし「未経験スタートで5年以内に1,000万円」はかなり難易度が高い。現実的には、未経験スタートから8〜10年、業界トップ20%以内の成果を継続した場合に到達できる水準だ。

Q. 副業で年収を補うことはできますか?

営業スキルは副業に活かしやすい。フリーランス営業代行(月5〜20万円)、アフィリエイトやコンテンツ販売、業務委託での新規開拓支援など選択肢が複数ある。ただし、本業の会社が副業を禁止している場合は就業規則違反になるため、副業規定を必ず確認する。副業で収入を補うより、本業の年収を上げることに集中する方が長期的には効率が良い。

年収を上げるために知っておくべき「お金の知識」

額面年収と手取り年収の差を正確に把握する

求人票に書かれた「年収」は税・社会保険料を差し引く前の額面だ。手取りは一般的に額面の75〜80%程度になる。具体例を示す。

  • 額面年収300万円 → 手取り月収約19〜20万円(年間手取り約228〜240万円)
  • 額面年収400万円 → 手取り月収約25〜26万円(年間手取り約300〜312万円)
  • 額面年収500万円 → 手取り月収約31〜33万円(年間手取り約372〜396万円)
  • 額面年収700万円 → 手取り月収約43〜45万円(年間手取り約516〜540万円)

年収アップを目標にする場合、「手取りベースで月いくら増えるか」を計算する習慣を持つことで、目標の現実感が高まる。

インセンティブの税金処理を知っておく

インセンティブは給与の一部として源泉徴収の対象になる。月収が大幅に増えた月は、源泉徴収額も増えるため手取りの増加率が想定より低くなることがある。年末調整で調整されるが、年収が高くなると確定申告が必要になるケースもある。インセンティブが大きい会社に転職する際は、税理士への相談や確定申告の方法を事前に学んでおくことを推奨する。

営業職での年収を最大化するマインドセット

「顧客の問題を解決する」思考が長期的な高年収につながる

短期的な数字を追う「プッシュ型営業」から、顧客の本質的な課題を解決する「ソリューション型営業」へのシフトが、長期的な高年収への近道だ。プッシュ型の強引な営業は短期的な受注につながることもあるが、解約・クレーム・顧客の信頼低下を招き、長期的には年収を下げる。

「顧客がこのサービスを使って本当に良かったと思うか?」という問いを常に持ちながら提案することで、顧客との長期関係が構築され、紹介・追加受注・契約更新という「勝手に増える売上」が生まれる。

「数字の文脈を読む力」が報酬交渉力を上げる

自分の成果を会社の業績文脈で語れる人は、年収交渉で有利になる。「私は月次目標を120%達成しました」という報告より、「私の担当顧客からの年間売上は前年比3,000万円増加し、部門全体の成長率の35%を私が貢献しました」という語り方の方が、報酬への正当性を示せる。この「会社・部門への貢献額」を常に意識しておくことで、昇給交渉の際に「自分への投資対効果」を雇用主に明示できる。

未経験営業転職後の1年間のリアルなタイムライン

入社1ヶ月目:圧倒感と適応の時期

多くの未経験営業が入社1ヶ月目に感じることは「想像より覚えることが多い」という圧倒感だ。商品知識・社内システム・業界用語・顧客情報を同時に吸収しなければならない。この時期を乗り越えるポイントは「完璧に覚えようとしない」ことだ。まず全体像を把握し、詳細は実際の業務で覚えていくという姿勢で進める。

入社3ヶ月目:「わかるができない」フェーズ

3ヶ月目になると「何をすべきかはわかるが、うまくできない」というフェーズに入る。テレアポをしてもアポが取れない、商談をしてもクロージングできないという壁にぶつかる時期だ。多くの人がここで「自分には向いていないのでは」と感じる。しかしこの感覚は成長の証拠だ。「できていないことがわかる」という段階に来たことを意味する。

入社6ヶ月目:最初のブレイクスルー

6ヶ月目前後で多くの人が「最初の受注・成約」を経験する。この経験がモチベーションの大きなブレイクスルーになる。「なぜ受注できたか」を徹底的に言語化し、再現できるようにすることがこの時期のテーマだ。

入社1年目終了時:評価されることとされないこと

1年目の評価で重視されるのは「成果の絶対値」より「成長のスピードと方向性」だ。0件から10件への成長は、50件から60件への成長より評価されることが多い。「この人は続ければ伸びる」と思わせることが、1年目の最大の評価ポイントだ。そのためには、成功・失敗の原因を自分で分析し、改善行動を取り続ける姿勢を見せ続けることが重要だ。

営業職で高年収を達成した人の共通習慣

習慣1:毎日の振り返りを欠かさない

高年収営業担当者の多くが持つ共通習慣は「毎日の振り返り」だ。1日の終わりに「今日の商談で何がうまくいったか」「次回どう改善するか」を5分で記録する。この習慣を1年続けると、自分の強み・弱み・勝ちパターンが明確になり、再現性のある成果が出始める。

習慣2:顧客の業界ニュースを毎朝確認する

担当顧客の業界で何が起きているかを毎朝確認する習慣を持つ人は、商談での会話の質が格段に上がる。「御社の業界でこんな動きがありますが、御社はどう対応を検討されていますか?」という質問は、顧客との信頼関係を一気に深めるきっかけになる。

習慣3:数字を常に手元に置いておく

自分のKPI(月次アポ数・商談数・提案数・成約数・成約率・売上額)を常に把握している人は、「何に集中すべきか」の判断が速い。KPIが悪化したときに「何が問題か」を即座に特定できるため、修正速度が速い。これが長期的な成果の安定につながる。

Q. 地方在住で営業に転職した場合の年収は都市部と変わりますか?

地方での営業年収は都市部より10〜20%低い水準になることが多い。ただし生活費の差があるため、実質的な生活水準は地方の方が豊かになるケースもある。一方、リモートワーク対応のSaaSやIT系の営業では、居住地問わず都市部と同水準の年収を得られる会社が増えている。地方在住でキャリアを積みたい場合は、リモート対応可能な業界・職種を選ぶことが重要だ。

まとめ:未経験営業の年収は業界×成果設計で決まる

未経験で営業に転職した場合の年収は、業界・会社規模・インセンティブ設計によって大きく変わる。平均的な初年度年収は280〜420万円だが、5〜10年後の天井は業界選びで2〜3倍の差が出る。

重要なのは以下の3点だ。

  • 業界の選び方:5年後の年収天井を意識して業界を選ぶ。IT・SaaS・人材・不動産は成長速度が速い
  • インセンティブ設計の把握:入社前に計算方式・上限・実績を具体的に確認する
  • 実績の数字化:入社後すぐに成果を数字で記録し、昇給交渉の材料を積み上げる

Re:WORKでは、営業職への転職を検討している方の相談を無料で受け付けている。「年収を上げたい」「未経験でも応募できる業界を教えてほしい」といった具体的な質問にも、業界経験を持つコンサルタントが答える。まずは無料相談から始めてほしい。

年収と手取りの関係:額面だけで判断しない

年収から手取りへの変換計算

求人票や面接で提示される「年収」は額面(税・社会保険料控除前)の金額だ。実際に手元に残る手取りは、一般的に額面年収の75〜80%程度になる。具体的な目安を示す。

  • 額面年収300万円 → 手取り月収約19万〜20万円
  • 額面年収350万円 → 手取り月収約22万〜23万円
  • 額面年収400万円 → 手取り月収約25万〜26万円
  • 額面年収500万円 → 手取り月収約31万〜33万円

「月給25万円」という求人票を見た場合、固定残業代を含んでいるかどうかによって実質的な基本給は異なる。固定残業代が月5万円含まれている場合、残業なしの実質基本給は20万円だ。

社会保険の扱いと待遇の実質価値

額面年収だけでなく、以下の社会保険・手当の有無も年収の実質価値に大きく影響する。

  • 退職金制度:勤続20年で100〜500万円の差が生まれる。退職金制度がある会社とない会社では、長期勤続時の実質収入が大きく異なる。
  • 住宅手当:月1〜3万円の住宅手当がある場合、年間12〜36万円の追加収入に相当する。
  • 交通費の全額支給:月3〜5万円の交通費が全額支給される場合、年間36〜60万円が実質的に節約できる。
  • 社用車の貸与:自家用車不要になることで、月2〜5万円の維持費(ガソリン・保険・車検・駐車場)の節約に相当する。

業界別年収の伸びしろ比較:5年後・10年後の現実

業界別年収推移の詳細比較

各業界の未経験入社からの年収推移を詳細に比較する。

IT・SaaS業界(詳細)

IT・SaaS業界は年収の上昇カーブが最も急だ。国内SaaSではOKR(Objectives and Key Results)に基づく目標設定と四半期評価が標準的で、成果を出せば半年〜1年で給与が上がる仕組みが整っている会社が多い。

  • 1年目(インサイドセールス):300〜380万円
  • 2年目(フィールドセールス昇格):380〜500万円
  • 4年目(エンタープライズ担当):500〜700万円
  • 6年目(セールスマネージャー):700〜1,000万円

外資系SaaSでは、OTE(On-Target Earnings=目標達成時の年収)として提示される金額が実質的な年収の目安だ。OTE800万円という提示は「目標100%達成で800万円、120%達成で960万円」という意味になる。

人材業界(詳細)

人材紹介(転職エージェント)の法人営業(RA)は、求人獲得件数と採用決定件数の両方でインセンティブが発生するモデルが多い。決定報酬の10〜25%がバック(インセンティブ)として支給される会社が主流だ。

  • 1年目(育成期間):270〜340万円
  • 2年目(インセンティブ発生開始):340〜450万円
  • 3〜4年目(独り立ち):450〜600万円
  • 5〜6年目(チームリーダー):600〜750万円

人材紹介は景気変動の影響を受けやすい。リーマンショック・コロナショックのような大規模な経済危機の際は採用が急減し、インセンティブが激減するリスクがある。安定性を重視するなら人材派遣や求人広告の営業の方がインセンティブ依存度が低い。

不動産業界(詳細)

不動産営業は取り扱う物件の種類によって収入構造が大きく異なる。

  • 賃貸仲介:比較的安定。月20〜50件の成約を目指す。1件あたりの単価は低いが件数で稼ぐスタイル。年収350〜500万円が中心帯。
  • 売買仲介(中古住宅):1件の成約で10〜50万円のインセンティブが発生。月2〜5件の成約で年収500〜700万円を狙える。
  • 新築マンション販売:1棟プロジェクトへの配属で、プロジェクト期間中に集中して稼ぐスタイル。成約1件で30〜100万円超のインセンティブが発生するケースもある。
  • 投資用不動産:最もインセンティブが大きいが、顧客への圧力販売・不適切勧誘が社会問題化している業界でもある。会社選びは特に慎重に行うべきだ。

未経験から高年収を目指すための具体的なアクションプラン

1年目の具体的な行動計画

入社1年目に最優先でやるべきことは「基礎の徹底」だ。成果を出そうと焦るより、以下の3つを徹底することが長期的な高年収への近道だ。

  • 商品・サービスの完全習熟:自社のサービス・競合との比較・顧客の利用ケースを全て説明できるようにする。「聞かれたことに全て答えられる」状態が商談の自信につながる。
  • 行動量の確保:テレアポ・訪問・提案の件数を毎日記録し、KPIとして管理する。1年間で「何件アポを取って何件成約したか」の数字を把握している営業担当者は少ない。この習慣が2年目以降の改善速度を大きく上げる。
  • 顧客の声の収集:成約した理由・断られた理由を顧客から直接聞く習慣を持つ。「なぜうちを選んでくれましたか?」「今回は見送りの理由を教えてもらえますか?」という質問が最も価値あるフィードバックになる。

2〜3年目の具体的な行動計画

2〜3年目は「再現性の確立」がテーマだ。1年目の試行錯誤から「自分の勝ちパターン」を見つけ、それを再現できるようにする。

  • 成約率が高い顧客のプロファイルを分析し、理想的な顧客像(ICP:Ideal Customer Profile)を定義する
  • 商談のどのフェーズで失注が多いかを分析し、弱点を集中的に強化する
  • 上司・先輩から「この担当者はいつ昇給できるか」という見通しを直接聞く
  • 転職エージェントに登録し、現在の自分の市場価値を把握する(転職する意思がなくても行う)

入社3年後の年収交渉の進め方

3年間の実績が積み上がった時点で、昇給交渉または転職を検討する。昇給交渉で成功するための準備は以下だ。

  • 3年間の成果を数字で整理する(年間売上貢献額・達成率の推移・担当顧客数の変化)
  • 市場での自分の評価を把握する(転職エージェントへの相談で他社のオファー水準を確認)
  • 「いくら欲しい」ではなく「これだけの貢献をしているので、これに見合う評価をお願いしたい」というロジックで交渉する
  • 現職での交渉が通らない場合、転職という選択肢を具体的に検討する段階に入る

高年収を狙える営業職の特徴と見つけ方

インセンティブ設計が明確な会社の見つけ方

「年収1,000万円可能!」という求人が全て信頼できるわけではない。インセンティブ設計が透明で公正な会社の特徴を示す。

  • インセンティブの計算式が入社前に明示されている
  • インセンティブに上限がない(または上限が極めて高い)
  • 過去3年間のインセンティブ支給実績・支給率・平均支給額が開示できる
  • 在籍社員の年収レンジ(最低値・中央値・最高値)を教えてもらえる

これらを面接時に確認し、具体的な数字で回答してもらえる会社は、インセンティブへの誠実さがある。曖昧な回答や「頑張り次第です」という表現のみの会社は注意が必要だ。

成長市場にいることが年収の最大化につながる

個人の営業力に関係なく、市場全体が拡大している業界では顧客の財布のひもが緩み、成約率が上がりやすい。逆に市場が縮小している業界では、どれだけ営業力があっても成果を出すのが難しくなる。

2025〜2030年にかけて成長が見込まれる市場で営業職を選ぶことが、長期的な高年収につながる。

  • AI・DX関連サービス(中小企業のデジタル化需要が継続)
  • 医療・介護・ヘルスケア(高齢化社会での需要増)
  • 人材サービス(労働人口減少による採用難が継続)
  • 物流・EC(EC市場拡大とロジスティクス最適化需要)
  • エネルギー・環境(再生可能エネルギー・カーボンニュートラル対応)

未経験営業の年収に関するリアルな体験談

体験談1:小売業から人材業界の営業に転職したAさん(29歳)

アパレル店員として4年勤務したAさんは、顧客単価の高い仕事に就きたいという思いから人材業界の法人営業に転職した。入社時年収は310万円で、前職の340万円より下がった。しかし「インセンティブで2年後には前職以上になると計算した」と話す。

入社1年目は目標に届かない月もあったが、2年目から安定してインセンティブが発生し始め、2年目の年収は480万円に達した。現在3年目で年収は560万円になっている。「最初の1年は辛かったが、仕組みを理解してから急に伸びた」と振り返る。

体験談2:製造業の技術職からIT営業に転職したBさん(32歳)

製造業の生産管理担当として6年勤務したBさんは、IT化による業務効率化を担当した経験からSaaSの営業職へ転職した。製造業の知識と現場課題の理解が買われ、製造業向けのSaaSを販売する会社に採用された。

入社時年収は420万円で前職とほぼ同水準だったが、インセンティブで2年目から急上昇。現在4年目で年収780万円を達成している。「業界知識×営業スキルの掛け合わせが市場価値を上げた」と話す。

年収アップを実現するための副業・スキルアップ戦略

本業の年収を上げることが最優先だ

副業に走る前に、本業の年収を最大化することに集中すべきだ。本業で成果を出せていない状態で副業を始めても、本業がおろそかになるリスクが高い。副業は「本業のスキルを活用して追加収入を得る」という位置づけにする。

営業スキルを活かした副業の可能性

営業経験がついた段階で、スキルを活かした副業の選択肢を検討できる。

  • フリーランス営業代行:中小企業・スタートアップの新規開拓を業務委託で受注する。月5〜20万円の収入を得られるケースがある。
  • 業界特化のコンサルティング:3〜5年の業界経験があれば、その業界に新規参入したい企業へのアドバイスを提供できる。
  • Webライティング・SNS発信:営業ノウハウ・業界知識を発信することで広告収入や情報商材の販売につなげるケースもある。

副業を始める前に必ず就業規則の副業禁止規定を確認すること。違反すると懲戒処分の対象になるリスクがある。

無料・3分で完了

あなたに向いている仕事は?

20問の質問に答えるだけで、あなたの強みと適職が分かります。

適職診断を受ける

この記事の執筆・監修

大林 諒

株式会社Nexly 代表取締役

未経験からの転職支援に特化した転職エージェント「Re:WORK」を運営。求職者一人ひとりに寄り添ったキャリア支援を行い、長く働けるホワイト企業への転職を実現しています。

運営会社
株式会社Nexly
許可番号
有料職業紹介事業 28-ユ-301343
取扱求人数
44,692件以上

営業職の関連記事

営業職の求人に興味がありますか?
未経験OKの求人を多数掲載しています。

営業職の求人を探す

未経験からの転職、ひとりで悩んでいませんか?

Re:WORKエージェントでは、専属のキャリアアドバイザーが
あなたに合った求人をご紹介します。相談は無料です。

無料で転職相談する 求人を探す
無料相談 適職診断