退職代行を使ったら転職に不利?|次の会社にバレるかと、転職活動の進め方

結論から言うと、退職代行を使ったこと自体が、次の会社に自動的に伝わるような公的な仕組みはありません。離職票や源泉徴収票などの書類にも、退職代行を使ったかどうかを書く欄はありません。転職で不利になりやすいのは、面接で退職の経緯をうまく説明できないときと、退職後の書類や手続きが滞ったときです。この2つを先に押さえておけば、退職代行を使っても転職活動は普通に進められます。
この記事では、退職代行の種類(民間・労働組合・弁護士)とできることの違い、次の会社に伝わる可能性のあるルート、使う前に考えておきたいこと、受け取る書類のチェックリスト、面接での退職理由の伝え方(例文つき)、退職後の転職活動の進め方をまとめます。
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退職代行を使うと転職に不利?不利になるのは「説明」と「手続き」
退職代行を使ったという事実だけで、転職先の選考に影響が出ることは考えにくいです。会社をまたいで「退職代行を使った人」の情報が共有される仕組みは一般には知られておらず、公的な書類にもその記載はありません。
一方で、退職代行を使った人がつまずきやすい場面はあります。
| つまずきやすい場面 | 何が起きるか | 先にやっておくこと |
|---|---|---|
| 面接で退職理由を聞かれたとき | 経緯を話しにくく、説明があいまいになる | 退職理由と、次の職場で何をしたいかを先に言葉にしておく |
| 離職票・源泉徴収票が届かないとき | 失業給付の手続きや入社先での年末調整が進まない | 必要な書類を退職代行を通して会社に伝えておく |
| 在籍期間が短いとき | 短期離職として理由を深く聞かれる | 辞めた理由と、次に同じことを避ける考えをセットで話す |
| 退職日がはっきりしないとき | 入社日を決められず、内定先との調整が難しくなる | 退職日が確定したら、書面やメールで記録を残す |
つまり、退職代行を使うかどうかより、使ったあとの準備で差がつきます。この記事の後半で、書類と面接の準備を順に見ていきます。
退職代行の3つの種類と、できることの違い
退職代行は、運営しているのが民間の会社か、労働組合か、弁護士かで、できることが違います。依頼する前に、自分の状況に合う種類を選ぶことが大切です。
| 種類 | 退職の意思を伝える | 会社との交渉(退職日・有給休暇など) | 未払い賃金の請求・損害賠償への対応 |
|---|---|---|---|
| 民間の会社 | できる | できない | できない |
| 労働組合 | できる | 団体交渉として行える | 交渉はできるが、裁判の代理はできない |
| 弁護士 | できる | できる | 裁判を含めて対応できる |
弁護士法第72条は、弁護士でない者が報酬を得る目的で、他人の法律事件について交渉などの法律事務を扱うことを禁じています。そのため、民間の会社ができるのは、本人の退職の意思を会社に伝えることまでで、退職日や有給休暇の消化、未払いの残業代について会社と交渉することはできません。依頼する前に、運営している主体と、どこまで対応するのかを確かめておくと安心です。
状況別の選び方の目安
- 辞めることだけ伝えられればよく、会社ともめる心配が少ない:民間の会社でも足りることが多いです
- 有給休暇の消化や退職日を話し合う必要がありそう:交渉ができる労働組合か弁護士を選びます
- 未払いの残業代がある、ハラスメントの被害を訴えたい、会社から損害賠償を求めると言われている:弁護士に相談します
どの種類を選んでも、依頼するのは自分です。契約の前に、次の点を書面やサイトで確認してください。
| 確認すること | 見るポイント |
|---|---|
| 運営している主体 | 民間の会社・労働組合・弁護士(法律事務所)のどれか。運営会社名や所在地が書かれているか |
| 対応の範囲 | 退職の意思を伝えるだけか、退職日や有給休暇の交渉までするのか |
| 料金と追加費用 | 基本料金に何が含まれるか。書類の請求や再連絡に追加費用がかかるか |
| 連絡の手段と時間 | 電話・LINE・メールのどれで、何時まで連絡が取れるか |
| 退職後のフォロー | 書類が届かないときに、会社へ再度連絡してもらえるか、いつまで対応するか |
| うまくいかなかったとき | 会社が応じなかった場合の対応や、返金の条件 |
依頼先を選ぶときは、「提携の弁護士を紹介します」といった案内にも注意が要ります。弁護士法第72条は、弁護士でない者が報酬を得る目的で法律事件を弁護士に周旋することも禁じています。2025年10月には、退職代行を運営する会社が、利用者を弁護士に紹介して紹介料を受け取った疑い(弁護士法違反の疑い)で警視庁の家宅捜索を受けたと報じられました(弁護士ドットコムニュース、2025年10月22日)。弁護士に相談したい場合は、最初から弁護士(法律事務所)が運営している退職代行に依頼するか、自分で弁護士を探すほうが分かりやすくなります。
依頼してから退職までの流れ
- 相談・申し込み:状況を伝え、対応の範囲と料金を確認して契約します
- 情報の共有:会社名・連絡先・上司の名前・雇用形態・退職希望日・有給休暇の残り・返却物・受け取りたい書類を伝えます
- 実行日の決定:会社へ連絡する日を決めます。前日までに私物を持ち帰れるなら持ち帰っておきます
- 会社への連絡:退職代行が会社に退職の意思を伝え、結果を本人に報告します
- 書類と返却物のやり取り:返却物を送り、書類が届いたかを確認します。届かないものがあれば退職代行に伝えます
2の情報の共有でどれだけ具体的に伝えられるかで、退職後の手続きの進みやすさが変わります。次の章のチェックリストを、依頼の前に埋めておくと漏れを防げます。
退職代行を使ったことは次の会社にバレる?伝わるルートと伝わらないルート
「次の会社に知られたらどうしよう」という不安は、退職代行を使う人の多くが感じるものです。伝わる可能性のあるルートと、そうでないルートを分けて見ておきます。
| ルート | 伝わる可能性 | 理由 |
|---|---|---|
| 離職票・源泉徴収票・雇用保険の書類 | 低い | 退職代行を使ったかどうかを書く欄はない |
| 転職先が前の会社に問い合わせる(前職調査・リファレンスチェック) | 本人の同意がある場合に限られやすい | 個人情報保護法 第27条第1項により、本人の同意なく個人データを第三者に渡すことは原則としてできない |
| 同じ業界・地域の人づての話 | ゼロではない | 狭い業界や、取引先が重なる会社では、人のつながりで耳に入ることがある |
| SNSへの投稿 | 本人しだい | 退職の経緯を投稿すると、本人の名前やアカウントから知られることがある |
| 面接で自分から話す | 本人しだい | 話すかどうかは自分で決められる |
リファレンスチェックは、応募者の同意を得たうえで、応募者が指定した前職の上司や同僚に話を聞く形で行われることが多いものです。同意を求められたときは、誰に連絡がいくのかを確認できます。退職代行で辞めた職場の人に頼みにくい場合は、ほかの職場の上司や、関わりのあった別の部署の人を挙げられないか相談してみてください。
退職代行のことを隠すために職歴をごまかさない
退職代行を使った会社のことを知られたくないからといって、履歴書からその会社の職歴を消したり、在籍期間を変えたりするのはやめてください。職歴を偽ると、入社後の手続きや前職への確認で食い違いが分かることがあり、経歴を偽ったと受け取られると、退職代行を使ったことよりずっと大きな問題になります。短い在籍でも正直に書き、面接で前向きに説明するほうが安全です。
同じ業界の中で転職する場合や、地域で取引先が重なる場合は、人づてに話が伝わることがあります。気になる場合は、職種や業界を少し変える選択肢も考えておくと安心です。
退職代行を使う前に考えておきたいこと
退職代行は、自分では辞めると言えない状況から抜け出す手段として役に立ちます。ただ、使う前に次の点を考えておくと、あとで後悔しにくくなります。
退職代行が向いている状況
- 上司からのハラスメントがあり、顔を合わせて話すことが難しい
- 退職を申し出ても、強い引き止めで話が進まない
- 心身の不調があり、会社とやり取りする余力がない
- 退職を伝えたら何をされるか分からず、怖いと感じている
使う前に試せること
心身に余裕があるなら、次の方法で自分から退職を伝えられることもあります。
- 直属の上司ではなく、その上の上司や人事担当者に伝える
- 口頭ではなく、メールや書面で退職の意思を伝える:日付が残るので、言った・言わないになりにくくなります
- 退職届を郵送する:手渡しが難しい場合の方法です。送った記録が残る方法で送ります
- 公的な窓口に相談する:都道府県労働局や労働基準監督署の中にある総合労働相談コーナーでは、退職を含む労働問題の相談を予約なし・無料で受け付けています
期間の定めのない雇用(いわゆる正社員の多く)については、民法第627条第1項で、労働者はいつでも解約の申し入れができ、申し入れの日から2週間がたつと雇用が終わると定められています。会社の就業規則に「1か月前までに申し出る」などの決まりがある場合もあるので、まずは就業規則を確認し、そのうえで判断してください。契約社員など期間の定めがある契約は、ルールが違います。
円満に辞める方法から考えたい方は円満退職のコツの記事を、もう限界だと感じている方は会社を辞めたいと思ったときの対処法を先に読んでみてください。
退職代行を使うときに、受け取る書類・返すものチェックリスト
退職代行を使うと、会社と直接やり取りしないぶん、書類の受け取りが漏れやすくなります。転職活動や退職後の手続きで必要になる書類は、依頼するときに退職代行へ伝え、会社に依頼してもらいます。
| 書類 | 何に使うか | 注意点 |
|---|---|---|
| 離職票(雇用保険被保険者離職票) | 失業給付(基本手当)の手続き | 59歳未満の方が離職票の交付を希望しない場合、会社は離職証明書を出さなくてよい扱いがある。必要なら「離職票がほしい」と伝える |
| 源泉徴収票 | 転職先での年末調整、または確定申告 | 年の途中で退職した場合、退職の日以後1か月以内に交付するよう所得税法 第226条第1項で定められている |
| 雇用保険被保険者証 | 転職先での雇用保険の手続き | 会社が保管していることがある。手元になければ会社に返してもらう |
| 年金の手帳・基礎年金番号が分かるもの | 転職先での年金の手続き | 会社に預けている場合は返却を頼む |
| 退職証明書 | 転職先や国民健康保険の手続きで求められることがある | 本人が請求すれば、会社は遅滞なく交付しなければならない(労働基準法 第22条第1項) |
会社に返すものも、一覧にして退職代行に伝えておきます。健康保険の保険証(資格確認書を含む)、社員証・入館証、制服、会社から貸与されたパソコンや携帯電話、鍵などです。郵送で返す場合は、追跡できる方法で送ると記録が残ります。
あわせて、次の点も依頼時に伝えておくと、あとでもめにくくなります。
- 私物の受け取り方法:ロッカーや机に残した物を、着払いで送ってもらうなど
- 有給休暇の残り:消化を希望する場合は、交渉ができる労働組合か弁護士に依頼する
- 最後の給与の振込:振込先の口座や支払日に変わりがないかの確認
- 引き継ぎのメモ:担当していた仕事の状況を簡単にまとめて渡すと、会社からの問い合わせが減りやすい
離職票が届かないときは、住居地を管轄するハローワークに問い合わせることができます(ハローワークインターネットサービスの案内)。会社と連絡を取りたくない場合でも、手続きを進める方法はあるので、届かないまま放っておかないようにしてください。
源泉徴収票が期限を過ぎても届かない場合は、税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を出す方法があります(国税庁の手続案内)。届出には、会社に交付を求めたことが分かる書類などを添えるので、退職代行を通して会社に請求したやり取りは残しておきます。まずは退職代行を通して会社に催促し、それでも届かないときの手段として覚えておいてください。
面接での退職理由の伝え方|退職代行のことは言うべき?
面接で退職代行を使ったことを自分から話す必要はありません。面接官が知りたいのは退職の手段ではなく、なぜ辞めたのか、次の職場で同じことが起きないか、という点です。
ただし、直接聞かれたときに嘘をつくのは避けてください。あとで分かったときに信頼を失ううえ、経緯を隠そうとすると話がちぐはぐになりやすいからです。聞かれた場合は、事実を短く認めたうえで、なぜその方法を選んだのか、今はどう考えているかを伝えます。
はい、退職の際は退職代行を利用しました。上司との関係が悪化し、直接お話しするのが難しい状況だったためです。本来は自分で伝えるべきだったと考えていますので、次の職場では困ったことを早めに相談し、話し合いで解決できるようにしたいと考えています。
話すときは、退職代行を使ったことの説明を長くしないのがコツです。経緯の説明は1〜2文にとどめ、そのあとは次の職場で何をしたいかに話を移します。面接官がさらに詳しく聞いてきたときだけ、事実を補足すれば十分です。前の会社への不満を細かく話し始めると、面接官は「うちでも同じことが起きるのでは」と受け取りやすくなります。
退職理由別の伝え方の例
退職理由は、不満で終わらせず、次の職場でどう働きたいかにつなげるのが基本です。退職代行を使う場面に多い理由ごとに、言い方の例を挙げます。
| 本当の理由 | 面接での伝え方の例 |
|---|---|
| 上司からのハラスメント | 上司との関係が難しくなり、働き続けることが難しいと判断しました。次は、相談しやすい体制がある職場で長く働きたいと考えています |
| 強い引き止めで辞められなかった | 退職の相談をしてから話が進まず、時間がかかってしまいました。転職の軸は○○で、それが実現できる御社を志望しています |
| 長時間労働で体調を崩した | 長時間の勤務が続き、体調を崩したため退職しました。今は回復しており、働き方を見直して長く続けられる職場を選びたいと考えています |
| 入社前の説明と仕事内容が違った | 入社前に伺っていた仕事内容と実際の業務に違いがあり、自分のやりたい仕事ができないと判断しました。今回は仕事内容を詳しく確認したうえで応募しています |
| 職場の雰囲気が合わなかった | チームで協力して進める働き方を望んでいましたが、個人で完結する仕事が中心でした。御社のチームで成果を出す働き方に魅力を感じています |
前の会社の悪口にならないよう、「誰が悪かったか」ではなく「自分は何を望んでいたか」を中心に話すと、前向きに受け取られやすくなります。退職理由の組み立て方は面接で退職理由を聞かれたときの答え方に詳しい例文があります。入社して1年たたずに辞めた場合は、短期離職の挽回の仕方もあわせて準備しておくと安心です。
在籍期間が短いときの伝え方
入社から数か月で退職代行を使って辞めた場合は、面接で在籍期間の短さについて聞かれやすくなります。ここで大切なのは、「合わなかった」で終わらせず、入社前の確認で何が足りなかったか、次はどう確かめたかを話すことです。
前職は入社前に仕事内容を十分に確認しないまま決めてしまい、実際の業務との違いが大きく、短期間で退職しました。その反省から、今回は求人票だけでなく、面接で1日の流れや入社後の研修について詳しく伺ったうえで応募を決めています。
このように、次の会社選びでやり方を変えたことが伝わると、同じ理由で辞めるのではという不安を和らげやすくなります。
体調が理由のときの伝え方
体調を崩して退職した場合は、今は回復していて働けることを、はっきり伝えることが大切です。治療中で配慮してほしいことがある場合は、仕事に関わる範囲で伝えます。病名まで詳しく話す必要はありません。退職後に心身を休める期間を取った場合は、その期間に何をしていたか(休養、生活リズムを整えた、資格の勉強をしたなど)を短く説明できるようにしておきます。
退職後の転職活動の進め方|最初の3か月のスケジュール
退職代行で辞めたあとは、気持ちが落ち着くまで少し時間が必要なこともあります。焦って次を決めるより、手続きと休養を済ませてから動くほうが、同じことを繰り返しにくくなります。目安のスケジュールです。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 退職直後〜2週間 | 書類の受け取り確認、健康保険と年金の切り替え、心身を休める |
| 2週間〜1か月 | 離職票が届いたらハローワークで失業給付の手続き、退職理由と転職の軸を整理する |
| 1か月〜2か月 | 履歴書・職務経歴書を作る、応募する職種を決める、応募を始める |
| 2か月〜3か月 | 面接を受ける、内定が出たら条件を確認して入社日を決める |
失業給付は、自己都合で退職した場合、待期の7日間のあとに給付制限の期間があります。厚生労働省の案内では、2025年4月1日以降に離職した場合、給付制限は原則1か月です(過去5年間に正当な理由のない自己都合退職をくり返している場合などは3か月)。また、会社の都合やハラスメントなど、離職の理由によっては扱いが変わることがあるので、手続きのときにハローワークで事情を伝えてください。失業給付の流れは失業給付をもらいながら転職する方法にまとめています。
退職後のお金の見通しを先に立てる
次の仕事が決まらないまま退職する場合は、収入が途切れる期間の出費を先に見積もっておくと、焦って合わない会社に決めてしまうのを防げます。
| 区分 | 項目 | 確認すること |
|---|---|---|
| 入ってくるお金 | 最後の給与 | 締め日と支払日、有給休暇を消化した分が含まれるか |
| 入ってくるお金 | 失業給付(基本手当) | 離職票が届く時期、給付制限の期間、最初の振込の目安 |
| 出ていくお金 | 健康保険料 | 国民健康保険か任意継続かで金額が変わるので、両方を比べる |
| 出ていくお金 | 国民年金保険料 | 会社員の厚生年金から切り替わる。納付が難しい場合の免除の制度も確認する |
| 出ていくお金 | 住民税 | 退職後は自分で納める形に切り替わることがあり、まとめて請求が来る場合もある |
| 出ていくお金 | 退職代行の料金 | 追加費用の有無を含めた総額 |
毎月の生活費とあわせて、何か月なら収入がなくても暮らせるかを出しておくと、転職活動にかけられる期間の目安になります。
健康保険は、国民健康保険に入るか、前の会社の健康保険を任意継続するか、家族の扶養に入るかを選びます。手続きの期限があるので、退職後すぐに確認してください。
ブランクが長くなりそうなときは
体調の回復などで休む期間が長くなっても、転職ができなくなるわけではありません。ブランクOKの求人もあり、面接では休んでいた期間をどう過ごしたかを説明できれば十分です。説明の仕方は空白期間の説明方法を参考にしてください。未経験から応募できる求人は求人一覧や未経験歓迎の製造・技能工の求人から探せます。
健康保険・年金・失業保険・税金の手続きを期限順に並べた退職後にやることのチェックリストもあります。
在職中に転職先を決めてから退職代行を使う場合の注意点
転職先の内定が出てから、退職だけを退職代行に任せるケースもあります。その場合は、転職先との関係で次の点に気をつけてください。
- 入社日は退職日が確定してから決める:退職日が予定より遅れると、入社日の変更をお願いすることになります。就業規則の申し出期限と、有給休暇の消化の有無から、余裕を持って入社日を決めます
- 転職先に退職代行を使うことを伝える必要はない:ただし、退職日がずれそうなときは早めに連絡します
- 入社時に出す書類を先に確認する:源泉徴収票、雇用保険被保険者証、年金の番号が分かるものなど、前の会社から受け取る書類が入社手続きで必要になります
- 前の会社の情報や物を持ち出さない:顧客の連絡先や資料を持ち出すと、別のトラブルになります
内定先から入社前に提出を求められる書類(健康診断書、入社承諾書など)の期限も、退職の時期と重ならないよう先に確認しておきます。退職代行の実行日の直前は、気持ちの面でも慌ただしくなりがちです。入社手続きの書類はできるだけ早めに準備しておくと、退職と入社の手続きが重なっても落ち着いて対応できます。
転職エージェント経由で内定が出ている場合は、退職日と入社日の調整を担当者に相談できます。退職代行を使う予定であることを担当者に伝えておくと、入社日の調整で慌てずに済みます。
在職中と辞めてからのどちらで進めるか迷う場合は、在職中と辞めてからの転職活動の記事を参考にしてください。
次の職場で同じことを繰り返さないための会社選び
退職代行を使うほど追い込まれた経験は、次の会社選びの大切な材料になります。何がつらかったのかを書き出し、次の職場でそれを避けるための確認ポイントに置き換えます。
| つらかったこと | 応募前・面接で確認すること |
|---|---|
| 上司に相談できなかった | 入社後の面談の頻度、困ったときに誰に相談するか |
| 長時間労働が続いた | 繁忙期の働き方、残業の申請の仕方、休日出勤の頻度 |
| 仕事内容が説明と違った | 1日の仕事の流れ、入社後最初に担当する業務 |
| 職場の雰囲気が合わなかった | 職場見学ができるか、配属先のチームの人数や年代 |
| 辞めたいと言っても聞いてもらえなかった | 中途入社の人がどのくらい働き続けているか、面談で本音を話せる場があるか |
書き出すときは、「上司が厳しかった」のような大まかな言葉で止めずに、「ミスをすると人前で長く叱られた」「相談すると後回しにされた」のように場面まで書くと、確認すべきことがはっきりします。反対に、前の職場で良かったこと(仕事内容、通勤のしやすさ、同僚との関係など)も書き出しておくと、次の会社選びで手放したくない条件が分かります。
求人票の文字だけでは分からないことは、面接の質問や職場見学で確かめます。職場見学で見るポイントは職場見学のチェックリストにまとめています。転職エージェントを使えば、面接で聞きにくいこと(残業の実態や、配属先の様子など)を担当者に確かめてもらうこともできます。
また、心身の不調が続いている場合は、転職活動を急がず、まず休むことを優先してください。厚生労働省の「こころの耳」では、働く人のメンタルヘルスについての相談窓口を案内しています。
よくある質問
Q. 退職代行を使ったことは、履歴書に書く必要がありますか?
書く必要はありません。履歴書の職歴欄には、自己都合の退職であれば「一身上の都合により退職」と書くのが一般的です。退職の手段を書く欄はありません。
Q. 退職代行を使うと、離職票の退職理由が会社都合になったり、悪く書かれたりしますか?
退職代行を使ったこと自体で、離職理由が変わるわけではありません。離職票には会社が記入した離職理由が載り、本人がその理由に異議があるかを示す欄もあります。会社の記入した理由と事実が違う場合は、ハローワークで手続きをするときに事情を伝えてください。
Q. 退職代行を使った会社から、損害賠償を請求されることはありますか?
退職そのものは、法律で労働者に認められている行為です。それでも、会社から損害賠償について何か言われた場合や、引き継ぎをしなかったことで損害が出たと主張された場合は、自分で判断せずに弁護士に相談してください。心配な場合は、最初から弁護士が対応する退職代行を選ぶ方法もあります。
Q. 試用期間中でも退職代行は使えますか?
使えます。試用期間中も雇用契約は結ばれているので、退職の手続きは通常と同じです。試用期間中の退職が次の転職にどう影響するかは、試用期間中の退職と転職の記事で詳しく説明しています。
Q. 退職代行を使ったあと、前の会社から直接連絡が来たらどうすればよいですか?
退職代行を通して、本人への直接の連絡を控えてもらうよう伝えるのが基本です。それでも連絡が来た場合は、出なくてもかまいませんが、書類の受け取りや返却物の確認など必要な用件があるかもしれないので、内容は退職代行に共有して対応を任せます。
Q. 退職代行を使った人でも、転職エージェントに相談できますか?
相談できます。退職の手段そのものより、退職理由と今後の考えを整理して伝えることが大切です。退職の経緯を担当者に話しておくと、面接での伝え方や、次の職場選びで確認すべき点を一緒に考えやすくなります。
Q. 退職代行を使った人は、次の会社でも長く続かないと思われませんか?
退職の手段より、辞めた理由と次の職場でどう働きたいかのほうが見られます。面接で、何がつらかったのか、次の会社選びで何を確かめたのかを具体的に話せれば、長く働く意思は伝わります。不安なら、応募前に職場見学をしたり、配属先の上司と話す機会をもらったりして、自分でも納得してから入社を決めてください。
まとめ|退職代行を使っても、準備をすれば転職は普通に進められる
- 退職代行を使ったことが次の会社に自動的に伝わるような公的な仕組みはなく、書類にも書く欄はない
- 民間の会社は退職の意思を伝えるまで。交渉が必要なら労働組合か弁護士を選ぶ
- 離職票・源泉徴収票・雇用保険被保険者証など、必要な書類は依頼のときに伝えておく
- 面接では自分から話す必要はないが、聞かれたら嘘をつかず、経緯と今の考えを短く話す
- 退職後は手続きと休養を済ませてから、転職の軸を整理して応募を始める
- つらかったことを、次の会社選びで確認する項目に置き換える
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